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第79回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

1回戦

第79回都市対抗野球大会

8月30日(土) 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
日本新薬
0 1 2 0 0 2 0 0 0 5
Honda硬式野球部
0 0 0 0 0 2 3 0 1x 6

Honda辛抱して追いついた、最後は吉岡のランニング本塁打でサヨナラ

 5点差を追い付く劇的な勝利で1回戦突破!
 最後は吉岡のランニングホームランでサヨナラ勝ち!!


 Hondaとしては、まさに辛抱の試合だった。序盤でリードを許してしまったHondaは、苦しい展開の試合を何とか後半で追いつき、9回劇的なサヨナラランニングホームランで初戦を突破した。
 前半、Honda打線は日本新薬の先発田中大に苦しんだ。相手投手は驚くようなスピードがあるというのではないが、コントロールのよさに手こずり、的が絞りきれなかったのが原因のようだ。


 しかも、その間にHondaの先発大田悦生(広島工→流通経済大)が2回、3回で6安打を喫した。その上、安打のうち4本が内野安打というややアンラッキーなもので、試合の流れも悪く3点を失ってしまった。リリーフした角田理生(鎌倉→国際武道大)も踏ん張っていたが、6回にやや制球を乱して、2四球と安打で満塁のピンチを許し、ここで九番堂前に左前打されて2点を献上。0-5と苦しい展開となった。
 安藤強監督も前半はある程度は苦しむかもしれないとは読んでいたようだが、「いつか、打線が爆発してくれるとは思っていましたが、ちょっとエンジンのかかりが遅すぎました。南関東大会に戻ってしまったかと思っていました」と、苦しみ抜いた南関東予選を思い出し苦笑いしていた。それにしても、5失点はいくらなんでも想定外だった。


 それでも、2点を追加された直後の6回裏、応援席にボクサースタイルのリーダーが現れKOマーチを始めたとたんに、八番佐伯亮(広陵→立正大)が二塁打。2死二塁から、勝負強い二番川戸洋平(日大藤沢→日大)が2ラン。反撃への突破口となってベンチのムードも変わった。最終予選となった関東代表決定戦で19安打15点を奪った強打線にやっとエンジンがかかってきた。
 7回はプロのスカウトの視線が集まる四番長野久義(筑陽学園→日大)が中前打してチャンスメーカーとなった。続く岡野勝俊(東京農大二→青山学院大)の一打は相手失策を招いて一二塁。さらに、六番多幡雄一(星稜→立教大)のタイムリーで2点差とする。その後、バントは失敗したものの、佐伯が執念の左翼線二塁打を放ってついに同点。これで、流れは完全にHondaのものとなった。


 もしかしたら延長もありえると覚悟を決めかかった9回、先頭の七番吉岡聡(花咲徳栄→立正大)の打球は、センターフライかと思われたが、相手外野手が交錯して捕球できず。球は、外野フェンスの方へ転がって行った。二塁ベース手前でそれを見た吉岡は50m6秒の快速を生かし切った。「あっ! 落ちた。と思ったときはもうホームまで行くつもりでした。最後は足がもつれかかりましたけれど気持ちよかったです」という劇的サヨナラランニングホームランとなった。ベンチでは、手荒い祝福を受けていたが、吉岡は、7回のバント失敗の屈辱も見事に晴らした。三塁コーチャースボックスで陣頭指揮をとる安藤監督はその瞬間、ぐるぐると腕を回していた。「あそこはもう、吉岡の足を信じて夢中で腕を回していました。気がついたら私もホームベースの手前まで来てしまっていましたね(笑い)」それくらいにエキサイティングな瞬間だった。


 このサヨナラを導いたのは、5点を失った6回1死一二塁で三番手としてマウンドに立ち、以降、7回1死まで、3人をぴしゃりと抑えて頼り甲斐のあるベテラン健在を示した坂本保(佐伯鶴城)の好投と、さらにそれを受けた筑川利希也(東海大相模→東海大)の完璧な投球だった。ケガなどで出遅れていた筑川は、これで完全復活といえよう。Hondaの黒獅子旗奪取へ向けては心強い限りである。さすがに、センバツ優勝投手だ。大舞台ではより栄える男の本領発揮といっていいだろう。
 「多くの応援に駆けつけてくださった皆さんのおかげで、苦しい試合でしたが初戦突破をさせていただきました。これで勢いづきます」と、安東監督は応援団へも感謝を示しながらも力強く締めくくった。