イベントレポート「NSX Owners Day 2024」#NSX #イベント #TYPE R #Type S 
#S660
2024.10.18

2024年9月22日(日)。「NSX Owners Day 2024」が鈴鹿サーキット/交通教育センターで開催されました。このイベントは、年に一度のNSXオーナーの祭典である「NSX fiesta」が、NSX誕生30周年を機に幕を下ろしたあと、その志を引き継ぎ、オーナーのみなさんが2023年から開催しているイベントです。全国各地、そしてフランスからの参加者を含め105台のNSXが集まりました。

NSXを通じてつながることが所有の喜び

オーナーの皆さんが異口同音に語るNSXの最も大きな所有の喜びは、このクルマを通じて出会った仲間と語り合ったり、ツーリングに出かけたり、ドライビングミーティングに参加したりしながら、スポーツカーライフを楽しむことです。そもそも誕生のときからNSXは、ハードだけでなくソフト、すなわちNSXを通じた「人」を中心としたコミュニケーション活動も重要であると位置付けていました。デビュー間もない1991年には、セーフティードライビングのスキルアップを目指すNSXオーナーズ・ミーティングをスタート。翌1992年には、NSX fiestaの前身となる、年に一度の祭典NSXオーナーズ・ミーティング・スペシャルを開始。また、走行を重ねたNSXをメンテナンスするNSXリフレッシュプランもソフト面の取り組みのひとつとして1993年にはじまっています。そして、1993年のドイツのADAC GT-CUP、1994年のル・マン24時間レースへの参戦にはじまった、現在のSUPER GTへと続くレースへの参戦もスポーツカーとして欠かせないソフト面の取り組みです。このようにHondaは、さまざまなイベントを開催し続け、NSXを通じてスポーツカー文化を育むことを目指したのです。
その志をオーナーのみなさんが引き継ぎ、“まずは集まろう”との思いで2023年に第1回の「NSX Owners Day」を開催。その経験を踏まえ、参加オーナーの声も反映し、今回はより積極的に“交流”する、さまざまなプログラムが開催されました。

ゲストのスペシャルトーク
ここでしか聞けない初代NSX開発秘話

今回の“交流”のためのプログラムのひとつが、ゲストとして参加した初代NSXを中心とした開発メンバーによるスペシャルトークです。そのトップを飾ったのは、初代NSXをデザインした中野氏による開発裏話。日本発のスーパースポーツとして、能や狂言のように「誇れる独自」のデザインを目指したこと、ボディーと一体となったリアスポイラーはアメリカのデザインチームの提案を採用したことや、インテリアでは、インパネに表皮を張り込むなど「手づくりのトライ」を行った話題などが披露されました。
続いて、初代と2代目のダイナミック性能の開発に携わった和田氏、塚本氏からは、初代NSXのタイヤ開発やニュルブルクリンクの思い出話が語られ、ニュルで新参者だった当時のNSX開発メンバーが、古参のポルシェの開発者たちから徐々に認められていくエピソードなどが紹介されました。最後に、1985年のNSXプロトタイプから2002年のTYPE Rまで開発に携わった簑田氏が、歴代のブレーキ開発について詳しく語りました。
また、プロフェッショナルショップのメンテナンス解説も行われ、エクステリアやインテリア、機能部品のメンテナンスに至るまで、さまざまな話題が語られ参加オーナーの強い関心を集めていました。それぞれのセッションで質疑の時間もあり、濃密な“交流”が行われました。

初参加の方も楽しめる工夫を凝らす

今回の「NSX Owners Day 2024」は、およそ半数が初参加でした。最近NSXを手にされた方も多く、もちろんNSX fiestaに参加されたことのない方も多数いらっしゃいました。そのような初参加者にも楽しんでもらえるよう、NSXと同じミッドシップレイアウトのS660に乗り、滑りやすいスキッドコースで挙動コントロールを体験するプログラムや、セーフティドライビングスクール体験が行われました。これらは、メイン会場となった、鈴鹿サーキット交通教育センターの協力により実現した企画。このイベントに参加するベテランNSXオーナーであれば、NSXオーナーズ・ミーティングなどへの参加で、ほとんどの方が経験したことのあるプログラムであり、NSXオーナーになりたてのみなさんをおもてなしする企画といえます。また、Honda SENSING同乗体験や、隣接する遊園地「鈴鹿サーキットパーク」への出入りも自由とするなど、同伴者も楽しめる盛りだくさんのプログラムが設けられ、みなさんエンジョイされていました。

ラストは暮れゆく鈴鹿サーキットをパレード走行

思う存分に楽しまれた参加者が、いよいよ最後のプログラムを迎えました。世界のトップドライバーから愛されている鈴鹿サーキット国際レーシングコースを、全員のNSXで連なって走るファイナルパレードランです。
オーナーである喜びを噛み締めるように走るパレードランは、何度経験しても感慨深いものです。この日はパレード開始直前に空が赤く染まり、ドラマチックな雲が浮かびました。ピットロード出口にあるリーダータワーにはイベントのロゴが掲示されています。暮れゆく鈴鹿を、105台のNSXがヘッドライトを点灯しゆっくりと走る姿はとても味わい深く、オーナーのみなさんの喜びが伝わってくるようでした。
1990年に誕生し、いまなお世界の関心を集めるNSX。まさに世界に誇る、日本生まれの革新のスーパースポーツです。

