
2024年7月14日(日)。今回訪ねたのは、モビリティリゾートもてぎで開催されたCR-Zオーナーのオフラインイベント「CR-Z ALL JAPAN MEETING 2024」です。Hondaの独創的なコンパクトクーペのスポーツカーであるCR-Zを愛するオーナーが、全国から約130台集まりました。全国規模のイベントは初開催とのことで、みなさん貴重な機会となるコミュニケーションの場を大いに楽しまれていました。
CR-Zオーナーの有志が偶然の出会いをきっかけに企画
パーソナルなクーペで愛嬌のあるデザイン、ハイブリッドでありながら世界初の6速マニュアルトランスミッションの設定もあるCR-Zは、2010年に発売され、2017年に販売を終了したモデル。Hondaのエントリースポーツということから、現在も熱いファンが多く存在しています。そんなファンの皆さんが全国各地で集まるイベントが行われている状況を、ブログやSNSで知っていた今回事務局長を務めたCR-Zオーナーの薮(やぶ)さんは、「全国のオーナーが集まって、そこに開発者も来ていただけたら盛り上がるだろうな」という思いを抱いていました。そのような折、2023年末にモビリティリゾートもてぎで開催された「Honda Racing Thanks Day」を薮さんが訪れた際、駐車場に停めた自身のCR-Zの隣に、Honda OBでCR-Zの開発を担当された方が駐車していたそうです。この偶然に驚き、「これは本田宗一郎さんがミーティングを開けと言っているのでは」と考え、「全国で集まるミーティングを行うので、開発者の方に参加いただきたい」という思いをその方に話したことがきっかけで、今回の開催に至ったそうです。
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全国から熱いCR-Zオーナーが集結
北海道から九州まで、全国から熱いCR-Zオーナーがモビリティリゾートもてぎに集まりました。当然ながら初対面の方も多いなか、みなさん積極的にコミュニケーションを取り、全国ミーティングという貴重な場を心から楽しまれていました。九州から地元のお菓子を持参してきて、参加者に一つ一つ配りながら話しているオーナーも。若い方からベテランのオーナーまで、男女問わず幅広い年齢層の方々が参加していたのも印象的でした。ひと目惚れして頑張って購入された大学生オーナーや、社会人になり初めてのクルマとして購入された方、長年乗り続けていらっしゃる方など、みなさんそれぞれの思い入れのストーリーがあるようです。
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開発責任者が講演でオーナーへ熱いエールを贈る
当日は、CR-Zの開発責任者を務めた友部さんが、当時の開発メンバーとともに参加。開発に至った経緯から発売に至るまでのストーリーを、開発秘話を含めて語る講演が開催されました。当時検討されたさまざまなデザインスケッチや開発資料を投影しながらの講演は、かなり興味深い内容でした。友部さんは、ミニバンなどの開発を経てCR-Zの開発責任者になったことを振り返り、「Hondaでスポーツカーを担当できるのは夢のような話」との思いで情熱的に取り組み、数々の難題を乗り越えて発売させた思い出を語られていました。質問コーナーも設けられ、直に当時の開発者に答えを聞けるなど、参加されたオーナーのみなさんにとって、足を運んで実際に会ったからこそ享受できる貴重な情報だったのではないでしょうか。
講演のしめくくりに、「CR-Zは永遠に不滅です」とのメッセージを友部さんが投影。デビューから14年、販売終了から7年を経ても多くのファンがこのようなミーティングに集うCR-Zという存在と、オーナーの皆さんへの熱いエールで講演を締めくくりました。-
CR-Zに関連するサプライズを用意
当時の開発メンバーは、講演を行う以外にサプライズを用意していました。2012年のマイナーモデルチェンジ時の資料を今回のために印刷して復刻。データが奇跡的に残っていたため印刷できたとのことですが、その貴重な資料を参加者全員にプレゼントした上、資料に抽選番号の紙を同封し数名の方にCR-Zのデザインスケッチを開発者のサイン入りでプレゼントするというビッグサプライズです。さらに、2012年のSUPER GT GT300クラスに参戦していたレーシングマシンMUGEN CR-Z GTとCR-Zの1/4スケールモデルをホンダコレクションホールに臨時展示。参加者の熱々の撮影会場となっていました。
