焚き火の薪、種類による違いは?
燃焼時間や量、効率的な燃やし方

焚き火は大きな炎を上げるほど暖かく感じますが、その分、薪の消費ペースが早くなります。冬は早々に売店を閉じるキャンプ場が多く、調子に乗って昼間から焚き火をしていると夜になって薪が足りず、寒い思いをすることもあるでしょう。また、大量の薪を惜しみなくくべられる環境は魅力的ですが、空気が乾燥している冬は、大きな炎を上げる焚き火は考えものです。そこで今回は、薪の消費ペースを抑えつつ、暖かく焚き火を楽しむヒントをご紹介します。

更新日:2021.01.20

薪の種類とおおよその燃焼時間

寒さが厳しい冬キャンプでは焚き火を絶やさないようにしたいものですが、昼間のうちに用意できる薪には限りがあります。いったいどれくらいの量の薪を用意すればいいのでしょうか?まずは薪の種類とおおよその燃焼時間を知りましょう。

「針葉樹」と「広葉樹」の違い

よく使われる薪には、杉やヒノキといった針葉樹の薪(写真左)と、ナラやカシ、クヌギなど広葉樹の薪(写真右)があります。

針葉樹の薪と広葉樹の薪を比べると、広葉樹のほうが年輪の間隔が小さくて密。硬く、同じくらいの太さ・長さの針葉樹の薪に比べてずっしり重く感じます。
一方、針葉樹の薪は軽くて曲がりが少なく、コブになった場所もほとんどありません。また、見た目ではわかりづらいのですが杉やヒノキなどは油脂が多いというのも特徴です。

ファミリー向けの焚き火台なら針葉樹1束、広葉樹2束が目安

火が付きやすいのは針葉樹で、火が付きにくいけれど長く燃えるのは広葉樹の薪です。
薪の太さや組み方、ひと束の量、気温、焚き火台の特性や大きさなどにもよりますが、ファミリー向けの焚き火台なら広葉樹の薪で1束3〜4時間、針葉樹の薪は1束1〜2時間が燃焼時間のおおよその目安。1泊2日のキャンプで初日は15時ごろから21時まで、翌朝6時から8時まで焚き火をすると想定した場合、焚き火はじめ用に針葉樹が1束、あとはじっくり燃やすための広葉樹が2束くらいは必要です。よく薪が燃える焚き火台なら、念のため広葉樹の薪をあとひと束追加しておきたいところです。

どちらかの薪しかない場合は?

もし、針葉樹または広葉樹、どちらかしか手に入らない場合は、薪の太さで調整しましょう。
針葉樹の薪しかない場合は、焚き火のはじめでは細めの薪を使い、じっくり燃やす際はなるべく太い薪を選択。
着火しづらい広葉樹の薪しかない場合は、手持ちの鉈で細く割れば火が付きやすくなります。鉈でうまく割れないときは断面が三角形の薪を探し出しましょう。薪の芯側は薄くなっているはずなので、こちらを火種に向けると比較的着火しやすくなります。

消費ペースを抑える薪の置き方

薪の置き方を工夫すれば、気温が低い時期でも燃焼に必要な熱を貯め、立ち消えすることなくスピーディーに焚き火の準備ができます。もちろん、無駄に薪を燃やすこともありません。

1. 放熱を防ぐ薪を数本並べる

冬は焚き火台も冷え切っています。とくに空気を供給しやすい焚き火台は薪の燃焼に必要な熱がなかなか貯まらず、夏キャンプの要領で放置しておくと立ち消えしていることも。せっかくの焚き付けや薪を無駄にしないためにも、熱を貯める工夫をしておきましょう。

まず焚き付けとは別に細めの薪を中央に敷き、両脇に太い広葉樹の薪を置いて熱が奪われにくいようにしておきます。両脇の薪は、最初は少し狭くしておくほうが熱が逃げにくいようです。

太い薪と太い薪の間に、たっぷりの焚き付けと細く割った薪を数本載せてから着火します。上に載せた薪に火が付くまで、焚き付けを燃やし続けましょう。

雪上などで乾いた焚き付けがたっぷり手に入らないときは、薪の皮を剥いだり、薪の表面を細く削いだものを用意。さらに、10分以上燃え続ける着火剤があると安心です。市販の着火剤を買い忘れた際は、牛乳パックを5〜10cmほどの幅に切ったもので代用できます。

2. 薪を平行に並べる

炎は低いところから高いところへのぼります。また、薪が燃えるにはある程度の熱が必要で、薪が重なっているところに炎が集中します。炎が集中して大きくなると、その分、薪が燃え尽きるスピードが速まるので、限りある薪で長く焚き火を楽しむなら薪を平行に並べて炎の高さを抑えましょう。

真ん中の細めの薪が燃えたら、そこに太い広葉樹の薪を載せます。3本の太い薪を隙間なく並べることで、適度に空気を遮断して大きな炎になりません。
なお、写真の焚き火台のように底に空気を取り入れる穴がたくさんあいているものであれば、そのままドンと載せても消えることはありません。

穴のないディスク状など空気がうまく入らない焚き火台なら、ゲタを履かせると立ち消えを予防できます。ゲタにした細い薪は燃えてしまいますが、その頃には太い薪も燃えて空気が入り込む隙間が生まれます。

3. 薪の隙間を調整

太い薪に火が付いたら、この後はそれほど手を掛けなくても大丈夫。ただ、火が付いていなくても、くべた薪は熱くなっているので、耐熱の革手袋やトングで作業するようにしましょう。

燃え進んで隙間が開いたら中央に寄せ、新しく太い薪を追加するなら両脇に。これを繰り返すだけで十分です。

ちなみに、眠りにつく前など早めに焚き火をしまいたい場合は、隙間を開けるのが効果的。冷たい空気で薪を冷やすイメージで、薪と薪の間隔を開けてしばらく放置。灰のない場所を作り、その上に燃えかけの薪を置くとより早く火が静まります。
あとは完全に火が消えたことを確認して、就寝しましょう。

※このコンテンツは、2021年1月の情報をもとに作成しております。