Honda SPORTS

第80回 都市対抗野球大会 Honda 鈴鹿硬式野球部

2回戦

第80回都市対抗野球大会

8月25日(火) 14:30
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda鈴鹿硬式野球部 0 1 0 0 2 0 0 0 0 3
セガサミー 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
バッテリー Honda鈴鹿 セガサミー(東京都)
投手:藤本(瞬)

二塁打
三塁打
本塁打

藤本(瞬)が好投、3安打1失点に抑えHonda鈴鹿、4年ぶりのドーム勝利

 2回に渡邊の犠牲フライで先制。
 5回には早川のツーベースを足掛かりに主将具志のタイムリーなどで追加点。
 投げては先発藤本(瞬)が11奪三振のナイスピッチング。
 投打のかみ合ったHonda鈴鹿が、Honda熊本・Honda硬式野球部に続き、初戦をものにした 。


 Hondaの3チームが初めて勢ぞろいした今大会。最後に登場した鈴鹿も、藤本瞬投手(今治南→徳山大)がセガサミーを3安打1失点に抑えて快勝。これで、Hondaは3チームがすべて初戦を突破した。とくに、この試合は、1回戦不戦勝のHonda鈴鹿が、初戦で三菱重工広島を2安打完封したセガサミーの好左腕上津原投手をどう攻略できるのかがカギとなっていたが、注目の左打者たちが粘りを見せて、見事に攻略して、好投する藤本投手を支援した。まずは、投打が見事にかみ合った会心の勝利といっていいだろう。

 試合前から、Honda鈴鹿としては、セガサミーの上津原投手をどう打つのかということに焦点を絞って対策を立てていた。與本敏弘監督は、「左打者が外へ逃げていく切れ味のいいスライダーとシンカーに惑わされないようにして振り回さないで、ファウルになってもいいから徹底してレフト方向へ打っていくようにと指示を出しました」と言うが、それをまずは先頭打者の早川辰徳(東海大相模→東洋大)が忠実に実践した。何と、いきなり7本ものファウルをすべて左方向に放ち粘ったのだ。しかも、最終的には三遊間を破って左前打で出塁。この回は、得点にこそならなかったものの、少なくとも上津原投手をイライラさせたことだけは確かだった。
 その効果が早速、2回に表れた。この回、七番の中野宏昭(海南→東北福祉大→ミキハウス→一光)が左中間二塁打すると、内野ゴロで三塁へ進み、渡邊敬之(日高中津分校→大阪体育大)が左翼へ犠飛を放って先制した。渡邊も左打者で外のスライダーを巧みに合わせて運んだものだった。

 これで試合の主導権を握ったHonda鈴鹿だったが、もちろん1点だけでは不安だ。早い段階で追加点が欲しいところだが5回、1死後早川がこれまた外の球を巧みに捉えて三塁線を破る二塁打で出塁。すると、続く具志賢三(平安→立命館大)は、外角が狙われていると思い内側を攻めてきた上津原投手の意図を読むかのように、引き付けて右翼線へ運んで三塁打。さらに、三番平手敬介は外角球を左前に落としてタイムリー安打。カギとなる一番から三番の左打者がことごとく仕事をして、鮮やかな形で追加点を上げた。
 このいい流れに、一塁側のHonda鈴鹿応援席も大いに沸いた。
 そして、セガサミーはついに上津原投手を諦めることになった。與本監督は試合後、「上津原君を5回までに下ろさせることができたのは大きかった」と振り返っていたが、まさにこれで完全に試合の主導権はHonda鈴鹿が握った。

 守っても、2年ぶりの東京ドーム登板の藤本瞬投手が絶好調だった。ストレートそのものは決して速いというものではなく、最速でも140㎞/hに届かないくらいだったものの、カーブ、スライダーにチェンジアップなど持ち味の多彩な変化球を駆使して、セガサミー打線は空を切ることが多かった。しかも、5回を終わってわずかに54球という省エネピッチングだった。コントロールに不安を残しているので、いつも球数の多くなるこの多い藤本なのだが、この日は、「とくに、(都市対抗の本大会だということは)意識しないでいつもどおりの気持ちでしたが、丁寧に投げていこうということを心がけました」と言うように、力まず8割の力で投げたのがよかったようだ。7回には、具志二塁手のファインプレーも飛び出しバックも好投を盛り立てた。
 8回にチャンジアップがすっぽ抜けた形になってしまった失投をセガサミーの六番石川選手にすくい上げられるようにしてソロホーマーされたものの、失投はその1球だけだった。結局、被安打は3本のみで11奪三振で「高校時代の練習試合以来」(藤本)という無四球の完投だった。
 與本監督も、「今日は藤本の好投に尽きるといっていいでしょう。8回の本塁打もソロだったので、それほど心配していませんでした。テンポとコントロールが非常によかったので安心できました」と、一番の勝因に挙げていた。

 また、影のヒーローとしては、先頭打者として粘りに粘って、上津原投手を精神的にも揺さぶった早川の存在が大きいだろう。今年4月に狭山から異動という形で鈴鹿へ移籍してきた。同じHondaとはいえ、違うチームなので最初は戸惑いもあったというが、今はすっかりチームになじんでいる。打順も予選の三番から、この日は一番になったのだが、「自分では本来一番が合っていると思っていましたから、今日のスタメンでは『よしっ!』という気持ちでした。左投手に対して、引っ張りにならないように、ということを心がけました。最初の打席で粘りながら、球筋がどうでどういうボールがくるのかを見極めていくうちに慣れてきました」と言う言葉どおり、好投手上津原から2安打し、結果的には決勝のホームも踏んでいる。

 Honda鈴鹿としては、2005年以来4年ぶりの東京ドーム勝利となった。そして次は、東海地区予選で苦杯を舐めさせられているヤマハに対してのリベンジ戦である。