コオイムシ

- 学 名
- Appasus japonicus
- 分 類
- カメムシ目コオイムシ科
コオイムシ属
- 似たような種類
- 本種よりも一回り大きいオオコオイムシがいる。オオコオイムシは山間部に、コオイムシは平野部から山間部にかけて分布している。
- 見つかる場所は?
- 水田、溜め池、沼地など。
- 分布
- 北海道、本州、四国、九州。
- 大きさ
- 体長17~22mm。
- 見られる時期
- 一年中。基本的に水辺から離れて暮らすことはないが、越冬は水辺近くの石や水田の農業資材などの下に潜り、陸上で行なわれることが多い。
- 生活史
- 4~8月に複数のメスが1匹のオスの背中に卵塊を産みつけ、70卵程度の卵塊を形成する。オスは卵が孵化するまで世話をする。1匹のオスは1シーズンに最大8卵塊を保護する。孵化した幼虫は5回の脱皮を経て1ヵ月半程度で成虫になる。一部の新成虫はその年に繁殖可能になるが、大多数は翌年に繁殖を行なう。
- エサ
- 成虫・幼虫ともに巻貝を好むが、水生昆虫やメダカなども捕食する。ボウフラを捕食する天敵として、益虫(えきちゅう)の面も持つ。
- 特徴
- コオイムシは「子負虫」と書く。昆虫類では珍しく、オスが単独で子どもの世話をする昆虫として有名である。
- その他
- 平野部に分布しているためか、オオコオイムシよりも人為的な影響を受けやすいと推測される。最近では、一部地域で外来種のアメリカザリガニによって捕食され、個体数を減らしているとの報告がある。現在は沖縄を除く分布域のうち31都道府県で絶滅危惧種に指定され、全国版レッドデータブックには準絶滅危惧種に指定されている。
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コオイムシは貝などを捕まえて食べる
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※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。
監修者

大庭 伸也(おおば しんや)
2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞
監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)