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社長言行集

我社存立の目的と運營の基本方針

 本年もまた多数の新入者を迎え得たことは社長としてまことに喜びにたえない。新入の諸君が、苦難を乗り越えつゝ本田の今日を築き上げてくれた先輩従業員と一丸となつて研鑽を積まれ、其処に諸君の幸福と理想を実現される日の近い事を期待してやまない。
 吾が社は今や業界注目の的となつており凡らく数年を出でずして名実共に世界第一のオートバイメーカーとなるものと思う。
 この事が確信される所以は、一に吾が社存立の目的が他社と比較して非常に優れているからにほかならないが、多数の新入従業員を迎えることができた好機に、更めて吾が社存立の目的とその基本的な運営方針を明らかにして、従業員諸君の一切の努力を此処に結集し、吾が社の一層の発展に資したいと考える次第である。
吾が社存立の目的
 吾が社はオートバイ並びにエンジンの生産を以て社会に奉仕することを目的とする。そこには作るものの喜びと、売る人の喜びがなければならない。しかしより重要なことは吾が社の製品を買つて下さる顧客に喜んでもらうようにしなければならない。
 作つて喜び、売つて喜び、買つて喜ぶ3点主義こそ、吾が社存立の目的であり、社是でなければならない。
 この3つの喜びが完全に有機的に結合してこそ、生産意欲の昂揚と技術の向上が保障され、経営の発展が期待されるわけであり、そこに生産を通じて奉仕せんとする吾が社存立の目的が存在する。
吾が社運営の基本方針
 吾が社がその目的を実現することは、とりもなおさず、その製品に本田の精神がにじみ出ているようにすることにほかならない。
 買う人、売る人、そして作る人まで、みんなが喜ぶ製品が作り出されるためには、会社は常々次のような方針に則つて運営されなければならない。
 1、人間完成のための場たらしめること
 製品はすべて従業員の努力と研究の精華であり、真心のこもつたものであることが必要である。このことはすべて生産にたずさわるものの人間完成こそ重要な前提でなければならないことを意味する。
 吾が社の職場は生産の場であると同時に従業員の修養と陶冶の場でなければならないし、そこに蓄積される人間的な力と善意こそ、世界の市場に歓迎される商品を生み出すためのよりどころとなることを確信する。
 2、視野を世界に拡げること
 技術が世界に通ずる限り、吾々の視野は常に世界に注がれていなければならない。吾が社は今や完全に日本オートバイメーカーの主導権を握つているが、吾が社の発展を希求するあまり、他社が吾が社と共に戦後ここまで伸びてきた意義を忘れてはならない。吾が社と共に全体の水準を上げてゆくことこそ、日本を良くし、世界を良くする道であることを認識し、目先の利益にとらわれることのないようにしなければならない。
 3、理論尊重の上に立つこと
 近代産業の尖端をゆく吾が社が、理論を尊重することは当然であるが、最高の製品は最高の理論の上に立つて組立てられるものであることを銘記して、理論の発展と共に吾が社の製品も向上させなければならない。
 理論は万国に共通し、1国1社に障壁を作らない。理論を尊重し、それに拠つて生産を拡大する限り、吾が社が世界に伸びることも当然であり、世界の人に喜んでもらえることも充分に確信できる。
 4、完全な調和と律動の中で生産すること
 芸術的な作品が美しい調和を示しているように、吾が社の製品もまた調和のとれた美しいものでなければならない。その調和のとれた美しい製品を生産するためには、あたかもオーケストラがすばらしい音楽を奏でるように、旋盤も組立のコンベアーも、あるいはエンジン検査も、完成車の試験までも、工場のすべての機能が1つの律動となつて流れるようにならなければならない。
 清潔整頓も勿論大事であるが、全従業員が一丸となつて、そこに精神的和合を完成したときこそ、まさにこの状態に達するものであることを知らなければならない。
 5、仕事と生産を優先すること
 資本は目先に動かされ易い。吾が社が今日を築き得たのは、常に仕事を優先し、理論と時間とアイデアを尊重してきたからであつてこの方針は将来も変更されるべきでない。資本は仕事と生産のために奉仕するものでなければならない。
 6、常に正義を味方とすること
 常に正しくあることこそ自分を一番強くすることである。最後の勝利を決するものは正しいか否かということであつて、強いか弱いかゞ勝敗を決するのではない。
 個人々々の能力の差というものは、平常のときはさほど現われるものではない。本当に困りぬいた最後のときに、その問題を解決できるか否かが人間の能力の差であり、正義に味方している限り、必ず道は開け困難は打開されるものである。
(29・3 社報6号)








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