ありがとう、リアルオープンスポーツ10th Anniversary Euro Meet 欧州15カ国から215台のS2000が集結!#S2000 #イベント
2009年制作コンテンツ

2009年4月。欧州各国のS2000オーナーズ・クラブが合同ミーティングを開催しました。場所はイタリア北部の都市トレント。スイスとの国境に横たわるアルプスの麓にあって、古くから中央ヨーロッパ〜イタリア間の主要交通ルート沿いの都市として、架け橋的存在であり続けた観光都市です。
S2000の10周年の年であり、生産終了となるメモリアルイヤー。イタリアのオーナーズ・クラブが旗振り役となって欧州のクラブが連絡を取り合い、初の合同ミーティングを開催する運びとなったのです。その記念すべきイベントに、S2000の開発責任者を務めた上原さんも参加。イタリアの素晴らしきワインディングロードを駆け抜けた欧州合同クラブミーティングの模様を上原さんにインタビュー。

何カ国、何台ぐらいのS2000が集まったのですか

215台、430人の参加ですね。とにかくいろいろな国から来ていました。イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、ベルギー、イタリア、ポルトガル、ポーランド、フィンランド、ノルウェー、ギリシャ、トルコ、ルクセンブルク、ウクライナ、アイルランド。15カ国です。すごいな。

みなさん自走で

もちろん自走です。イギリスから来たオーナーも、走って来たと言っていましたよ。

どのようなイベントスケジュールだったのですか

イベントは、土曜・日曜の2日間です。両日ともめいっぱい走り込むツーリングで、最高に気持ちよかったですね。
私は、前々日の木曜日に、会場となるトレントより南に位置するヴェローナに降りて、そこで一泊。翌金曜日の午前中は、ロミオとジュリエットで有名なヴェローナの街を観光しました。それから夕方までかけて、北のアルプスの麓まで移動してトレントのホテルに入りました。
途中、ブレシアというところ…ミッレミリアのスタート地点に寄りました。その後、トレントへ向かっていると、いろいろな国からS2000が集まってくるんです。いいんですよ、そういう雰囲気が。いきなりトレントの空港に降りるのではなく、参加者と同じように、スイスHondaから借り受けたS2000で走ってトレントに向かい、近くなるとだんだんS2000に頻繁に会うようになる…。気分が高揚していくのを感じました。トレントに近づくにつれてもうお祭り騒ぎです。仲間に会うとクラクションを鳴らしたりして。

オープンだからこそコミュニケーションも弾みますよね

そう。オープンカー同士のコミュニケーションというのはいいですね。お互いの感情が伝わりやすく、盛り上がります。
私たちのS2000の走りもよかった。最後に欧州で追加されたアルティメイトエディションです。エンジンが240馬力ですが9,000rpmまで回る2リッターのままで、足回りはファイナルのセッティングです。

それから前夜祭に…

いくつかのホテルに分散してクラブ単位でチェックインし、ひと休みしてからメイン会場となるホテルに集まりました。
夜8時くらいから序々に集まりはじめ、全員が揃ったのが9時ごろでした。食事は、ケータリングです。430人もいますからね。でも、ビュッフェ方式ではなく、皿に盛りつけてサービスしてくれる形式でした。
会場は、前方にステージがあり、その前に客席が並んでいて、その後ろにディナーテーブルが各国のクラブ単位で用意されている感じです。
イタリア、イギリス、スペイン、ポルトガル、フランスのクラブの会長たちとテーブルを囲み、お互い紹介し合いながら食事をしました。どの方も、本当にS2000を愛していて、「こんな素晴らしいクルマをつくってくれてありがとう」「シンプルでピュアなスポーツカーをつくってくれてありがとう」と感謝され、私の方こそ「S2000のオーナーになり楽しんでくれてありがとう」と感謝の言葉を返しました。
しばらくするとサインを求める方が多くなり、終わってホテルの部屋に戻ったときは12時を回っていました。アメリカでもそうでしたが、とにかく朝早くから夜遅くまで彼らは元気です。

