#3
SOLOCAMP STYLE - ソロキャンプスタイル

ソロキャンプ
× 堤防釣り

更新日:2020.10.07
ソロキャンプと一緒に楽しめるアクティビティの魅力を、体当たりで探っていく企画。
1年間365日のうち、180日以上をキャンプ場で過ごすキャンプライターの佐久間亮介さんが、ソロキャンプと組み合わせて、様々なアウトドアアクティビティにチャレンジ。普段は、焚き火をして自然の中でのんびりと自由気ままに過ごすのがスタイルだというハードキャンパーが、ソロキャンプの新境地発掘に挑みます。
「ソロキャンプ」だからこそ、自分の楽しみたいことを我慢せずに、自由気ままに遊べる。
キャンプの楽しさ、遊びの幅が広がる「ソロキャンプ × アクティビティ」をご紹介します。

堤防で釣り糸をたらし、キャンプ飯のおかずを狙う

今回、ソロキャンプと一緒に楽しむアクティビティは「堤防釣り」。
釣りは、キャンプ+αで楽しむアクティビティとして広く人気がある。自分の手で釣り上げた魚を、自然の中で調理してお腹を満たす。本格的なサバイバルとまではいかないが、その入り口を楽しむことができるのも、釣りとキャンプの組み合わせの魅力のひとつだろう。
本日の狙いはアジ。
アジを釣り、焚き火で温めたダッチオーブンに油をそそぎ、フライにする。それに特製のスパイシーなタルタルソースをのせて、アジフライバーガーにする。
食べたいキャンプ飯をイメージして釣りに挑むのが楽しい。狙ったターゲットが釣れた時の喜びもひとしおだ。

釣り方は、アジやサバ、イワシなど群れで回遊をしている魚が狙えるサビキ釣り。仕掛けについたカゴの中にコマセ(アミエビ)を入れ、魚をおびき寄せて、サビキと言われる疑似針で釣り上げる方法だ。

釣り糸に仕掛けを取り付け、糸をたらし、獲物を狙う。キャンプ飯のおかずを無事に釣り上げられるだろうか。

持っていった遊び道具&
ソロキャンプ道具

今回の釣り道具。
状況によって狙う獲物を変えられるように、サビキやシロギス釣りに適した振り出し式の万能ザオを2本。今回は、サビキ釣りでアジを狙う。駐車場やキャンプ場から釣り場への移動にアウトドアワゴンを活用。
積み込んできた主なソロキャンプ道具。
堤防とキャンプ場を往復すると思い、チェアは広げるだけで使える組み立て不要なものに。アジフライを作るために小ぶりのダッチオーブンを準備。テントは、僕がデザインした小型ロッジテントにした。
今回使用したクルマは、数々の専用装備により“街にもアウトドアにも合う”を体現したフィット クロスター。
フィールドに映えるスタイリングに加え、シートの座り心地をはじめとする乗り心地のよさが抜群。多彩なシートアレンジによる使い勝手も秀逸で、ソロキャンプにしては大きめのテントや釣りザオ、移動用のワゴンも難なく積載できる。アクティブなキャンプライフの相棒として活躍してくれる。

今回の遊び場

松部漁港(千葉県勝浦市)
千葉県勝浦市にある松部漁港の堤防が今回の釣り場。サビキ釣り以外にも、ちょい投げでシロギス、穴釣りでカサゴのほか、クロダイなどの大物も狙える。
寝床は、そこから徒歩5分ほどの場所にある「ACNオートキャンプin勝浦まんぼう」。 松部漁港は、漁港内へのクルマでの侵入・駐車が禁止のため、事前にキャンプ場へ連絡の上、キャンプ場手前にある駐車場に駐車して、そこから歩いてアクセスする。キャンプ場のオーナーは、今回の釣り場である松部漁港から船を出す漁師でもある。
CHALLENGING

