Hondaには、フラッグシップスポーツであるNSXを
研究所に隣接した専用施設で可能な限り新車に近い状態に戻す
「NSXリフレッシュプラン」というメンテナンスプログラムが存在します。
そのプログラムに携わるメンテナンスのエキスパートが
NSXに限らず、さまざまなクルマをより長く・安全に・気持ちよく
乗っていただくためのメンテナンスやカーケアのノウハウをご紹介します。
ガレージに長期間置くときは、タイヤの空気圧を高めにしてタイヤの変形を抑える。
また、バッテリーのマイナス端子を外しておきバッテリー上がりを防ぐ・・
そのような対策も無駄ではありません。
しかし、ずっと観賞用に置いておくクルマなら別ですが
年に数回でも走るのなら、そのとき気持ちよく走りたいのではないでしょうか。
であれば、コツはひとつしかありません。
少しでもいいから、1ヵ月に1回以上、クルマを走らせること。
あまりに当たり前のことと思われたかもしれませんが、
クルマは機械。可動部を動かしてこそ良好なコンディションが保てるからです。
特にゴム部品。サスペンションのブッシュやベルト、タイヤなど。
動かして活性化させたり均一に負荷をかけてあげないと、変形したまま固まったり
一部分だけにストレスが掛かります。そうすると、その部分が弱くなるのです。
スイッチや電装系の接点部分も、電気を通すことで活性化されます。
長く放置しておくと、接点まわりの金属が腐食したり錆が出て接触不良が起こります。
乗ったときは、ペダルやシフトノブ、ステアリングなど運転に関わる部分だけでなく、
ドアやトランク、シート、ミラーなど動くところはすべて動かすこと。
走って各部を動かすことで、消耗はしますが、いい状態を保つにはそれしかありません。
端子を外してバッテリーを生かしておいて、一年間動かさずにいたクルマを
引っ張り出してエンジンをかけて走ったとしても、ベストな状態で乗ることはできません。
ガソリンが腐っていたり、ブレーキから異音がしたりいろいろと不具合が出てくるはずです。
「1ヵ月に何回かはエンジンをかけてアイドリングさせていますから」
という方がいらっしゃいますが、できれば動かさないとダメなんです。
せっかくエンジンをかけたのなら、少しでもいいから走ってあげてください。
できれば月に1回はドライブを。そうすると、いい状態を保てますし、
万が一不具合があれば、走ることでそれを感じ取れますから、早期発見につながります。
NSXの場合、エンジンが後方にあるので通常のクルマよりエンジンルーム内の
温度が高くなりますからホース類の傷みも進行しやすいのは事実。
愛車を停めたきりにせず、ぜひいつまでも若々しく動ける状態で長持ちさせてください。
エンジンオイルは、走行距離が伸びなくても時間が経過することで劣化してしまいます。定期的な交換を行ってください。定期点検を受けていれば、ベルト類なども含めて各部の劣化を確認してくれます。特に古いクルマなど、交換間隔は車種によっても異なりますから販売店にご相談ください。
動くことで各部が活性化するのは、まるで生きているようですよね。エンジンをかけたら走る。特に古いクルマは定期的に走って生き返らせてあげましょう。そうすることで、不具合箇所の早期発見につながります。
NSXのエンジンルーム。クーリングのエアは、サイドインテークから導入されるため、フロントエンジン車に対して温度が高くなりがちです。NSXは走行頻度も少ないモデルが多いので、特にホース類の傷みには注意が必要です。転ばぬ先の杖・・。大事に至る前に交換を!