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須藤英一(フリー・カメラマン)
1956年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンとなる。1985年雑誌『アウトライダー』にてツーリング写真の撮影を開始。以後日本の道、風景を撮りつづけ、現在にいたる。2002年長年の取材経験をもとに「日本百名道」(大泉書店)を発表。
いつもバイクを画面いっぱいに取り入れた写真を撮っていると、写真に飽きてしまうことがある。もうすこし背景を考えて、バイク以外のものも注意して写し込んでいくと、写真はもっとおもしろくなるはずだ。その場合、大切なのは「構図を意識する」ということ。何も考えずに撮るよりもシャッターを押す前に、少しだけ構図を意識してみると、今までの写真と違ってくるはずだ。

みなさんはバイクを撮るとき、バイクを画面の真ん中に持ってくることが多いのではないだろうか。カメラは画面の真ん中でピントを合わせてくれるし、露出も真ん中を重点的に測っている。だから自然とバイクを画面の真ん中に持ってきて、このような写真になってしまう。地平線が画面の中央にあり、上下に分割された狙いがよくわからない、つまらない写真となってしまう。バイクを画面の真ん中にするなら、こんなに小さく写すことはないだろう。

カメラのファインダーを覗き、バイクを画面の真ん中に持ってきて、シャッターを半押しすると、そこでピントが合うはずだ。そうしたらカメラを少しだけ上に向けてみよう。地平線が画面の下の方にきて、大きく広がる空がこの場所の雄大さを表現してくれる。1枚の写真としての完成度は、上の写真に比べると一段をあがっているはず。花がきれいならカメラを少しだけ下へ向けてもいい。シャッターを押す前にちょっとだけ意識するようにしよう。

この写真は北九州門司港駅で撮影したのものだ。門司港駅は、イタリア・ローマのテルミニ駅を模して造られたレトロな建物だ。せっかく来たのだからと、ここでCB1300 SUPER FOURと写真を撮ることにした。バイクを画面中央にすると画面下半分が道路になってしまうので、カメラを少しだけ上に向け、その後自分がカメラを構えている位置を少しだけ右に移動して、バイクを画面の左にもってきた。移す前にちょっと移動しただけで、安定した写真になった。

夕焼けの写真を撮る場合、バイクはシルエットになることが多い。写真の中でシルエットの黒い部分が多くなると、暗くつまらない写真になってしまう。この写真では暗い地面の部分をなるべく少なくするために、地平線を画面ぎりぎりまで下にした。そのため赤い空が大きくなり、夕陽が強調されてバイクや木のシルエットが美しく表現されている。この日は太陽の光が強かったので、夕陽を木の陰に入れて弱めている。

水平線や地平線を画面の真ん中にしないで、上や下に構図を変えると、安定した写真になるのはよくわかったはずだ。しかしどうしても空と海を入れて撮りたいときや、水平線が画面の中央に来てしまうときなどは、思い切って水平線を傾けてみるのもおもしろい。海で撮影する場合は、背景が単純に海だけになってしまい、おもしろくない場合がある。そんな時に傾いた水平線は、写真を見る人に不安定な気持ちを与え、写真の印象を強くすることになる。

第3回:新緑を撮る   第5回:セルフポートレイト