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Product History - 製品の歴史

~ 芝刈機ヒストリー ~
- 第2章 -
より多くの支持を得るため


1991年発売の歩行芝刈機HRB215で芝を刈る様子

Hondaが1978年に販売を開始した手押し式の歩行型芝刈機HR21は、高い静粛性と安全性、耐久性、優れた芝刈性能によって、北米や欧州の一般消費者向け市場で強い存在感を示しました。

なかでも支持されたのが、エンジンの始動性です。季節や地域にかかわらず簡単・確実に始動するHondaの芝刈機は、芝の手入れを自分で行う人にとって、初めて触れるHonda製品となりました。そして芝刈機に対する信頼は、芝刈機だけに留まらず、Hondaブランド全体のイメージ向上にもつながっていきます。

一方、ランドスケーパーと呼ばれる芝刈を職業とする専門業者から見ると、HR21は耐久性を重視したことで重量が重くなり、装備も業務用としては必要のないものが多くありました。結果、芝刈を職業とする専門業者から見るとHR21は競合機種と比較して高価格で、高品質・高機能な高級モデルと認識されていたのです。

HR21シリーズは1985年には一般家庭を中心に年間33万台を売り上げるまでに成長しました。しかし、その成功をさらに大きくするには、HR21で築いた高品質への信頼を守りながら、芝刈を職業とする専門業者にも支持されるように重量と価格の壁を越えなければなりませんでした。Hondaの芝刈機にとって、成功した商品そのものが、次に乗り越えるべき壁になったのです。

HRC216で芝を刈るランドスケーパーの様子

ホームセンターという新しい販売経路の出現

1990年代に入ると、北米では芝刈機の主な販売者が、従来のパワープロダクツ専門販売店からThe Home DepotやLowe’sなどのホームセンターへと移行していきました。

ホームセンターの売り場では、異なるブランドや価格帯の商品が同じ場所に並びます。ユーザーが選ぶ基準も、従来の性能軸やブランドイメージだけでなく、価格・機能・デザイン・用途性など幅広いニーズへと広がっていました。競合他社がしのぎを削る売り場で選択されるためには、従来の高品質・高価格帯の商品だけではなく、さまざまな要望に応える商品を揃える必要がありました。

Hondaは、ホームセンターを介して、より多くのユーザーに芝刈機を届ける方向へ販売施策を転換していきます。

価格競争力を身に着けるためのニューモデル開発

1997年、Hondaは軽量・コンパクトな4ストロークエンジン「GC/GCVシリーズ」を発表。そして、5.5馬力のGCV160エンジンを搭載した歩行型芝刈機HRS216を北米の研究所で現地開発して販売を開始しました。さらに翌1998年、HRS216を中心とする普及価格帯の「Harmony II」シリーズとして本格展開。取り回しやすい軽量さと、300ドル台からという価格競争力を実現しました。

1997年に発売された歩行型芝刈機HRS216。現地開発され、普及価格帯のHarmony IIシリーズの中心機種となった。

Harmony IIシリーズは、一部の高品質志向ユーザーが選択する高級モデルからHondaの芝刈機を、幅広い消費者が用途や予算に合わせて選択可能な商品へと変革するための機種となったのです。

需要のあるところで開発・生産する

価格競争力のある商品を高い品質で安定して供給する。その基盤は、Harmony IIの登場より前から築かれていました。

Hondaには「需要のあるところで開発・生産する」という理念があります。これは日本発祥のメーカーであることから、日本での開発・生産に拘ることを戒めた言葉として、現在でもHondaの中で引き継がれた理念です。この理念とのもと、1984年8月にノースカロライナ州スウェプソンビルで歩行型芝刈機の現地生産を開始。1993年には同地に研究開発拠点も設置しました。芝刈機の最大市場である北米で商品を開発し、生産する。その体制が、北米のニーズを捉えながら品質と価格競争力を両立させるものづくりを支えました。

ノースカロライナ州に設立されたパワープロダクツ工場

商品とともに、販売方法を変更

ホームセンターへの進出と、Harmony IIシリーズの投入は、北米におけるHondaの芝刈機事業の大きな変革起点となりました。

ホームセンターの陳列棚に商品を置いてもらうには、用途や価格が明確な商品を用意するだけでは足りません。年間の取引台数、供給体制、広告宣伝など、ホームセンター向けの販売施策が必要でした。芝刈機のホームセンターでの販売を拡大する中で、従来芝刈機の販売を担っていたパワープロダクツ専門販売店では、ホームセンターで販売された商品の修理や、ブレード、油脂類の交換といったメンテナンスを担うサービス拠点へと、その役割が大きく変化していきました。

HR21が築いたのは、簡単・確実に始動し、長く使用可能であるというHondaブランドへの信頼でした。そして、Harmony IIが切り拓いたのは、その信頼を、より多くの人が手にすることのできる市場です。高品質な高級機で得た成功に満足せず、エンジン、車体、開発・生産、そして販売施策まで変更することで、Hondaの芝刈機は北米市場の幅広い層に支持される商品へと成長しました。