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メディアで紹介された汎用製品
アートも食も自然に近づくほど面白い。
Dig Up! No.2

Dig Up! No.2
text:Yuka Akikawa
photographs:Satoshi Okubo
special thanks:Honda
Dig Up!
●季刊 定価933円(税込)
●株式会社 主婦と生活社
 〒104-8357
 東京都中央区京橋3-5-7
 http://www.shufu.co.jp/

ミニ耕うん機「サ・ラ・ダ」
●商品情報 ●スペシャルページ

小型の耕耘機を軽々と操作する竹内さん
春の種蒔きの前に、まずは畑を耕す。小型の耕耘機を軽々と操作する様子は手慣れたもの。土の中からは、ミミズや昆虫の幼虫も出てくる。自然農法ならではのいい土だ。

晴れ渡った朝、竹内 啓さんは畑に出て耕耘機を操る。今日は野菜の種を蒔く日だ。冬の間、眠っていた土が、ふかふかと軟らかく耕されて、あくびを始める。
自然と共に作り上げた作品 「あれ、おいもが出てきたよ」
娘の梓ちゃんの声が響く。秋に収穫したじゃがいもがまだ残っていた。
「畑に貯蔵しているようなものですねぇ。これ、ポテトサラダにしてもすごくおいしいんですよ」
妻の晴美さんも娘と一緒に、土から顔を出したじゃがいもをせっせと拾い集める。畑は8X10mほど。家族で食べる野菜を育てるには充分な広さだ。そばには友人家族と共同で借りて、水路を引いた田んぼも一反以上ある。今年も普通の米のほか、餅米や古代米も栽培する計画だ。
パフォーマーたちとコラボレーション竹内さんは日本画の画家だ。けれどもその作品は、いわゆる花鳥風月の日本画を想像するとまるで違う。紙の上でさまざまな顔料が流れ、溶け合い、渾然と入り交じりながらひとつの世界を表現していく抽象画、とでも言ったらいいだろうか。
作品はアトリエで「描かれる」ものではない。制作の場は、自然の中だ。山奥、河原、海岸、草原・・・そんなプリミティブな環境に身を置いて、大地に画紙を直接広げ、顔料をのせ、金箔を散らす。標高3000mの岩山にテントを張って描くこともあるという。
アトリエでの仕上げ「自然全体をじかに感じながら、即興で描くんです。見ているだけだと単にいい景色だなって場所でも、描いていると、自然の意志のようなものががんがん押し寄せてくる。非常にエキサイティングな時間ですね」
制作はそれだけでは終わらない。顔料が乾くまでのひと晩、竹内さんはたっぷりと絵の具ののった画紙をそのまま放置する。その間に、描かれた絵は不思議な変化を遂げる。
風が吹く。夜露に濡れる。時には嵐や豪雨にも遭う。その時々の状況によって、絵の具が流れたりとどまったりして、予想もつかない結果が生まれるのだ。
さまざまなハケ「水が循環して、紙の上に小さな地形が生まれる。半分は自然現象に描いてもらってるんです」
制作中は、刻々と様相を変えていく早朝や夕暮れの空の表情からインスピレーションを得ることも多い。畑で土に触れながらも、気がつくと空を見上げているという。畑もまた、竹内さんにとって、ドラマチックな自然を丸ごと感じ取る場なのだろう。
岩石などから作られた顔料竹内さん一家が埼玉県越生町の山里に越してきたのは10数年前。生活の場も自然の中に置きたいというのが大きな理由だった。知人の農作業を手伝ううち、自分でも田畑を借り、すでに6年ほどになる。「手伝うのと自分でするのは大違い。オロオロモタモタしていると、近所の人が見かねて教えてくれたり」。畑には自家製の堆肥や、そばを流れる越辺川の掃除で集めた木のチップを入れる。田んぼにはレンゲや雑草を漉き込んで緑肥にする。化学肥料や農薬は一切使っていない。
「カッコよく言うと自然農法だけど、プロから見れば単なるほったらかし。失敗だって多いし、いまだ試行錯誤中ですね」
それでもいいのだ。大地に直接触れながら、家族と共に米や野菜を育て、料理して食べる。畑には虫や鳥、カエル、夏にはホタルもやって来る。稲刈りの時には友人も集まって、野良にしつらえたカマドで焼肉を楽しむ。この土地での日々は、絵を描くことと同様に、自然との交感にほかならない。
山の斜面にある住まいには、夫婦それぞれのアトリエもある。竹内さんは作品を仕上げ、石を砕いて顔料を作る。芸大の同級生だった晴美さんは、ここで暮らすようになってから陶芸の窯も持った。
梓ちゃん「都会を離れて寂しいでしょって言われるけど、ちっとも」と晴美さん。これからの季節は葉野菜や麦、トマト、ナスと畑仕事も大忙しだ。
遠い田舎に引きこもるのではなく、ほどよい山里に住んで、必要とあらば、都市へも山へも海外へも、軽々としたフットワークで出かけていく。そのスタンスはちょっと(いや、かなり)うらやましい。

■ 竹内さん流、野菜の育て方とレシピのご紹介
 >> 畑こそ究極の厨房。団らんこそ至上の器。

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