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  • 2021.09.29

HondaWoods浜松の森づくりをご紹介!

HondaWoods浜松の森づくりをご紹介!
森の達人より
こんにちは!「ツインリンクもてぎ」にある自然体験施設「ハローウッズ」森のプロデューサーの﨑野です。Hondaは40年以上にわたって森づくりに取り組んできましたが、2014年からは「進んで手を入れながら育成していくことで人と共生し、人に恵みをもたらす森を創る」という“里山”の考え方をもとに、HondaWoodsの新たな森づくりを始めました。今回はその中から「HondaWoods浜松」の森を紹介します。
﨑野 隆一郎
ハローウッズ
森のプロデューサー﨑野 隆一郎
ツインリンクもてぎの自然体験施設
「ハローウッズ」へ行ってみよう!

トランスミッション製造部(旧:浜松製作所)

本田技研工業(株)は、1948年、浜松で誕生しました。「日本一、世界一の二輪車メーカーに」という夢を託してHondaが世に送り出したオートバイ「ドリーム号」は大ヒットし、高まる需要に応えるため、Hondaは1954年、浜松市葵町(当時)に「浜松製作所」を設立。以来、浜松製作所はHondaの一大生産拠点としてHondaを支え続けてきました。
現在、浜松製作所は「トランスミッション製造部」と名前を変えて、AT、CVTなど四輪車トランスミッションの製造工場として稼働しています。

このトランスミッション製造部、ロケーションを見てみると、浜松市の住宅街の中、広大な自衛隊の基地(航空自衛隊 浜松基地)と隣接した位置にあります。現在は市街地化しているこの地域ですが、昔はスダジイやタブノキなどの常緑広葉樹林を中心とする台地上の森林環境で、汽水湖である浜名湖や海から近いこともあり、一部、海浜性の環境の特徴も見られる地域でした。
明治時代以降は森林の多くが茶畑として造成され、浜松製作所が設立された周辺もほとんど農地として活用されていました。

このような場所に設立され50年以上に渡ってHondaを支えてきたトランスミッション製造部ですが、敷地の南東部には近隣の住民の方々とも共有できるよう、早くから「ビオトープ」として整備・管理されてきたエリアが存在していました。このエリアの存在こそが、トランスミッション製造部の大きな特徴と言えます。

2014年、ふるさとの森からHondaWoodsへ

周辺の森林からは隔絶された住宅街という周辺環境の中で、1970年代、トランスミッション製造部には地域古来の自然環境を守り育む森として「ふるさとの森」と呼ばれる森が作られました。この常緑広葉樹林に隣接する形で存在していたビオトープには小さな水の流れもあり、充分な棲み処のない近隣の生きものたちにとって、貴重な生息地となり得る可能性を秘めていました。

2014年、Hondaの事業所全体で「進んで手を入れながら育成していくことで人と共生し、人に恵みをもたらす森を創る」という “里山” の考え方をもとに、HondaWoodsの新たな森づくりが始まりました。トランスミッション製造部でも、この考え方に沿って新たな森づくりを模索することになり、ビオトープを中心とする従来の「ふるさとの森」のエリアから、その試みがスタートしました。

しかし当時のビオトープは植物類の繁茂が著しい状態で、水面はごくわずかしか見えず、森の中は鬱蒼として薄暗く風通しと日当たりの悪い環境となっていました。そこで「HondaWoods浜松」としては、この環境を生きものたちの生育に適した環境に改善することで、より豊かな生物多様性を持つ森づくりを目指すことになりました。

昆虫エリア・水辺エリアの整備

●昆虫エリア
ビオトープの周辺に、クヌギやコナラなどが植栽されているエリアがありました。これらの木はカブトムシやクワガタなどの昆虫が好んで寄ってくる木です。そこでこのエリアを「昆虫エリア」として育成することにしました。しかし当時は、エリア内には大きなエノキの木が1本だけで、下草が繁茂し、若い木々は風通しと日当たりが悪く高い樹木へと成長できない状況でした。対策として高木になり得る木を数本選択し、その木が成長可能なように、また本来の植生へ戻れるように、周辺の木々や草本を定期的に間引きや間伐、下刈り作業を行うこととしました。

森の育成を進める一方、昆虫たちが寄ってきやすい、産卵しやすい環境を作る試みも行いました。カブトムシは堆肥や落ち葉の下にもぐって卵を産み付けますから、間引きや間伐、下刈りで発生した大量の枝葉を収集して囲いの中に入れ、カブトムシのメスが産卵しやすく、またふ化した幼虫がそのまま育ちやすい「幼虫の棲み処」を作りました。

●水辺エリア
従来から、ビオトープには小川の流れる「水辺エリア」がありました。しかし草本類が繁茂して流れが隠れ、薄暗い環境になりつつありました。また周辺にはセイタカアワダチソウやヨウシュヤマゴボウなど、繁殖力の強い外来の植物も確認されました。一方、このように「荒れた」環境であったにもかかわらず、外部からコオイムシ(カメムシ目の水生昆虫)などの希少種が飛来し、繁殖していることも確認されました。
そこで、水路の整備、地域植生への入れ替えなどを行い、地域の生きものがより棲みやすい水辺環境を整えることにしました。

まずは周辺に繁茂した外来種や草の刈り払い作業を行い、次にアシやガマなど水辺に群生した植物を根こそぎ除去。直線的に流れていた水路は、拡張して蛇行させつつ大小の石を置くことで多様な環境を作り出しました。

持続可能で変化に強い森へ

浜松近辺の森林は、人間の手が入らなければミミズバイ・スダジイ・タブノキなどの常緑広葉樹が生い茂る森になっているはずです。これらはシイ・カシ類の樹木なので、こうした森ではその葉に依存するウラギンシジミなどのチョウ類や、種子を食料にするネズミ類や鳥類、それを狙う肉食獣の存在が多くなります。

また水辺は湿生植物が繁茂する湖沼になると考えられ、その結果、ヒルムシロやアシ、ヨシなどが茂り、そこに生息するオオヨシキリやカヤネズミなどのアシ原に依存する種や、イトトンボ類など止水に依存する種が見られるはずです。

HondaWoodsは、こうした地域本来の自然環境に留意しつつ、人間の暮らしと共存する持続可能で変化に強い森を目指しています。多種多様な個性があふれる森は、多種多様な人々が共存する活力にあふれる社会の姿と重なります。HondaWoodsでは、周囲の環境に合わせた積極的な森の手入れを行い、間伐や若返り(萌芽更新・ほうがこうしん)で生命を循環させ、多くの植物や動物、昆虫たちを育み、若々しく個性あふれる森を育てていきます。

工場内の森に田んぼや小川など
「里地・里山」を再現するHondaWoods浜松。

静岡県浜松市にあるHondaトランスミッション製造部には、ビオトープや果樹園を含むHondaWoodsの森が整備されています。森の中には小川や田んぼも作られ、稲作体験や水辺の生きもの観察なども行われています。

本田技研工業(株) トランスミッション製造部
本田技研工業(株)
トランスミッション製造部

静岡県浜松市中区葵東1-13-1

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ツインリンクもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

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里山ちびっこ冒険隊~バッタさがし~

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