傾斜や起伏があっても、
グラスミーモならしっかり登って刈れる。
このぶどう畑は、長野県塩尻市の柿沢という地区にある西向きの斜面につくられています。標高はいちばん高いところで864m、斜面の傾斜は8°。広さはおよそ20,000㎡で、そのうち2,000㎡ほどの範囲の草刈りをグラスミーモで行っています。
陽当たりや風通しの良さはぶどう栽培にとっては好条件になりますが、草刈りをする私たちにとっては、強い日射しや強風で作業がしづらくなることも多いです。面積が広いので人数も時間もかかる重労働ですが、この草刈りを怠るとぶどうの生育に影響が出て良いワインがつくれないので、やるしかないんですよね。作業を自動化してその負担が少しでも減らせるなら、活用しない手はないと思ったんです。
陽当たり、風通し、昼夜の寒暖差など、醸造用ぶどう栽培に適した条件がそろった豊かな圃場。
グラスミーモは一部のエリアで草刈りを担当。
この畑は、もともとある傾斜に加えて、樹の株元には起伏もあり、平らなところはほとんどありません。私たちでも刈りにくいと感じることがあるこの斜面をしっかり登って刈ってくれるか、まずはそこが重要でした。
Hondaのグラスミーモは登坂性能が高いと知り、ぜひ使ってみたいと思いました。Hondaの認定販売店のマルモ機械さんに問い合わせて、エリアワイヤーを設置してもらい、1週間以上試せるデモサービスを利用させてもらったところ、畝間も、樹と樹の間も、タイヤが地面をしっかりグリップして力強く進みながら刈っていく。これなら任せられそうだと思い、経営陣に導入を提案しました。価格、性能、導入後に期待できるメリットなど、国内で販売されている他のメーカーや機種もかなり詳細に調べて、比較資料をつくりましたね。グラスミーモで特に強調したのは、斜面でのパフォーマンスが安定していること、24時間いつでも自動で稼働すること、そしてなによりも、除草作業の効率化でスタッフの負担が減らせること。より良いワイン造りにつながる投資であると理解してもらうことができ、2024年8月から導入することが決まりました。
グラスミーモの稼働エリアは、ワイナリーを訪れるお客さまからいちばん良く見える場所。常に草丈が整ったきれいな状態でお迎えしたいと以前から思っていたので、それが実現できるのもうれしかったですね。実際、作業中のグラスミーモを見つけたお客さまに「何が動いているんですか?」と聞かれて、そこから畑やワインの話が広がる、なんてことも増えたんですよ。
最大登坂能力25°のグラスミーモは傾斜地でもパワフルに走行。
作動状況がスマホでわかる。
この便利さも、決め手に。
実は以前、Honda以外のロボット草刈機も使ってみたことがあるんですが、スマホ対応していない機種でした。当初は遠隔操作の必要性をそこまで感じていなかったので、草刈りができればいいだろうと思って選んだんですが、すぐに不便だと気づきました。ちゃんと動いているか、途中で立ち往生していないか、確認したいときはいちいち見に行かなくてはいけなくて。せっかく草刈りを自動化したのに、それを監視するために結局は1日何度も畑に降りていくことになって、それがかなり面倒だったんです。
その点Hondaのグラスミーモは、稼働状況をいつでもスマホでチェックできる※から便利。工場の中など離れた場所にいても、作業の手を止めることなく、草刈りが順調に進んでいることが確認できます。それに、なにかエラーが発生したとしても通知で教えてくれる※ので、すぐに対応しに行ける。何時間もずっと停止したままだった、なんてことが起きないので安心なんです。稼働スケジュールの変更※などもスマホでかんたんにできます。便利に使い続けられる工夫がされているところも、グラスミーモの魅力ですね。
※ご利用には、専用アプリ「Mii-monitor」が必要となります。
ぶどう畑に隣接するワイナリーのタンク室から、グラスミーモの稼働状況をチェック。稼働スケジュールの設定・変更もスマホでかんたん。
