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2017年6月29日〜30日

受け継がれる、交通安全教育。乗り継がれる、スーパーカブ。
鹿児島県立種子島高等学校 安全運転教育の取り組み

鹿児島県立種子島高等学校

鹿児島県立種子島高等学校

30年以上続く交通安全教育

 2017年6月29日・30日、鹿児島県立種子島高等学校で生徒を対象にした「交通安全教室」と「原付講習会」が開催されました。同校はロケットの発射施設があることでも有名な種子島の北部、西之表市にあります。全校生徒376人のうち54人が通学に50ccの原付(原動機付自転車)を利用。自宅から学校までの距離が4km以上ある生徒は、原付免許の取得と原付での通学が許可されています。通学に使用する原付には同校の生徒であることが一目でわかるよう通常のナンバープレートの下に学校独自のナンバープレートの取り付けが義務づけられ、島全体で生徒を見守る事にも繋がっています。
 原付の車種について学校側では特に指定していませんが、ほぼ全ての生徒がHonda スーパーカブ50で通学。長年、種子島高等学校の生徒の皆さんにスーパーカブが愛用されている事には諸説あるようですが、一つは、同校が小高い山の上にあり、登校時に急な坂道を延々と上っていかなければいけないことが大きな一因にあるようです。スーパーカブに乗っている生徒の皆さんからは「エンジンの馬力があって、急坂もスイスイ上っていける」「平坦な道、坂道など状況に合わせてシフトチェンジできるので乗りやすい」という声が聞かれます。また、同校の生徒の皆さんの多くは卒業後に種子島を離れてしまうので、乗らなくなったスーパーカブは自分の弟・妹や後輩へ脈々と受け継がれて行き、十年以上前のモデルもいまだに乗り続けられています。新車を購入する方もいますが、その場合も丈夫さや使い勝手の良さ、何よりご本人が乗られていた経験から親や祖父母など周囲もスーパーカブを薦めるそうです。
 こうした背景もあり、同校は30年以上前から原付通学者への実技による安全運転教育に力を入れています。

 

親から、兄姉から、先輩から、乗り継がれ、通学を支える“スーパーカブ”

親から、兄姉から、先輩から、乗り継がれ、通学を支える“スーパーカブ”

通常のナンバープレートの下には通学許可を示す学校独自のナンバープレートが取り付けられています

通常のナンバープレートの下には通学許可を示す学校独自のナンバープレートが取り付けられています

種子島高等学校は小高い山の上にあり、登校時は学校に向かって急な坂道が延々と続きます

種子島高等学校は小高い山の上にあり、登校時は学校に向かって急な坂道が延々と続きます

 

(左)1982年3月の学校新聞。交通安全委員長を務める生徒が校内で募集した交通安全標語を紹介し、生徒全員に安全運転を呼びかけています(右)1987年3月の学校新聞。交通事故防止と交通ルール・マナーの修得を目的とした同校の先生方による交通安全指導について紹介しています

(左)1982年3月の学校新聞。交通安全委員長を務める生徒が校内で募集した交通安全標語を紹介し、生徒全員に安全運転を呼びかけています(右)1987年3月の学校新聞。交通事故防止と交通ルール・マナーの修得を目的とした同校の先生方による交通安全指導について紹介しています


周囲に配慮した安全運転の大切さを伝える

 「交通安全教室」と「原付講習会」は、夏休みに入る前に生徒の安全意識を高めてもらおうと毎年、期末試験の終了直後に実施され「交通安全教室」は全校生徒、「原付講習会」は原付通学者のみが対象として行われています。種子島高等学校教諭で交通係の日髙慎一郎さんは生徒に対する交通安全教育の意義を次のように話されます。「学校生活は安全に登下校ができて成り立ちます。『交通安全教室』は原付で通学している、していないに関わらず、交通安全を自分の問題としてとらえてもらうことを目的としています。一方、原付通学者は『自分は事故に遭わないから大丈夫』という過信から、スピードを出すなど無理な運転をしてしまいがちです。そのため、『原付講習会』では自分の命を自分で守ることはもちろん周囲に配慮した安全運転の大切さを自覚してほしいと考えています」。
 6月29日に行われた「交通安全教室」は、同校体育館で二輪車の安全運転啓発用ビデオを視聴した後、種子島警察署交通課の警察官による講話を聞くという内容です。実際に起きた交通事故事例を紹介しながら、加害者となってしまった場合に発生する刑事上、行政上、民事上それぞれの責任について警察官が解説。また、二輪車や自転車の運転者として、常に歩行者を保護するという意識を持つことが安全運転につながると生徒たちに呼びかけました。
 「交通安全教室」に参加した生徒の皆さんは「事故に遭わないためには、交通ルールを守ることが重要だとあらためて感じました」(小山田真之輔さん)、「自分が交通ルールを守っていても他の人が守っていないことがあるので、周囲の状況をよく確認しようと思いました」(石村美香さん)、「事故は自分が予期していない場所で起きていることがわかったので、運転時は常に注意するようにしたい」(牧瀬侑香さん)と感想を語ってくれました。

