
NSXを所有する大きな魅力のひとつ。それは、世界第一級のスーパースポーツであるNSXの運動性能を、サーキットなどの安全なフィールドで引き出すことのできるNSXオーナーズ・ミーティングがあることだろう。国内の自動車メーカーが自社スポーツカーのオーナーズ・ミーティングを開催すること自体が稀有。まさに、NSXオーナーならではの特典と言うことができる。草創期、その走行プログラムの開催を影ながら支え続けたのが、現場で即座にメンテナンスを行うHondaのサービススタッフの存在であった。当時は、走行前の点検でオイル量が不足していたり、タイヤの空気圧が適正でなかったりと、基本的なメンテナンスからサポートを行うシーンが見られた。現在では、たくさんのNSXが集まるNSX fiestaにサービススタッフが参加する以外は、オーナーズ・ミーティングでのサービスは実施していない。参加オーナーのメンテナンス意識が高まり、その必要がなくなったからだ。

この写真は、2点とも1994年のNSX fiestaの開会前のもの。不足しているエンジンオイルをサービススタッフがチェックして補給しているシーンである。こうしたメンテナンスだけでなく、走行中コースアウトした車両の修理やオーナーから持ちかけられるメンテナンスの相談にも熱心に応じているシーンに、これまで幾度となく出会った。
「サービススタッフの情熱的な対応がなければ、こうしたフィエスタだけでなく、NSX自体の誕生もままならなかったと感じています。とても感謝しています」と、上原 繁 開発責任者から伺ったことがある。NSXオーナーズ・ミーティングやNSX fiestaだけでなく、さまざまな場面でサービススタッフの高い技術がNSXを支えてきたのだ。思い起こせば、オールアルミボディを採用するとき、最も心配された課題のひとつがダメージを受けたボディの修復だった。その高いハードルを乗り越え、世界初の量産オールアルミボディを採用できたのも、彼らの技術があったからなのだ。