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  • 2021.10.29

イノシシやムササビ、タヌキなどの森の野生動物たちのうんちのなぜ? なに? 編

イノシシやムササビ、タヌキなどの
森の野生動物たちのうんちのなぜ? なに? 編

10月に入ると日本各地から紅葉の便りが届き始め、気分はすっかり秋。ハローウッズの森でもヤマザクラやミズキなど紅葉の早い樹木は葉っぱが色づき、落葉し始めます。森の動物たちも冬支度で大忙しです。だんだん、目にする生きものが減っていくのは残念ですが、秋は動物の暮らしぶりを知るにはオススメの季節。なぜなら野生動物たちが残したフィールドサインを見つけやすい時期だからです。そこで今回は、フィールドサインの中でも比較的探すのが簡単な「うんち」を取り上げます。

境野 圭吾
ハローウッズ
キャスト境野 圭吾

「うんち」から推測してみよう!

野生動物を観察するうえでもっとも難しいのが、実際に行動している様子を間近で見ることです。野生動物のほとんどは夜行性なうえに人を避けるように活動しているので、目にする機会はまれです。
しかし、姿は見えなくても動物たちが残したフィールドサイン(足跡・食痕・うんちなど)から動物たちの暮らしを推測することは可能です。なかでも「うんち」は「食」と深く結びついているので、うんちを観察することは、その動物の食生活を知る手がかりとなります。また、うんちが残された位置や量から、それぞれの動物の行動圏や個体数などを知ることもできます。

それではここから、ハローウッズで見つかる動物たちのうんちと、そこから分かることを紹介していきましょう。

森の大食漢イノシシのうんち

ツインリンクもてぎ周辺で遭遇率がもっとも高い野生動物はおそらくイノシシです。とくに秋は大好物のドングリやカキなどの木の実が地面に落ちるので、道路脇や人家の近くでも目にする機会が増えます。必然的にイノシシのうんちに遭遇する機会も多くなり、ビックサイズのうんちが道路の真ん中にどーん!と残されていることもあります。お団子を無理やり押しつぶしたような特徴的な形なので、知っていれば見分けは簡単です。

秋時期のうんちを観察してみると、木の実のタネや破片に混じって、根っこのような繊維質のものや虫の残骸が入っていたりします。虫を好んで食べているのかは不明ですが、いろいろなものを口に入れているようです。

わざと目立つところにうんちをする動物たち

人間が用を足すとき、大っぴらに人前で用を足すことはしません。人に見つからないような場所を選んで用を足すことと思います。ところが動物の中には、あえて人目につくところでうんちをするものがいます。テンなどイタチ科の動物たちは、自分の縄張りを主張する目印としてわざと目立つところにうんちを残すと言われています。石や手すりの上、階段のステップなど、見通しの良いところに残すので、注意深く森を歩けば見つけることは容易です。こういう意図的に残されたフィールド・サインは「サインポスト」と呼びます。またイタチ科の動物のほかに、キツネもサインポストを残します。

イタチとテンはネズミや両生類、昆虫などの小動物を主に採食していますが、雑食性で季節によって食べるものはまちまち。昆虫がたくさん入っているときや、サクラなど木の実が多めに混じっているときなど、その時期の森の様子がうんちに反映されています。秋は木の実を多く食べる傾向があるのか、アケビのタネがびっしり入ったうんちをよく見かけます。木の実を分解する能力が低いのか、果肉がうんちに残っていることもあります。

共同トイレをもつ習性があるタヌキ・アナグマ

山の中をゆっくり散策していると、ふとした瞬間に風に乗ってうんちのニオイがしてくることがあります。出処をたどってみると尾根や開けた斜面に山盛りのうんち。多くの場合、タヌキかアナグマのうんちです。秋から冬は下草が少なくなるので、よく目立ちます。
タヌキとアナグマは「ためフン」という共同トイレをもつ習性があり、うんちを同じところにすることで、ニオイを通してお互いのコミュニケーションを取っています。複数個体が隣接して暮らす場所では、とんでもなく大きな「ためフン」をつくることもあり、庭先や住宅街の公園にためフンをして迷惑がられることもしばしばです。
また、タヌキはためフン場に通うことで、自分の存在を相手に知らせるだけでなく、周囲に暮らしているタヌキの個体数や体の調子なども把握していると言われています。秋の夜には、カキの木の下で落ちた果実を美味しそうに食べている姿を見かけます。

樹上からパラパラ降ってくるムササビのうんち

ハローウッズで1番人気の野生動物が空を滑空する「ムササビ」です。ムササビは日本最大のリスで、普段は樹の上で生活をしているので地上に降りてくることはありません。昼間は木の上で寝ていて、日没後に木々の間を飛び回って採食をおこなっています。

ムササビ観察をしていると食べカスとうんちが樹上からパラパラと降ってきます。巣から出たばかりのムササビは、エサを食べると同時に大量のうんちを落とすため、ムササビの巣穴の近くには、うんちが転がっています。うんちは正露丸そっくりでまん丸。大量にあると探しやすいですが、色が地味なこともあり慣れないと見つけるのは一苦労です。
秋には、どんぐりや松ぼっくりなど木の実を食べることが多いので、うんちを探すよりは食い散らかした食痕を探すほうが容易かもしれません。

ここまで、いくつかのうんちを紹介してきましたが、これらはあくまでほんの一部。このほかにもネズミやコウモリなど小さな動物のうんちが見つかることもあります。また、人間と同様で動物も体の大きさや体調によって、うんちの形状や状態は変わるので、たくさんのうんちを観察することも大切です。「臭いものに蓋をする」のではなく、うんちを直視することで、見えない森の一面が見えてくるかもしれません。

ツインリンクもてぎの自然体験施設「ハローウッズ」へ行ってみよう!

ハローウッズは42ha(東京ドーム約9個分)の広さがあり、いつでも、誰でも、思いっきり遊べる元気な森です。人と自然が楽しくかかわり合い、自ら体験し、発見できるプログラムをたくさん用意して、皆さんをお待ちしています。

ハローウッズのホームページへ

里山ちびっこ冒険隊 ~落ち葉と木の実のアート~

  • 里山ちびっこ冒険隊 ~落ち葉と木の実のアート~
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    秋の森を感じながら種類や形・色の違う落ち葉、いろいろな木の実をひろいながら森を歩きます。ひろい集めた落ち葉や木の実を使って貼り絵をつくります。
    ※現在は予定通り開催に向け準備を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症状況を注視したうえで判断し、内容を変更して実施または開催中止の可能性がございます。ご理解くださいますようお願いいたします。

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