いよいよ初日のツーリングですね

初日は、クラブ全体で同じ目的地まで走ってホテルに戻るツーリングでした。215台ですから大変な列になりますが、事前に地図が渡されていますので、成りゆきに任せて走るといった感じですね。われわれは、イギリスのクラブのあとについて走りました。
トレントからアルプスを駆け上がる、延々と続くワインディングで、S2000は水を得た魚のように走りました。本籍はサーキットですが、欧州各国の道も走り込んで開発したクルマですから、本当に気持ちよく走れます。それに景色も最高ですし、イタリアの人はスポーツカーに温かい眼差しを向けてくれるので沿道の人々に手を振られ、最高の気分でした。
雪の積もった駐車場まで行き、サンドイッチが入った簡単なランチボックスで昼食を済ませ、駐車場で語らったあと、すぐにスタートです。そしてスキー場の駐車場までふたたびワインディングを走り、お互いのクルマを眺めながら語らったり写真を撮ったりしてから帰途につきました。

北イタリアのワインディングはいかがでしたか

実は、S2000を開発しているとき、トレントには一度来たことがあるんです。プロトタイプを走らせる前の、ヨーロッパサーベイのときですね。当初開発に関わった地を、生産を終えようとするS2000で再訪するとは夢にも思いませんでした。この地域の道は、延々とカーブが連続するワインディングで、道幅が狭いのですが、ドライバーは追い越したり、追い越されたりするのに慣れていて、とても走りやすいんです。
そんな道でS2000を走らせると、シフトは楽しいし、エンジンはよく回るでしょ。伸びやかな道なので高回転も使えます。車体がコンパクトなS2000にぴったりで、最高の気分でしたね。加えて、オープンでしょ。みんなニコニコでしたよ。

地元の雑誌の取材を受けられたとか

イギリスのオートエキスプレスという自動車雑誌とトレントのスポーツ紙の取材を受けました。軽いインタビューで、こうした集まりをどう感じるかといったことを聞かれました。また、スポーツ紙の記者にはトレントを案内してもらったりもしましたね。トレントには、中央広場、教会など伝統的な中世の街並がありとてもきれいでした。

ディナーのあとはチャリティーオークションだったそうですね

午後6時ごろ無事ホテルに戻り、ひと休みしてから同じ会場で夕食でした。2日目なので最初からサインや記念写真のラッシュ。やはり、オープンカーでリアルスポーツカーというのが他にないコンセプトなので、みなさんS2000の楽しさに魅了されていました。私としても、うれしい限りです。
ディナーのあと、チャリティオークションが行われ、夜12時を過ぎても延々と続いていたので、さすがに1時前には失礼させていただきました。30~40代の若いオーナーが中心なので、とても元気でしたね。

2日目のツーリングは各クラブ別

最後はやはり地元です。イタリアのクラブにご一緒させていただきました。アルプスのドロミテのレストハウスまで一気に駆け上がる、行けども行けどもワインディングの果てしないコースでした。この日は、ナビシートに納まったのですが、さすが地元のクラブだけあって、S2000を思う存分楽しめるコースだったと思います。走る速さも相当なものでした。
この日S2000のステアリングを握った、通訳兼アテンド役の山本さんは、S2000の素晴らしさに驚嘆し、ツーリングの途中でほぼ購入する気になり、このイベントを終えてから、本当に購入してしまったんです。S2000とアルプスのワイディングという組み合わせは、まさに人を虜にしますね。イタリアのオーナーが羨ましい限りです。

最後のディナーでスピーチ

少しフォーマルな装いで参加することとなった最後のディナーパーティで、食事の前にスピーチをさせていただきました。
なかなかしゃべることができないくらいの歓迎の拍手のなか、はじめて欧州のS2000オーナーのみなさまに会えたよろこび、このクルマの開発に込めた想い、楽しんでくださる皆さまへの感謝の言葉を述べました。また、S2000をもっともS2000らしく運転して楽しめる環境、つまり9,000回転をフルに使って走れる環境はヨーロッパにあり、そういう意味で、みなさまは本当に恵まれていると語りました。この2日間のツーリングほど、一般の道でS2000が生き生きと見えたことはありません。
ディナーを終えても、会場は大変な盛り上がりでした。とにかく陽気です。S2000の歌が披露されたり、紙飛行機を投げ合ったり…。最後に各クラブの会長のみなさまにお礼の言葉を述べて会場をあとにしました。みなさん、「また来年もやろう!」と盛り上がっていました。
S2000は残念ながら生産を終えました。もう、新車はありません。大切に、いつまでもリアルオープンスポーツを楽しんでいただければ光栄です。

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