ハイイロゲンゴロウ

学 名
Eretes griseus
(Eretes sticticus)
分 類
コウチュウ目ゲンゴロウ科
ハイイロゲンゴロウ属
似たような種類
体長1cm前後のゲンゴロウは複数種見られるが、本種と翅(はね)の模様が似た種類はいない。
見つかる場所は?
平地から里山の水田、水溜まり、池、屋外のプールに普通に見られる。水草が多い水域よりも開けた水域を好み、くるくると泳ぎ回っている。
分布
北海道、本州、四国、九州、南西諸島。
大きさ
体長9.8~16.5mm。
見られる時期
一年中見られるが、7月から10月にかけて多数が泳いでいるのを見かける。
生活史
圃場(ほじょう)整備の進んだ水田でも幼虫を見ることができる。水草などに産卵していると推測される。6月ごろに幼虫が確認され、7月ごろ蛹(サナギ)になる。7月後半から8月にかけて新成虫が出現する。成虫のまま水中で越冬する。
エサ
生きた小昆虫を捕まえて捕食する。最近の研究でボウフラを多数捕食することが確認された。幼虫も肉食で、成虫と同じように小動物を捕食していると推察される。
特徴
灰色の透き通った上翅(じょうし:上の硬いはね)が特徴で、活発に泳ぎ回っている。水中にいるゲンゴロウの多くは、飛ぶ時にいったん陸に上がって体を乾かす。だがこの種は、水面にぷかっと浮いていたかと思うと、突然翅 を広げて飛んだりする。行動・生態について、不明な点が多い。
その他
ゲンゴロウ類は水田周辺のあぜがコンクリート化されると、幼虫が蛹になる際に土に潜ることができないので繁殖できなくなる。だが、本種はそのような水田でも繁殖できる。コンクリートに堆積したわずかな土に潜って蛹になることができるので、都市環境にも適応した種類のゲンゴロウといえる。
  • コンクリートの上に積もったわずかな土の中でも、蛹になることができる。写真は実際に蛹が見つかった場所

監修者

大庭 伸也(おおば しんや)

大庭 伸也(おおば しんや)

2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞

監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)