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  • 2020.06.30

アマガエルと田んぼの関係のなぜ?なに? 編

アマガエルと田んぼの関係のなぜ?なに? 編

日本人にとって一番馴染み深いカエルと言えば、アマガエルとヒキガエル。特にアマガエルは、小ぶりで愛らしい外見もあって子どもたちにも人気です。これから雨の季節を迎えると、ますますその姿を見る機会も多くなってくるでしょう。そこで今回は、アマガエルの生態とアマガエルの暮らしに深く関わってきた田んぼとの関係についてご紹介しましょう。

奥山 英治
ハローウッズ キャスト奥山 英治

アマガエルってどんなカエル?

アマガエルやヒキガエルが私たち日本人にとって馴染み深いのは、彼らが人の住む環境に近いところで生活しており、それだけよく見かけるカエルだからです。カエルは水の生きものだと思っている人も多いかもしれませんが、とんでもない! 水が必要なのはオタマジャクシの間だけ。大人のカエルになれば、ほとんどのカエルは陸に上がって陸に住みます。トウキョウダルマガエルやツチガエルなどは水辺から離れませんが、アマガエルやヒキガエルは人家の周辺などで生活しています。

アマガエルはその名前からも分かるように、雨と関係の深いカエルです。雨の前後になるとオスは「鳴のう(めいのう)」と呼ばれるアゴの下の袋を膨らませて鳴きます。普通のカエルは繁殖期の夜に鳴きますが、アマガエルは雨が近いと繁殖期かどうかに関係なく、また昼間でも鳴くのが特徴です。こうした習性もあって比較的見つけやすいことから、昔から馴染み深いカエルとして知られているのです。

ところが、最近はアマガエルを見かける機会が減ってきているのも事実です。都市化が進んだ街には産卵できる場所が少なく、また餌も捕れないことから、だんだん街から姿を消しているのです。またそれだけではありません、アマガエルが少なくなってきた背景には、田んぼの事情も大きく関係しています。次は、この田んぼの事情について見てみましょう。

アマガエルと田んぼの関係は?

アマガエルは冬の間は土の中で冬眠しますが、春になり、田植えの頃になると目覚めて田んぼへとやって来ます。冬眠から目覚めてまず行なうのは繁殖です。地域や場所で違いはありますが、産卵は4月から8月上旬まで続きます。

アマガエルの産卵期はカエルの中では長い方で、少しづつを何回かに分けて産んでいきます。卵は3~4日で孵化しオタマジャクシになり、オタマジャクシは約1カ月でカエルの姿に成長します。しかしカエルは虫などと違い、カエルの姿になってからもさらに成長を続けて、約2年で繁殖できるようになります(カエルの種類で成長は異なります)。ちなみにアマガエルの寿命は5~7年と言われています。

アマガエルをはじめ、カエルの仲間はもともと田んぼだけでなく湿地や沼など様々な水辺環境で産卵行動をしてきました。しかし開発が進む現代では自然の水辺環境はどんどん少なくなっています。今では水辺らしい環境と言えるのは田んぼぐらい。つまり現代のカエルたちにとって産卵場所は田んぼが全て。田んぼがなくなると絶滅してしまうくらい田んぼに頼っているのです。

アマガエルと他の生きものの関係は?

アマガエルにとって田んぼは産卵のための重要な場所ですが、田んぼにとってアマガエルはどんな存在なのでしょう?

カエルは生きた虫を食べます。カエルの種類や大きさによって食べる虫は異なりますが、アマガエルの場合は、ガガンボやアブラムシやウンカなど田んぼの稲を食い荒らす害虫を食べています。つまり田んぼにとってアマガエルは稲の生育を助ける益虫なのです。同様に、田んぼの害虫を捕食する他のカエルやクモ・トンボなども、田んぼにとっては欠かせない生きものです。

ここで、人間がもっと効率よく田んぼの害虫を駆除したいと考え、殺虫剤や農薬などを大量に田んぼに撒くとどうなるでしょう。害虫は減るかもしれませんが、同時にそれをエサとしていたカエルたちも減ってしまいます。

アマガエルをはじめ他のカエルたちは、害虫をエサにして食べるのと同時に、様々な生きもののエサになっていますから、サギやサシバなどの鳥、ヤマカガシやヒバカリなどのヘビ、イタチやタヌキなどの哺乳類など、カエルを食べる多くの生きものたちがエサを無くしてしまいます。つまり田んぼからカエルが消えると、他の生きものたちも生きていけなくなるのです。

●アマガエルをエサにする生きものたち

このように、田んぼをめぐる生態系の中でカエルは非常に重要な位置にいます。カエルは田んぼを中心とした里の生態系を支える存在と言っても過言ではありません。近年、このことを再認識した人々により、極力農薬を使わない田んぼづくり、米づくりが見直されています。

多くの生きものたちが集う田んぼこそが自然と共生する豊かな田んぼであるという考え方、そしてその豊かさを象徴するのが、田んぼにいるカエルの姿なのです。

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