まずはテント設営。
入念にストレッチを。
まずはキャンプ場にチェックイン。
岩場へと向かいたい気持ちを抑えて、ひとまずテントを設営する。ソロ用のテントは、慣れれば5分もかからずに設営が終わるから手軽だ。
雲ひとつない青空の下。緑が美しい森の中のキャンプサイト。ときより吹く風はほんの少しひんやりとしている。標高は、およそ1,500mとあって涼しい。
ボルダリング用のウェアに着替えて、キャンプサイトで軽くストレッチ。岩に登るイメージを膨らませながら、身体を伸ばす。
木漏れ日の中でのストレッチも心地いい時間。
準備を整えてフィールドへ。シューズや小物をマットに取り付け、すべて背負って岩場へ向かう。
キャンプサイトから15分くらい歩いた場所に、今日挑戦する岩がある。
岩場へ。完登を目指す。
自分の身体の何倍もの高さ、大きさの岩がゴロゴロと点在する瑞牆山エリア。
ボルダリングを教えてくれたアウトドア仲間と合流。
ガイドブックを参考に、課題(ルート)を確認。ホールドの位置を把握して、完登までのイメージを膨らませる。
挑戦するのは「ガリガリ岩」の7級の課題。
ホールドの突起が大きいため、しっかりと手足をかけることができる初心者向きの岩。ジムでの経験はあるが、外岩が初めての自分にとっては、適度な難易度の課題だ。
靴をクライミングシューズに履き替えて、滑り止め用のチョークを手いっぱいにつける。
この課題は、地面すれすれの低い体勢から登り始める。岩に取り付くと岩が前傾しているためか、背中を引っ張られるように重力を感じる。下から見上げると想像以上に岩の頂が遠い。
右手と左手。ホールドの形状を感じながら慎重につかむ。ぐっと力強くつかめるポイントもあれば、全くつかめないポイントもある。人工の壁を登るジムとは違う、“生”の岩。ギザギザとした岩肌が、自分の手のひらや指先を刺激する。
両足は、つま先とかかとを、フットホールドの大きさや形状に合わせて使い分ける。
両手両足を岩に合わせて適切なポイントに、適切なタイミングで動かす。
もちろん基礎的な筋力は必要だが、力任せでは登りきれない。
適度に力を抜き、時に身体を岩と密着させ、岩が“示す”ルートに沿って、素直に登っていく。
どこに身体をもっていけば上まで登れるのか、まるで岩と対話をしているようだった。
一手一手、自分を信じて岩に手をかけ、足をかけ登っていく。
徐々に頂上が見えてくる。しかし、登りきるまでは、油断はできない。
「もしこの右手が滑ったら。ホールドから左足が外れたら」と恐怖心が顔を覗かせる。
でも、登るしかない。途中まで来たらもう、登るしかない。なぜならばすぐそこに岩の頂があるからだ。