朝マヅメ。
日の出とともに堤防へ。

朝4時半。
キャンプ場手前にある、釣り人が利用できる駐車場にクルマを停めて釣り場へと向かう。

釣り人の朝は早い。いや、朝は早いというよりか、むしろ前日の夜からそのまま繋がっているように思う。
釣りの前日はいつも、海の状態や釣果が気になり、ソワソワして眠れない。

あいにくこの日は、台風が過ぎ去った直後。
「海の荒れ具合を見るに、そんなに釣れないだろうね」と電話越しに言うのは、キャンプ場のオーナーだ。
オーナーは、今回の釣り場である松部漁港から船を出す漁師でもある。
「自然は人間に合わせてくれないからね。もし人間に合わせてくれるなら、俺は毎日が大漁だよ」と笑う。
早速仕掛けをつけて、糸をたらす。

オーナーはああは言っていたが、近くにある釣具店の店員によると
「台風が過ぎ去ると、この漁港には秋のアジが回ってくる」のだそうだ。さらに店員は、
「今日がその日かどうかは魚たちに聞いてみないとわからないけどね。兄さん、頑張って」と続けた。

真夏が終わり、徐々に秋に近づいているのを感じなから、秋のアジが回ってくることを願い、リールを巻いては、糸をたらしてアタリがくるのを待つ。
徐々に明るくなってきた。
残念ながらきれいな朝焼けとはいかなかったが、アタリを待っている間にゆっくりと時間が過ぎていき、世の中が明るくなっていく瞬間を体感できて貴重だった。
これも釣りが教えてくれる自然の美しさなのかもしれない。

そんな思いにふけていたら、ビクッビクッとサオ先が動いた。
波に揺られているときとは違う、生き物がそこにいることがわかるこの感触。
ついにかかった!と期待に胸を膨らませて、リールを巻く。
小ぶりのアジがかかっていた。

釣れるかどうかはわからない。でもサオをおろさないと釣れない。
ときに長い時間待ちながら、ときに仕掛けを変えて攻めたりもしながら、魚を待つ。
これほど「待ち」の多いアウトドアアクティビティもそう多くないのではないだろうか。
でも、そんな待ち時間さえも、日常の忙しさからすると、なんと贅沢なものなのか。そう感じなくもない。
キャンプとは違う時間の流れを感じる。
ポイントを変えて、糸をたらす。
夢中になっていたらすっかり辺りが明るくなってきた。
「待ち」も夢中になれば、退屈なものではなく、あっという間にすぐ去っていくものだ。
キャンプの夕暮れ、焚き火の時間にも同じことが言えるだろう。
太陽が高くなるとともに、徐々にアタリが遠のいていく。
魚影も薄くなったところで、一旦切り上げることにする。
「台風終わりに秋のアジが」なんて期待していたけれど、空はまだまだ夏模様。遠くには厚い雲が見える。
今朝の釣果は小アジが5匹。メッキもかかったが、小ぶりだったのでリリースした。ひとまず本日の目的分は確保できた。
夕方からの再戦を胸に、キャンプ場へ歩を進める。

テント設営、
ギアと釣りザオを愛でる

キャンプ場にチェックインして、まずはテントを設営する。
今回のテントは、僕がデザインさせてもらったソロキャンパー向けの小型ロッジテントだ。1年中キャンプが楽しめるようなギミックを盛り込んだ、僕の今までのキャンプ生活の思いがすべて詰まったテントと言っても過言ではない。
ロッジテントの特徴は、小屋のような形状のため、テント内の居住性が高い。
吊り下げ式のインナーテントを取り付けてもなお、リビングスペースに余裕があるため、釣り道具もテントの中にしまっておけるのが便利なところ。
設営が完了したら、夕方の釣りに向けて、釣り道具の調子を確かめる。
アウトドアアアクティビティには、道具を大事に扱って、長く使っていく楽しみもあると思う。
それはキャンプであれ、釣りであれ、登山であれ、いずれも共通しているだろう。
僕が持っているサオは、キャンプ+αで楽しめるように、幅広い魚の釣りに対応した、仕舞寸法45cmと非常にコンパクトになる小継万能サオ。これならば、キャンプ道具に加えて積載を圧迫することなくクルマに忍ばせておくことができるし、思い立ったその日にキャンプと釣りが楽しめる。