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ホンダコレクションホールの裏庭で記念写真撮影
雑誌などによく出てくるホンダコレクションホールの裏庭で、参加者のCR-Zを2台搬入しての記念撮影もありました。この貴重な機会を参加者の皆さんは多いに楽しんでいました。また、その撮影会場で2代目NSX Type Sのエンジンをかけるデモンストレーションが行われました。
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閉会式では、参加者のなかで最も走行距離の多い方を表彰したり、女性の参加者に栃木名物のお菓子をプレゼントしたり、いろいろとミーティングを楽しくする工夫をされていたのが印象的でした。主催者の「また来年も開催したいですか?」の問いかけに全員が拍手を送り、名残を惜しみつつ閉会。CR-ZのALL JAPAN MEETING 2024を訪ねて、Hondaにはこのように愛されるスポーツカーがあること、そしてみなさんの“CR-Z愛”を大いに感じた1日でした。では最後に、参加者のコメントをお伝えします。
参加者の声
埼玉県 髙林さん(左)
まだ学生ですが、はじめてのクルマとして購入しました。ハイブリッド車で燃費がよく、スポーツ性もあって身近な価格なのが魅力でした。身近なスポーツカーはいろいろありますが、周囲の友人と被らないのも決め手になりました。彼女も同じ自動車整備の学校に通っているので、一緒にメンテナンスをしています。オーナーの集まりには時々参加していて、同じクルマに乗る人たちと会話するだけでも楽しいですね。参考になることもありますし。CR-Zは、乗っていて本当に楽しくて、自分でメンテナンスもしていて愛着がありますし、これからもずっと乗り続けたいと思っています。
北海道 大場さん
2010年にデビューしたときにひと目惚れして、CR-Zのマニュアル車に乗りたいという思いでマニュアル免許を取得しました。そして、2017年に購入しました。もう、かわいいデザインで、ハイブリッドで燃費はいいし、スポーティーでしかも乗りやすくて大好きです。通勤で使っていながら、毎日ついつい振り返って見てしまうような魅力を感じています。走行を重ねたので、ボディーを全塗装しました。元々のミラノレッドに近い赤で、少しオレンジ系のパールを入れて沈みすぎないようにしたオリジナルカラーです。購入したときは6万キロでしたが、あと少しで走行距離が30万キロです。参加者で一番走行距離が長かったようで、閉会式で表彰していただきました。これからも乗り続けます!
佐賀県 塩谷さん
燃費がよくて、マニュアルで、それでいてスポーツカーというクルマを探していて、出会ったのがCR-Zでした。僕のライフスタイルはクルマで旅をすることです。遠出をするので、燃費がよくてガソリンがレギュラーということも大きな要因となり、旅の相棒として選びました。もともとHondaが好きでしたが、ハイブリッドスポーツを出すというチャレンジにワクワクしたことを覚えています。オーナーの集まりにはよく参加しますが、今回は全国規模の集まりで参加者の多さに驚きました。若い方もベテランの方もいろいろなスタイルで乗っていらっしゃるので、その多様性に対応できているという意味でもいいクルマだと思います。
栃木県 薮さん
今回の事務局を務めた薮です。Hondaの方々にいろいろとサプライズを仕込んでいただいて、本当に感謝です。そのサプライズを明かすことなく募集をかけ、全国から純粋にこの集まりに来たいという方に集まっていただきました。それで、参加者がサプライズに触れたとき、驚いたり喜んだりする表情を見るためにやっていると言っても過言ではありません。これだけコミュニケーションツールが発達している中でも、やはり人と人は顔を合わせて話をするのが一番大事で、それは未来永劫変わらないと思うんですよね。ですから、オフラインミーティングは大事なんです。
CR-Z開発責任者 友部さん
今日は圧倒されました。こんなにたくさんの方が集まっているとは思いませんでした。開発者冥利に尽きます。当時開発をしているとき、若者と40〜50代の方をターゲットとしていましたが、販売を終えて7年以上も経つのに、参加者に若い人が多く、今の若者にもオーナーになっていただけていることに驚きました。Hondaには、NSXやS2000といったスポーツカーもありますが、CR-Zは、乗りやすくて普段も使いやすくて、さらにスポーティーで、とても楽しいクルマです。そういうコンセプトが若い人たちにも届いているのかなと思いました。CR-Zは不滅ですね。