レポート報告

被災地のためにHondaができることは何か。
子どもたちに夢をあきらめない気持ちを伝えたい…。

そんな想いから2011年6月にスタートした「ASIMO特別授業」。岩手県、宮城県、福島県を中心とした地域の小学生を対象に、ASIMOの性能・開発プロセスの紹介などを通じて、“夢を持つこと”や“チャレンジすること”の大切さを伝えています。

ASIMOと真夏の体育館
福島県 東白川郡 棚倉町の今。

江戸時代には棚倉藩の城下町として栄えた福島県東白川郡棚倉町。東日本大震災では、建物倒壊などの被害は少なかった地域ですが、今なお福島原子力発電所の事故の影響に揺れています。除染作業で出た廃棄物がしばらくの間小学校に仮置きされており、2015年7月にようやく搬出作業が行われました。震災の傷跡は、街や建物の崩壊だけでないことを痛感させられます。今日は町内にある棚倉小学校、近津小学校、社川小学校、山岡小学校、高野小学校の計5つの小学校の生徒が棚倉小体育館に集い、特別授業に参加してくれました。

授業風景
挑戦と失敗の歴史。

軽快な音楽に合わせてASIMOが登場してきました。

授業はASIMOの自己紹介から開始。最初は胴体のない足だけのロボットだったことや、一歩踏み出すのに5分もかかっていたこと。開発者が動物園に通いダチョウやツルを観察して参考にしたことなどが紹介されました。ひとつひとつを改善しながら、現在のASIMOがつくられているのです。
ASIMOの開発は挑戦と失敗の歴史でした。

二足歩行とバランス制御技術。

ここから学校の先生を交えた実演コーナーへ。

まずは、人間が二足歩行で歩くためにいかに重心が大切かをみんなに説明。ASIMOも人間と同じ様に、重心をコントロールすることで二足歩行を実現していることが紹介されました。

次に、先生がUNI-CUBに乗って登場!これは、ASIMOなどの研究で生まれたバランス制御技術を活かし、体を傾けるだけで自由に進むことができる新しい乗り物です。初めて見るUNI-CUB、それを乗りこなす先生の勇姿に子どもたちから大きな歓声が上がりました。

そして、先生がゴールキーパーになり、ASIMOがサッカーの腕前を見せる場面も。蹴ったボールのスピードに「すごい!」という声が飛び交いました。

このコーナーの締めくくりには、ASIMOがオリジナル手話ソングを披露。子どもたちは手話に合わせて手を動かしたり、中には、立ち上がり音楽にのって身体を揺らす子も。ASIMOがリズムに合わせて動く姿に会場中が釘付けになりました。

失敗を恐れずに、夢にチャレンジするということ。

Hondaは「人々の生活に役に立つためのロボットをつくる」という夢を持ち続けてきました。今日のこの瞬間も、失敗と挑戦を繰り返しASIMOは成長しているのです。「みんなも自分の夢に向かってチャレンジしてください」というメッセージで授業は終了。最後はみんなで記念写真をパチリ。

真夏の体育館は、子どもたちの笑顔と興奮でいっぱいになっていました。

子どもたちの声

将来は、3DのものとかASIMOに
負けないかっこいいものをつくりたい。

最初は胴体もなかったのにどんどん
成長したASIMO。僕も小学校の先
生になるという夢を叶えたい。

将来は漫画家になってロボット
の秘密について書いてみたい。

将来は看護師になりたい。
ASIMOと働ける未来がくるかも。

できないことができるようになった
ASIMOはすごい。私も逆上がりが
できるようになりたい。

将来はパティシエになって
ASIMOのお菓子つくってみたい。

学校の先生の声

Hondaの開発者が人の生活に役立てるようにと強い思いを込めたこと、最後まで希望を捨てなかったということ、目の前で動くASIMO、すべてに感動しました。この授業を受けて、子どもたちも将来のことを想像したみたいですね。未来につながる有意義な夏の思い出になったと思います。

純粋に、面白い!と思いました。最近は「投げ出しがちな子が増えている」と言われますが、長い間、困難にもめげず邁進したASIMOの姿は、子どもたちの印象に残ったはず。現在キャリア教育の一貫で、職業体験学習を行っていますが、今日の出来事も大きな刺激になったと思います。みんな頑張れ!

機械や技術への興味が高まった子、夢を持ってがんばることの尊さを学んだ子。それぞれの胸にそれぞれの思いが宿ったと思います。この子たちの長所は、話を聞く時とはしゃぐ時のメリハリがしっかりしていることなんですが、今日はいつも以上に真剣でしたね。UNI-CUBにも乗れて、私自身も楽しかったです。

ロボットや機械が大好きで、ものづくりに興味をもっている子って多いんです。でも、地方だと先端技術に触れる機会はなかなか得られません。今日のように技術を身近に感じられる機会があると刺激になるはずです。この経験をきっかけに夏休み明けの授業もはりきってくれるかな?(笑)

子どもたちの笑顔がキラキラ!参加して本当によかったです。ASIMOの様に、失敗してもあきらめずに、地域を支えていく大人に成長して欲しいと思います。最近は子どもたちの「理科ばなれ」が問題になっていますが、こんな授業があったらもっと好きになってくれるのでは。実はASIMOを見るのは今日で2回目。以前よりできることが増えていてびっくりしました。

Hondaスタッフの声

震災時、宮城県にいたので被災地のために何か貢献したいと参加しました。子どもたちの夢中になる姿は、本当に迫力がありました。中にはいろんな角度から見てみたいと地べたに顔をくっつけてASIMOを観察している子も。子どもは頭だけじゃなくて、体全体で考えているんですね。みんなの夢は、数年後どうなるのかな?困難にぶつかっても、がむしゃらに夢を追いかけてほしいと思います。

日本本部 西田さん

震災の年、現地ボランティアに参加できなかったという後悔の気持ちが、参加のきっかけに。地震や津波の被害が甚大だった場所は大きく報道されましたが、マスメディアに取り上げられていない場所があることも、今回身をもって感じました。私の目を見て真剣に話を聞いてくれた子どもたち。その笑顔はたくましかったです。困難を乗り越えたASIMOのように、どんなことにもめげずに前進してほしいです。

埼玉製作所 煖エさん

Hondaの技術を通して、被災地の子どもたちに夢や希望を与えたいと思い、このプロジェクトに参加しました。特に印象的だったのが、なんといっても子どもたちのリアクション。全力で手を振ってくれたり、目をキラキラ輝かせてくれたりして、ASIMOへの期待の強さを実感しました。この機会を通じて、他のボランティアにも興味を持ち始めました。出会った子どもたちに負けないように、私も頑張りたいと思います。

埼玉製作所 冨田さん

岩手県出身ということもあり、被災地のために何かできないかと以前から考えていたので、募集を知った時はすぐに参加を決めました。一番驚いたことは「今日夢ができました。ASIMOに負けないロボットをつくることです」と言ってくれた男の子がいたこと。夢を持つ子どもがいて、それに刺激をもらって、僕らも成長していく。復興支援に来て、僕たちも力をもらった。出会った子どもたちみんなに感謝です!

埼玉製作所 金野さん

私は過去に大きな震災を経験しています。だから、他の震災被災地に何か貢献したいと考え、今回の取り組みに参加することに。授業を受けた子どもたちは、積極的で前向きな子が多かったです。そのような姿を見て、子どもたちがどんな大人になるのか想像するとワクワクしました。

管理本部 藤崎さん
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