須藤英一(フリー・カメラマン)
1956年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンとなる。1985年雑誌『アウトライダー』にてツーリング写真の撮影を開始。以後日本の道、風景を撮りつづけ、現在にいたる。2002年長年の取材経験をもとに「日本百名道」(大泉書店)を発表。
ゴールデンウィークになると、中部地方や東北地方のスカイラインが次々と冬季閉鎖が解除になる。桜前線も東北から北海道に移り、ツーリングシーズンも本番を迎える。山の木に若葉が出てきて、緑が最もきれいな季節になってきた。ということで、今月はこの山々の木の緑をきれいに写すにはどうしたらよいかを伝授しよう。

五月晴れという言葉があるが、これは本来は梅雨の晴れ間を指す言葉だったらしい。でも5月の晴天はたいへん気持ちがよい。この写真は霧降高原道路で5月に撮影したものだ。木の緑が鮮やかなのは、春になって芽生えた若葉がまだ淡い緑色をして、晴れた日には太陽の光をおもいっきり受けているためだ。だから緑の木々を鮮やかに撮すにはこの時期の晴れた日が最もよい条件となる。

5月ともなれば晴れた日中はかなり暑くなる。バイクを止めるときは思わず日陰に入ったりもする。そんな時、日陰から太陽の光が当たっている植物を見ると緑の美しさがわかるだろう。この写真のように日陰でくすんでいるように見える植物も日なたで太陽の光が当たっていれば一段と鮮やかに見えてくる。晴れた日に新緑が目に眩しいと感じたらカメラを構えて撮してみると、きっと鮮やかな緑の木々が写るだろう。

青空が見えなくても、春の森は木の葉がまだ少ないために太陽の光がよくとどき、暗いイメージはない。特にカラ松林などは明るく緑が美しい。ここは信州の戸隠高原のキャンプ場である。朝起きてみると、カラ松林が明るく輝いているのでさっそくバイクを撮影してみた。緑のカラ松林を画面の中に大きく入れるために、縦位置で撮影した。赤いCBX750Fボルドールはその中でも目立って存在感がある。赤と緑のコントラストが美しい。

緑の葉を美しく撮すには、太陽の位置も重要になってくる。太陽の光をカメラの前方から受けるようにする(逆光にする)と、緑の葉は鮮やかな色になる。この写真は夏の北海道、宗谷丘陵の草原。どこまでの広がる草原の緑を鮮やかに撮すため、太陽はカメラの右前方にある。やや逆光になっているために草原が光り輝いている。美しい草原を画面いっぱいに取り入れて、バイクは左下に小さく入れてみた。

曇りの日でも新緑は美しく見えることもある。しかし、それを写真で表現するのは、なかなか難しい。やはり緑は青い空がある時が、最も美しいのではないだろうか?白い雲でもあれば、その写真は最高にあたたかく、気持ちのよい写真となるはずだ。画面いっぱいに緑を入れて撮影するよりも、他の色を画面の中に入れれば、それとの対比で緑が一段と鮮やかに見えるようになる。だから青空の写真は緑が美しいのだ。

第2回:広角レンズと望遠レンズ   第4回:構図