種子島高等学校教諭で交通係の日髙慎一郎さん

種子島高等学校教諭で交通係の日髙慎一郎さん

種子島警察署交通課の警察官による講話

種子島警察署交通課の警察官による講話

(左)牧瀬侑香さん「同じ町に住む先輩からスーパーカブを譲ってもらいました。通学路に坂道が多いので、馬力があって頼もしいです」(中)石村美香さん「このスーパーカブは姉から兄、そして私へと受け継がれてきました。とても乗りやすいバイクです」 (右)小山田真之輔さん「祖父が新車のスーパーカブを買ってくれました。走りがスムーズで気に入っています」

(左)牧瀬侑香さん「同じ町に住む先輩からスーパーカブを譲ってもらいました。通学路に坂道が多いので、馬力があって頼もしいです」(中)石村美香さん「このスーパーカブは姉から兄、そして私へと受け継がれてきました。とても乗りやすいバイクです」 (右)小山田真之輔さん「祖父が新車のスーパーカブを買ってくれました。走りがスムーズで気に入っています」


生徒に安全運転を実践してもらうための参加体験型の実技教育

 「原付講習会」は実技講習に最適な場として種子島自動車学校で行われます。講習対象の生徒は午前中の授業が終了後、各自の原付に乗って種子島自動車学校まで移動。2年生と3年生の2つのグループに分かれて学科教習と走行訓練を交互に受講しました。指導は、いずれも種子島自動車学校の教習指導員が担当します。学科教習では、運転は「認知」「判断」「操作」の繰り返しであることを説明し、特に目の前の情報を得る「認知」が重要で、人間は自分が予測していない出来事は見落としやすいことを強調。さらに、「こちらが優先だけど、相手は止まらないかもしれない」「クルマの陰に人が隠れているかもしれない」と危険を予測する「○○かもしれない運転」を心がけてほしいと訴えかけました。
 走行訓練の前半は、生徒の皆さんが原付で自動車学校内の指定されたコースを走行し、交通法規に則った合図の出し方や進路変更、交差点での右左折などを実践する法規走行。コース上の「止まれ」の標識がある見通しの悪い交差点には教習指導員が立ち、一人ひとりの運転を見ながら、停止線手前での一時停止や左右の安全確認の方法をアドバイスしました。後半は、長さ3m×幅1. 5mの枠(マット)の中を誰が一番遅く走れるかを競う「遅乗り台走行」に取り組みます。二輪車は低速でバランスがとりにくくなることを理解してもらうための課題です。模範を示した教習指導員は10秒以上かけて走行しましたが、生徒の多くは1〜2秒で枠の外に出てしまったり、バランスを崩して足をついてしまいまったりと四苦八苦。最も遅い生徒でも5.5秒が精一杯。苦戦した一人、申恩恵(しん・うね)さんは「簡単にできだろうと思っていましたが、実際にやってみるととても難しかった」と話します。また、渡邉一成さんは「周囲の確認など1つ1つ意識して運転していきたい」、長野美紅さんは「これからも無事故・無違反を心がけていきたい」と、実技を通じて生徒の安全運転に対する意識が高まっているようでした。
 種子島自動車学校で倫理・講習課長を務める春日淳さんは「学科教習では危険予測の必要性を伝え、生徒の皆さんに安全運転を実践してもらえる内容にしています。また、走行訓練では今回の『遅乗り台走行』のように競技性のある課題も取り入れています」と、生徒を飽きさせず、楽しみながら参加できる工夫について語られました。
 種子島高等学校教諭で交通係の上野隼人さんは「原付でコースを走り、教習指導員の方々からアドバイスを受けることで、生徒自身に運転の悪いクセを気づいてもらうことができます。生徒が重大事故に遭ったり、起こしていないのは、こうした参加体験型の実技教育によるものだと思っています」と原付講習会の成果について語られました。  このように、種子島高等学校では地元の警察署や自動車学校と協力のもと行われる「交通安全教育」と、高校生活の思い出を紡ぐ「スーパーカブ」が、受け継がれ、乗り継がれています。

 

原付講習会は種子島自動車学校の教習コースを利用して行われました

原付講習会は種子島自動車学校の教習コースを利用して行われました

学科教習通じて、安全運転の大切さを伝える種子島自動車学校の教習指導員。

走行訓練を通じて、安全運転の大切さを伝える種子島自動車学校の教習指導員。

走行訓練では法規走行

遅乗り台走行

学科教習と走行訓練を通じて、安全運転の大切さを伝える種子島自動車学校の教習指導員。走行訓練では法規走行(写真左下)、遅乗り台走行(写真右下)に生徒の皆さんが熱心に取り組んでいました

 

D-Call net 概要図

(左)申恩恵さん「父の薦めでスーパーカブにしました。シフトチェンジするのが楽しいです」
(中)渡邉一成さん「スーパーカブは兄から譲り受けました。走りだけでなく、スイッチ類が操作しやすい配置になっていて不満な点はありません」
(右)長野美紅さん「まわりの人からスーパーカブがいいと聞いて選びました。実際に乗りやすく、見た目もカッコいいと感じています」

種子島自動車学校で倫理・講習課長を務める春日淳さん

種子島自動車学校で倫理・講習課長を務める春日淳さん

種子島高等学校教諭で交通係の上野隼人さん

種子島高等学校教諭で交通係の上野隼人さん