須藤英一(フリー・カメラマン)
1956年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンとなる。1985年雑誌『アウトライダー』にてツーリング写真の撮影を開始。以後日本の道、風景を撮りつづけ、現在にいたる。2002年長年の取材経験をもとに「日本百名道」(大泉書店)を発表。
桜も散って緑鮮やかな季節となってきた。新緑の山の中を走るとさぞかし気持ちがいいだろう。ということで今回は林道の撮影方法を見てみよう。林道は道幅が狭く写真を撮影するのがたいへん難しい。そんな中でもおもしろい写真が撮れるヒントをいくつかここで紹介しよう。

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林道を気持ちよく走り、そして撮る。
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林道に行くとどうしても走ることを楽しんでしまい、途中で止まって写真を撮るのを忘れてしまいがち。気持ちよく走っている時に撮影のために走りを止めてしまうのはなかなか勇気がいる。しかし撮影場所やテーマを絞ってしまえば、そんな問題もなくなりそうだ。例えば、林道で眺めがいいと言えば、標高の高い峠付近。峠に近づいたら写真を撮ると決めていれば、それまではおもいっきり愛車との走りを楽しむことができる。こうすればカメラ撮影と走りの両方を林道で満喫することができそうだ。

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林道撮影での極意伝授  (その1) 注意すること
Photo02 林道は道幅が狭く、バイクから離れて撮影することが難しい。そのために広角レンズを多用することになる。出かける前には、出来れば、広角レンズが使用できるカメラを用意するようにしよう。
Photo03 林道の写真でよく見かけるのが、自分のバイクを道の真ん中に置いて撮影した写真だ。
林道は道幅が狭く見通しも悪いため、他の通行のじゃまになってしまう。事故を誘発する可能性もあり大変危険なので、このような撮影はなるべく避けるようにしたいものだ。

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林道撮影での極意伝授  (その2) シチュエーション別撮影法
Photo04林道を走っていて見つけた気持ちよさそうな小川のせせらぎ。ここで普通に写真を撮るとこんな感じ。緑がきれいな写真だ。しかし、これではいつも同じような写真ばかりになってしまう。
矢印
右の写真は、小川の向こう側から撮影したもの。細い川の流れを広角レンズを使って広く見せて、ちょっと違うイメージにしてみた。同じ撮影場所でもこんなアイデアを使えば、いつもと一味違った写真が撮れておもしろい。
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小川に架かる橋を見つけたので、ここに愛車をおいて撮影してみた。橋の上からいろいろなアングルを探して見たが、道幅も狭く、これぞというアングルが見つからなかった。そこで思いきって川に下りて、下から撮影してみたらこんな感じに。 川と橋が山深い森の中にある情景がわかる。

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林道の途中に分岐点があり、支道のほうは倒木で進むことができなくなっていた。こんな予期せぬ出来事などに遭遇したら、必ず一枚撮影しておくとおもしろい。
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雨に降られた林道でトンネルを見つけたので、ちょっと休憩。こんな時にも広角レンズで一枚。 この時は青いフィルターを使って寒さを強調し、水たまりに映ったバイクで雨を表現。そしてトンネルの中からアーチを写し込んだ。
Photo08林道で見つけたおもしろい風景も写しておくといい。これは木材を切り出した時に出た廃材が山のようになっている風景だ。緑がきれいな林道の風景もいいが、こんな風景も剛健でなかなかおもしろい。

暗い森の中の道から明るい尾根沿いの道へ向かって走っていると、突然視界が開けた。その時の状況をバイクの後ろから撮影。明るい世界に向かって進んでいく印象を受ける一枚だ。
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林道で夕陽を撮るのはなかなか難しい。林道は山や木に囲まれていて夕陽が見れることが稀である。そんな林道の風景の中、夕陽を狙うには峠付近しか考えられない。西方向に空が広がる峠があれば、ぜひ夕陽を狙って撮影してみよう。夕陽の光が強すぎる場合はバイクがシルエットになるように撮ると、夕陽が際立った写真に仕上げることができる。



第27回:いろいろな構図   第29回:「おすすめツーリングポイント<山編>」