長年使い込んだキャンプギアに比べると、まだまだこのサオは新入りの部類に入るけど、このサオでこれからも気ままにいろんな場所での釣りにいそしんで、自分の手のひらに馴染む道具になるように手入れをしていきたい。

アジフライを、直火で炙った
バンズで挟んで。

夕マヅメの前に腹ごしらえ。メイン食材はもちろん、今朝釣ったアジだ。
アジの下処理をする。ゼイゴとワタを取り、腹開きにして衣をつける。
小ぶりでフライにしやすいサイズだ。
アジのフライとナツメグが香るタルタルソースをバンズに挟んでいただくアジフライバーガーを作る。
ソロキャンパー向けの小さなダッチオーブンに油をそそぎ、焚き火にかけて温めながら、バンズも一緒に炙っておく。
小ぶりなアジ。6インチのダッチオーブンにちょうどいいサイズ。
バンズは、蓋の上に置いて保温。
二度揚げして表面をカラッと仕上げる。
つい今朝まで生きていた魚が、1本のサオで釣り上げられ、今はダッチオーブンの中で調理されている。
日常では、魚も肉も切り分けられ、パックに入ってスーパーで買える。
釣りをするとそれらが当たり前でないこと、改めて自然の恵みをいただきながら自分たちが生きていることを実感する。
命をいただくというと少し高尚なことのように思えるかもしれないけれど、本来は、そういうことなのだ。
バンズにレタスとクミンをたっぷりと入れたキャロットラペをのせ、その上にカラッと揚がったアジをのせる。
仕上げに、ナツメグの入った特製スパイシータルタルソースをのせてバンズでとじる。
完成。
うまい。
自分で釣って、自分で揚げて食べているからというのもあるだろうけど、本当にうまい。

これぞ釣りとキャンプを組み合わせるおもしろさ。
現地で食料を調達して、キャンプ場で火を起こして、調理をする。
自然の恵みを感じる。キャンプの楽しさに加わるサバイバル感。

何時間と糸をたらして、何時間と焚き火を眺める。
いつものキャンプより一層ゆっくりと流れる贅沢な時間。
腹も満たされ、そろそろ夕マヅメの準備を、と思ったらいきなり強い雨が降ってきた。

午前中に見た積乱雲か、それとも台風の影響か。
「自然は人間に合わせてくれない」
漁師でもあるキャンプ場のオーナーの言葉が頭をよぎる。

「夕方、もう一度チャレンジしたかったのになぁ」と思いながら、テントの中で屋根に当たる雨音を聴く。
どうやらこの雨はしばらく止みそうにない。
それならば、今日はいっそのこと早めに寝て、また明日、朝釣りに出かけよう。

やっぱり自然は人間に合わせてくれない。
いや、むしろ自然に合わせて楽しむのが、アウトドアの遊び方なのかもしれない。
釣り場
松部漁港
〒299-5241 千葉県勝浦市松部1963
キャンプ場
ACNオートキャンプin勝浦まんぼう
〒299-5241 千葉県勝浦市松部1910
http://www.manbow-camp.jp/
佐久間亮介
佐久間亮介
月間最高80万PVのキャンプブログ「camp-in-japan.com」を運営するブロガー、ライター。
1年中、キャンプにまつわる仕事をしているにも関わらず、ぽっかり休みができるとソロキャンプへ出かけるほどのキャンプ好き。
現在は、キャンプ場の新規開業に向けて準備中。
監修:宮原 悠
撮影協力: grn outdoor
今回登場したクルマ:フィット

  • ※このコンテンツは、2020年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。