アオスジアゲハ

学 名
Graphium sarpedon
分 類
チョウ目アゲハチョウ科
アオスジアゲハ属
似たような種類
三重県、岡山県以南の本州から南西諸島にはよく似たミカドアゲハが分布する。
見つかる場所は?
植樹に使われるクスノキが幼虫のエサとなるので、都市周辺でもよく見られる。公園、街路樹、照葉樹林などに生息する。
分布
本州(太平洋側は岩手県以南、日本海側は秋田県以南)、四国、九州、南西諸島に生息。北海道には分布しない。
大きさ
前翅長(ぜんしちょう)は30~45mm。開長(かいちょう)は60~70mm。

チョウの仲間の大きさについて

前翅長は、前翅の付け根から一番遠い所までの長さ。開長は開きぐあいによって変わるため、測りにくい

見られる時期
成虫の出現期は5~10月。
生活史
4~9月にかけて年2~4回発生する。幼虫の時には、クスノキ科のクスノキ、タブノキなどを食草(幼虫が食べる草)にしている。幼虫は5回の脱皮を経て蛹(サナギ)になり、やがて成虫になる。幼虫期は約1ヵ月で、蛹期(ようき・サナギの期間)はかなりばらつくうえに、蛹期に関する野外でのデータが乏しい。一般のアゲハチョウ類と違い、幹ではなく葉に蛹を形成する。蛹で越冬する。
エサ
花などの蜜を吸うので、その周りを飛び回っていることが多い。オスは初夏から夏にかけて水辺、湿った泥に集まり、水を飲むための集団を形成する。
特徴
翅(はね)は黒色で、前翅(ぜんし:前のはね)と後翅(こうし:後ろのはね)に青緑色の帯が付いている。この帯には鱗粉(りんぷん)がなく、鮮やかなパステルカラーで透きとおっている。ちなみに、青帯を完全に欠く変異個体が発見されたことがある。翅斑(はねの模様)は雌雄ともによく似ているため、雌雄の同定は生殖器で判断するのがよい。蛹はクスノキの葉に似た形状をしている。
その他
アオスジアゲハは、漢字では青条揚羽。別名はクロタイマイ。

監修者

大庭 伸也(おおば しんや)

大庭 伸也(おおば しんや)

2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞

監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)