爽快な楽しさを持つオープンカーにおいて、先進性とスポーツカーとして満足のいく運動性能の両立は難しい。オープンカーは屋根がない分、ボディ剛性を高めにくいという構造的なハンディがあるからだ。
補強を施してボディ剛性を高めつつ、先進の衝突安全性や環境性能を求めていくと重量が大幅に増え、どうしても運動性能が低下してしまう。
オープンカーで風と一体になる爽快さを楽しみながら、クルマとも一体となるリアルスポーツカーの走りを楽しむ──。Hondaがやるからには、今までにない喜びに満ちたオープンカーを生み出したい。そのためには、従来の自動車技術では打破することができない壁に挑む必要があった。
突破口を開いたのは、オープンボディの画期的な新骨格だった。オープンカーはベースとなるクルマがあり、そのボディを流用し開発するケースが多いが、HondaはS2000にオープンスポーツとして新骨格の専用設計ボディを与えた。これにより、理想的な重量でクローズドボディ同等の高剛性と衝突安全性の実現に成功。その技術を軸に、さまざまな革新技術を投入し壁を打ち破った。
S2000は、ただのオープンスポーツではない。チャレンジを積み重ねて壁を打破した、Honda独創の先進リアルオープンスポーツだったのだ。