MENU

HONDA

検索

視覚障がい者が自分で運転。夢をかなえる体験ツアーにHondaが協力。

2016年9月20〜21日に第10回を開催。参加者それぞれにサポーターがつき、プログラムにも一緒に参加する。

1960年代、自動車メーカーとしていち早く安全運転教育への取り組みを始めたHonda。「交通社会に参加するすべての人の安全を守りたい」という想いのもと、さまざまな活動を展開してきました。クルマやバイクを運転する喜び、楽しさとともに、運転者、歩行者、自転車にも目を向け、子ども、高齢者、障がい者も含めた交通社会全体の安心、安全を追求し続けています。
今回ご紹介する運転体験イベントへの協力も、そうした取り組みのひとつ。クラブツーリズム株式会社が主催する、全盲、弱視の方を対象とした自動車の運転体験ツアーを、Hondaは第3回目からサポート。訓練を受けたHondaの安全運転インストラクターが、栃木県のツインリンクもてぎ内の交通教育用施設 アクティブセーフティ トレーニングパークをメイン会場とし、補助ブレーキ付きの教習車両を使って、特別に考案されたプログラムに沿った運転指導を行います。
「目が見えなくてもクルマを運転してみたい」という夢の実現を応援し、支えるために、関係者はどんな想いで取り組んできたのか。そして、実際に運転を体験した方々はどんなことを感じるのか。皆さんに話を聞きました。


運転の喜びを通して、より安全な社会づくりに参加してほしい。

「あやとりぃ 長寿編」生みの親 元 安全運転普及本部 相浦和則 当時を振り返る、鈴鹿サーキット 事業推進室 主幹 新家哲男

当時を振り返る、鈴鹿サーキット 事業推進室 主幹 新家哲男

全国7ヵ所にあるHondaの交通教育センターでは、専門の知識やノウハウをもとに、運転のスキルアップから運転復帰支援、企業ドライバーへの運転研修など、安全運転の知識や技術を楽しく学べる場と機会を提供している。その中のひとつ、ツインリンクもてぎ内にあるアクティブセーフティ トレーニングパークは、その名のとおり安全運転を積極的に学んでもらうための参加体験型施設。免許取得後間もない方、免許は持っていても普段は運転しない方、お子様からシニアドライバー、そして歩行者、自転車に至るまで、すべての交通参加者を対象に幅広い安全運転教育活動を行っている。
2012年9月、アクティブセーフティ トレーニングパーク所長だった新家哲男(しんけ てつお・現在は株式会社モビリティランド 鈴鹿サーキット 事業推進室 主幹) の元に、一本の電話が入った。「Honda本社の知人からでした。視覚障がい者が自動車運転を体験する企画について旅行会社から相談を受けている。力になってあげられないか、と」。突然の打診、しかも運転するのは視覚に障がいのある人たち。普通なら難色を示しそうなものだが、「二つ返事で快諾していました。数分の短い通話であまり詳しくは聞けませんでしたが、迷いはありませんでした」と笑顔で振り返る。
Hondaは古くから、身体障がい者の方向けにも運転支援や交通安全教育を実施していた。当時も安全運転普及本部では、高次脳機能障がいとなった方のリハビリテーション後の運転復帰をサポートする安全運転教育機器の開発を、作業療法士や各種医療機関の協力を仰ぎながら進めていた。また、視覚障がい者を対象にハイブリッド車の走行音の体験会をツインリンクもてぎで開催するなど、福祉を含めた交通安全活動への気運が高まっていたという。「そんな時期だったので、運転体験の話を聞いたときもすぐに決断できました。これはHondaでやらなければと思ったんです」。 茨城県内の自動車教習所ですでに実施されていると聞き、新家は早速視察に向かった。音声だけのラジオと、映像もあるテレビとでは実況の仕方が異なるように、初めて目にする視覚障がい者向けのプログラムは、伝える情報の量や種類、表現方法、サポートする範囲など、あらゆる点で健常者用とは違っていた。しかし、明らかな違いを実感したことで、かえって想いは強くなったという。「運転の夢の実現をお手伝いできると同時に、インストラクターの指導力や気配り、施設スタッフの心遣いなどのレベルアップにも繋がる。Hondaとして得るものは大きいと確信しました」。
もちろん課題も多かった。社会貢献とはいえ、長く継続させるためにはビジネスとして成立させなくてはならない。視覚障がい者向けプログラムの習得と練習、関係スタッフへの教育、施設内のホテルでは盲導犬の宿泊にも対応できるよう専門家のアドバイスも受け、準備を進めた。特にこだわったのは、体験プログラムの「質」だという。「安全に楽しく、は大前提。運転の面白さ、操る喜び、“自分で走らせたんだ”という誇りや達成感も、健常者と同じように味わってほしいと考えました。そうした喜びの体験が、家族とのクルマ談義や、外出時の安全への注意に繋がればと期待しました」。
交通社会の一員という意識を一人ひとりが持つことは、Hondaが目指すより安心・安全なモビリティ社会の実現に繋がっていく。そう信じ、奔走すること約半年。2013年4月、視覚障がい者8名が自ら運転する体験ツアーがツインリンクもてぎで開催された。以来、年1〜2回のペースで実施され、回を重ねるごとに遠方からの参加者やリピーターも増加。15名が参加した今年9月のツアーも、一瞬で定員が埋まるほどの人気ぶりだった。