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  • 2021.08.31

キリギリスを捕まえて観察してみよう!

キリギリスを捕まえて観察してみよう!
奥山 英治
今回の案内人
ハローウッズ キャスト/
日本野生生物研究所代表/
ナチュラリスト/イラストレーター
奥山 英治

こんにちは! 日本野生生物研究所の奥山です。皆さんは「アリとキリギリス」という童話をよくご存じだと思います。働き者のアリと歌うことが大好きなキリギリスのお話は、とても有名です。では、キリギリスの実物を見たことがある方はどれだけいらっしゃるでしょう? 今回は、そのキリギリスという生きものの特徴や実態についてご紹介します。

まずはキリギリスの生態を知る

最初におことわりしておくと、冒頭で触れた「アリとキリギリス」のお話は、もともと「アリとセミ」だったそうです。しかしセミはヨーロッパ北部ではあまり馴染みが無いため、コオロギやキリギリスに置き換えられて伝承され、日本にはキリギリス版が伝わったとのことです。

さて、本題に戻りましょう。キリギリスは、夏から秋にかけて河原や田んぼ・草原などで朝から夜まで鳴いている大型のバッタです。日本中に広く分布しており、昔から「鳴く虫」の代名詞として知られています。従来は1種類と考えられていましたが、ごく近年、青森県から岡山県に分布するヒガシキリギリスと、近畿地方から九州地方に分布するニシキリギリスに分けられました。

キリギリスは夏から秋にかけて土の中に産卵し、卵のまま冬を越して春に孵化すると、幼虫が地上へと出てきます。チョウやカブトムシなどは幼虫の時期はイモムシの姿をしていますが、キリギリスはそうではありません。幼虫でも成虫と同じ形をしており、脱皮を繰り返しながら大きくなっていきます。

幼虫は小さいうちは花粉などを食べていますが、成長していくにつれて虫などを捕食して食べるようになります。時には大きなガの幼虫やセミなどを襲うこともあります。

キリギリスの鳴き声・仲間

キリギリスの鳴き声は独特で、「ギィー・ギィー」と大きな声で鳴きます。またギィーだけではなく、アクセントに「チョン!」という音をギィーの間に入れます。「鳴く」という言い方をしますが実際は声を出しているわけではなく、オスが翅と翅を擦り合わせて音を出しています。

キリギリスは、日本では昔から「鳴く虫」の代名詞的存在で、数十年前まではキリギリスを飼って鳴き声を楽しむ人たちがいました。しかし現代では、朝から夜まで大きな声で鳴き続けるキリギリスは、もはや鳴き声を楽しむ虫には向かなくなってきました。大きな鳴き声が街中ではご近所迷惑にもなりかねないからです。

キリギリス科のバッタには「クビキリギス」「クツワムシ」「セスジツユムシ」などがいますが、いずれも特徴的な鳴き声を持っていますので、鳴き声を聞き比べてみても面白いでしょう。

キリギリスの捕まえ方・飼い方

キリギリスは、なぜか玉ねぎを差し出すと狂ったように食らいついて食べます。この習性を利用する「キリギリス釣り」は、昔から子どもの遊びでした。

やり方は簡単です。玉ねぎを輪切りにしてタコ糸などに結び、反対側を釣り竿や竹に結びつければ「キリギリス釣り」の道具の出来上がり。草むらで見つけたキリギリスの目の前にそっと吊るした玉ねぎを差し出すと、玉ねぎの匂いに反応してキリギリスが輪切りの玉ねぎに飛び乗り、貪り食います。チャンスがあれば是非挑戦してみてください。

キリギリスは肉食なので、自然の中では他の虫などを食べています。しかしキリギリスを飼う場合に、エサとして他の虫を用意するのは困難なので、他の食べもので代用します。
先にお話しした玉ねぎも良いですが、実はドックフードも好物です。

キリギリスを飼う場合、手頃にフタができる水槽に、水とドックフードと土か砂を入れれば飼育できます。オスとメスの両方を入れれば、メスが土か砂の中に産卵し、次の春には幼虫が誕生します。乾燥にさえ気をつければ、キリギリスは比較的簡単に飼育できる虫だと言えます。

これから本格的な秋を迎えます。秋は「鳴く虫」がもっとも活躍する季節です。皆さんもぜひ、キリギリスをはじめ虫の鳴き声を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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