参加オーナーの声

  • 岐阜県 藤吉さんご夫妻

    「NSXが発売されたころ僕は中学3年生で、『かっこいい』と思ったのを覚えています。それから月日が流れ、以前はスペシャリティーカーなどにも乗りましたが、歳を重ねる前にスポーツカーに乗りたいという思いが湧き上がりました。いろいろと検討しながらレストア番組などを見ていると、スチールボディーの古いクルマは大変だと感じたとき、ふと心の中でNSXが浮かびました。世界初のオールアルミボディーのスーパースポーツです。それから調べるほどに堪らなくなり、どうしてもNSXが欲しいと家内に話しました」
    「ちょうど私のクルマが車検を迎えてどうしようかと思っているときに、突然スポーツカーに、それも20年も経過したクルマに乗りたいと主人に言われ喧嘩になりました(笑)。でも、どうしても欲しいというのでしぶしぶ了承しました。やがてNSXが我が家に来て、助手席に乗るだけでなく運転してみると、乗りやすくて快適だし、運転は楽しいし、オーナーのみなさんの集まりに参加しているうちに私も欲しくなり、仲間の赤いNSXを譲ってもらいました。いまはNSXが可愛くて仕方ありません」
    「家内と私でそれぞれのNSXに乗って一緒にツーリングに出かけたり、イベントに参加したりして楽しんでいます。NSXは、オールアルミボディーはもちろん、電動パワーステアリングやトラクションコントロールなど、当時最先端の技術を取り入れたクルマで、今でも快適に楽しく走れますし、本当にすごいスポーツカーです。その真価をしみじみと味わっています」

  • 栃木県 池谷さん

    NSXがデビューしたときは6歳なので意識になかったと思いますが、家にミニカーがあり記憶に残っています。父がずっと2ドアのクルマばかり乗っていたせいか、僕も2ドア専門です。はじめEG型のCIVICに乗ったあとしばらくCIVICを乗り継ぎ、S2000に乗り換えました。それで、いつかは乗りたいと思っていたNSXを、ついに4年前に手に入れました。購入したときは走行距離が3,000kmほどで、2024年9月現在は10,000kmを少し超えたところです。今回のイベントで一番の低走行車となりました。
    いろいろなHonda車に乗りましたが、Hondaのクルマには魂が宿っていると感じています。CIVICには、日常のなかでも非日常を感じる楽しさがあるし、NSXは普通に走っていても他にはない雰囲気があり本当に魅了されます。S2000ではサーキットを走ったことがあるので、いつかはNSXでも走りたいですね。それとNSXはV6 DOHC VTECエンジンの音がたまらなくいいんです。エンジン音にもいろいろありますが、NSXのエンジン音は管楽器を吹いているような、なんとも言えない味わいがあるんです。これからもHondaには、魂の宿ったクルマをつくり続けて欲しいですね。

  • 福岡県 富吉さん

    第1回目からNSX Owners Dayの運営を担当しましたが、最初はとにかく集まろうという趣旨で開催しました。それで今回は、みなさんからの声も入れて、交流をテーマにイベントを進化させました。そのひとつが、オプションで参加したい方を募って前夜に実施したパーティー「NSX night」です。元開発者のみなさんにも参加いただき、一緒に大いに楽しみました。もうひとつが、出展いただいたショップのみなさんのプレゼンテーションです。今回は5つのショップの合同開催となりましたが楽しんでいただけたと思います。
    さらに元開発者のみなさんにも開発エピソードを披露していただけました。特に中野さんのデザインの話は新鮮だったのではないでしょうか。開発者のみなさんからは、こちらがお誘いする前にぜひ参加したいとお声がけいただき、トークも快諾いただいた経緯があります。Hondaさんが長年イベントを開催し続けてくれたおかげで、こうした絆が築き上げられたと感謝しています。
    また、Hondaの75周年に向けて、2002年モデルのNSX-Rのテスト車初号機を、鈴鹿製作所の若手スタッフが技術習得の意味も兼ねてレストアしていたことを知りました。前回の「NSX Owners Day」に展示しようとしましたが間に合わなかったので、今回その様子を伝えるプリントを掲示させていただきました。このテスト車が鈴鹿にあることは、NSX元開発責任者の上原さんもご存知なかったので、きわめて貴重な車両です。若手の技術向上のためにNSXが題材になったことは、オーナーとして非常に嬉しいことです。
    そして最後は、Honda公式のSPORTS DRIVE WEBで取材いただけるという知らせが入り、感激しました。こうしてどんどん企画が増えていき、イベントが大変賑やかになりました。スキッドコントロールなどのプログラムもあり、スペシャルトークもあり、参加者は忙しかったのではないでしょうか。この点は少し反省していて、次回はもう少し余裕のある会にしようと思っています。
    今回でひとつ形ができたので、今後ますます魅力ある「NSX Owners Day」にしていき、継続していきたいと考えています。今回は初参加の方が半分近くいて、若い方も多くいらっしゃいました。NSXは多くの車両が世の中に残っていて、今なお若い人を惹きつけ、今回のようにイベントを開催してもどんどん盛り上がっていく。オーナーの間では、“NSXというクルマや言葉には魔法がある”とよく語り合うのですが、その魔力をあらためて実感したイベントとなりました。

「NSX Owners Day 2024」の雰囲気を見る[動画]

「NSX Owners Day 2024」スナップギャラリー

メイン会場が鈴鹿サーキット交通教育センターの市街地コース内のため、駐車車両の近くに信号機や横断歩道がある写真がありますが、一般公道ではありません。

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