
2000年6月10日(土)~11日(日)。1990年にNSXが誕生してちょうど十周年の記念すべき年。NSXとともに、歩みを重ねて来たNSXのオーナーズイベントが思い切ったチャレンジを行った。
NSX in Takasu。青く澄み渡った空の下、北海道・旭川にある鷹栖プルービンググラウンドを47台のNSXが隊列を整えて走った。これほどのNSXをテストするはずもない。そう、これはオーナーの方々のNSX。一般の方々が立ち入る機会は皆無に等しい、Hondaの自動車開発の中枢となる鷹栖を走るイベントが、NSX誕生十周年の記念イベントとして催されたのだ。
NSXを育んだドイツのニュルブルクリンクを参考にし、さらにクルマに厳しいコースとして1996年5月に設立された鷹栖プルービンググラウンド。このコースを走り込むことで、Hondaのクルマは、たとえばミニバンでさえも抜きん出たスポーティな走りを実現し続けている。これは、NSXオーナーはもちろん、Hondaファンのなかでは有名な話題で、「鷹栖とはどんなコースなのか、一度でいいから走ってみたい・・」との熱き想いが多く寄せられていたのである。条件さえ揃えば、誰でも鈴鹿サーキットを走ることはできる。だが、テストコースはいくら希望しても走れるものではない。Hondaファンにとって、まさに夢のコースとなっていたのだ。

当時のNSX販売担当者は、Hondaが世界に誇るNSXの十周年企画として、鷹栖を走るイベントを思い切って企画。紆余曲折を経て、ついに実現したのが写真の走行シーンである。クルマに厳しい難コースを、じっくりと慣熟を重ね、フリー走行を交えながらもNSXオーナーは危なげなく走行をエンジョイした。もう、参加したオーナーは満面の笑顔である。「鷹栖を走れた感動は一生ものです」とオーナー達は異口同音に感動を語り合った。こうした思い切ったイベントが開催できたのは、参加したのがやはりNSXのオーナーだったからだろう。それは、高価なスポーツカーを買ったという意味ではなく、NSX誕生以来続けて来たオーナーズ・ミーティングでドライビングのスキルを磨いてきたNSXオーナーだからこそ、鷹栖という難コースを無事楽しむことができたという意味である。NSXは、ソフト面でもあらたなチャレンジを行ってきたということが、こうしたイベントの記録を通じてあらためて感じることができる。ローマは一日にしてならず。NSX in Takasuもしかりである。