暑い日も寒い日も心地いい
コットンタープの魅力に迫る!

このところ、ちょっぴり重いけれど風合いのいいコットン製テントが見直され、ユーザーが増えています。このムーブメントのおかげか、タープもコットン製が注目されています。湿気の多い日本はコットン製テントが快適だと言いますが、タープもそうなんでしょうか?その魅力に迫っていきましょう。

更新日:2018.09.12

湿気を含むと繊維が膨らむコットン

コットン製のテントやタープは、「日本のフィールドに合っている」と言われているのですが、それはなぜでしょうか?

コットンは多年草のワタから作られています。もともとは植物なので、水分が通っていた管があり、ここが乾燥により中空(中が空洞の構造)になっています。そのため、優れた吸湿性・吸水性があり、水分を含みやすいのです。
雨上がりなどジトッと湿気が多いけれども晴れた日は、繊維が湿気を吸い取り、その湿気が太陽の熱で次々に発散されていきます。このときに熱(気化熱)を奪うので涼しく感じられるんです。
これが、コットン製のテントやタープが湿度の高い日本の気候にマッチしているという理由。

吸水性に優れたコットンは雨に弱そうに思えますが、水分を含むと繊維が膨らみ、繊維間の目が詰まって雨粒をブロック。生地は、雨が集中するところは水がにじむことはありますが、よほどの大雨でない限り、ボタボタ落ちてくることはありません。また、吸水性に優れているため結露を起こしにくいという特徴もあります。

この優れた吸湿性・吸水性に加え、コットンが持つ高い通気性や保温力、風合いの良さも相まって、人気が高まっているというわけですね。
なお、一般的な化繊タープはPUコーティング(防水加工)を施していますが、コットンはPUコーティングなし。コーティングがはがれるなどの心配がなく、紫外線による劣化のみなので、化繊タープよりも長く使えることもポイントです。

また、タープにおいては「火に強い」というのも大きな魅力。コットンの引火点は210℃と言われていますが、溶けること(穴が開くことは)はそうありません。つまり、そばで焚き火をしても、火の粉が当たるくらいなら大丈夫。熱対策をしておけばタープ下で焚き火ができるんですね。特に寒い季節は、雨が降っても焚き火ができるのは非常に大きな利点です。ちなみに、ポリエステル繊維は255℃程度から溶接しながら燃焼します。そのため、火の粉が当たると穴が開いてしまいます。「焚き火をするならタープの風下」が鉄則です。

ひと口に「コットンタープ」といっても、コットン100%もあれば、化繊と組み合わせたTC(テクニカルコットン、ポリコットンとも言います)を採用していることもあります。素材の確認は必要です。TCはポリエステル65%+コットン35%が主流で、コットン100%よりも軽いので扱いやすいのが特徴です。

コットンやTC製のタープは生地が厚手で重量感あり。雨に濡れるといっそう重みが増します。とはいえ、厚手生地なのでそれなりに遮光性が確保され、これも涼しく過ごせる理由となっています。

タープ自体の重量感がありますし、風の影響を受けやすいのでポールもペグもタフなものを選びます。タープの大きさによりますが、ペグは40cm以上の長さがほしいところです。

焚き火をするなら難燃シート必須

コットンやTCは、化繊に比べて熱に強いと言われています。確かに、風にあおられて舞い上がった焚き火の火の粉が当たっても、化繊のように簡単に溶けて穴が開いたりはしません。

とはいえ、黒炭が安定して燃焼している時の温度は900℃ほど、木材は450℃以上で発火すると言われています。焚き火やバーベキューをしているときの炎の温度は1000℃近いわけで、いくら厚めの生地だといってもまったく熱の影響を受けないということではありません。

そこで注目したいのが、コットンタープの下に取り付ける難燃加工を施したシート。これなら雨の日でもタープの下で焚き火ができるので、肌寒い日も安心です。

難燃加工を施したシートを取り付け、なおかつ炎が当たらないよう十分な高さを確保するのがオススメです。ちなみに、コットンそのものは燃えにくい素材ですが、油分がしみこんでいると燃えやすくなります。調理の際など、油がかからないように注意してください。

よく乾かすことが重要!
たまには専用の防水剤を使おう

最後は、コットンタープのメンテナンスについて。化繊同様、コットンタープもよく乾燥させ、通気性のいい場所で保管することが一番重要です。濡れたまま収納するとあっという間にカビが生え、変色してしまいます。

コットン専用のはっ水剤が市販されているので、定期的に塗布しておきます。完全な防水ではありませんが、撤収時の乾燥時間を軽減できます。

汚れを軽く落とした後、規定量に薄めて、スポンジで生地に染み込ませしっかり乾燥させるだけ。定期的に塗布しておくといいですね。

化繊よりも長寿命のコットンタープですから、いつまでもきれいで、心地よく使えるようにしたいものです。

協力:WILD-1 PICA富士吉田

※このコンテンツは、2018年9月の情報をもとに作成しております。