※専用アプリ「Mii-monitor」が必要となります。
ぶどうの樹にやさしいカタチ。
デザインがいいのもいいところ。
草刈りを自動化するにあたっては、ぶどうの樹にとって安全かどうかも重視しました。それまで株元の草は刈払機で刈っていたんですが、これが非常に神経を使う作業で。刈刃が樹に接触しないよう細心の注意をはらって行っていましたが、どんなに気をつけても大切に育ててきた樹を傷つけてしまったり、切ってしまったりしたことがありました。
グラスミーモは刈刃が本体に隠れているので、そういった心配がないんですよね。丸みがあって角張ったところがないカタチだし、スピードも速すぎないので、樹に接触したとしても傷や衝撃でダメージを与えることがない。だから安心して任せられると思ったんです。
安全なうえに、デザインがいいところも気に入っています。薄くてなめらかで、かっこいいですよね。草地に映えるホワイトのカラーも、一生懸命に刈っている動きも、見るたびにいいなあと思います。便利さでも見た目でも、使いたくなるんですよね。うちでは地域に向けた農業体験も実施していて、家族連れも多く参加します。この畑で初めてグラスミーモを見た、というお客さまも増えていくでしょうね。特に子どもたちがどんな反応をしてくれるのか、そんな楽しみもできました。
田村マネージャーは「デザインの良さも選んだポイントでした」と話す。
時間と情熱は、「人」にしかできない仕事のために。
農業の未来に向けた挑戦は続く。
グラスミーモに任せているエリアはまだ一部で、それ以外ではこれまで通り乗用草刈機や刈払機を使っています。こことは別にもうひとつある畑と合わせて、草刈りにかかっていた時間は年間約400時間。グラスミーモ導入後は、そのうち40時間ほどを削減することができました。わずかな数字かもしれませんが、ワイン造りに使える時間が40時間も増えた、これは私たちにとってなによりもうれしくて価値のあることなんです。キャノピーマネジメントにかける時間の捻出、醸造技術の向上、よりきめ細やかな品質管理など、やりたいことは限りなくあるのに日々の草刈りに時間をとられてしまう、そんな長年の悩みを改善することができました。
また、ぶどうの樹を傷つけるリスクと、そのリスクを常に感じながら作業するスタッフのストレスを軽減できたことも、大きな効果でした。神経を使いながら何時間も作業する心理的な負担は、もしかしたら体力的な負担よりもきつかったかもしれません。それが大幅に減らせたことも、非常にうれしかったですね。
草刈りの時間が減ったぶん、より良いワインを追求するために使える時間が増え、スタッフのモチベーションも上がったと感じています。本来やりたかったことに専念できるようになると、職場の雰囲気もいきいきしてきますね。私たちがめざしている「土地の個性を活かしたワイン造り」をさらに前進させられる、その大きなきっかけをグラスミーモがつくってくれたと思っています。次のモデルチェンジでは、より急な傾斜に対応できたり獣害対策ができたり、そんなさらなる進化も期待しています。
高齢化や後継者不在による農業の人手不足は、この地域でも急速に進んでいます。また、繁忙期と閑散期の差が大きいため通年雇用が難しいという実状もあり、私たちのワイナリーでも、繁忙期はどうしてもスタッフ一人あたりの作業負担が大きくなります。そういった課題を解決する手段として、機械化・自動化の必要性は以前から感じていましたが、グラスミーモ導入の効果を実感できた今、その想いはさらに強くなりました。
私たちがめざすのは、土地の個性を活かしたワイン造りと、そのワイン造りを通して地元の皆さんと深くつながり、より豊かで魅力ある地域づくりに貢献していくこと。そのチャレンジに欠かせない一員として、これからもグラスミーモの働きに期待しています。
高齢化や人手不足といった農業の課題を解決するには、新しい技術の活用が不可欠と語る田村マネージャー。
栽培から醸造までこだわりぬいた質の高いワインを多種製造。ワイナリー内を見学することもできる(要予約)。