自然の中で香り高い一杯を!
キャンプでおいしいコーヒーを
淹れるコツ【ハンドドリップ編】

コーヒーを一杯ずつ手で淹れる「ハンドドリップ」は、簡単な道具で淹れられるのでコーヒー初心者にも最適。でも、キャンプでよく使われるドリッパーは、おいしく淹れるのにちょっとしたコツが必要です。そこで今回は、アウトドア用ドリッパーの種類とおいしく淹れるコツを解説。自然の中で香り高い一杯を楽しみましょう!

更新日:2018.09.26

アウトドア用のドリッパーは
大きく2種類

多くのメーカーから持ち運びに便利なアウトドア用のドリッパーが販売されており、ワイヤー状になっていて収納時はぺたんこになるものと、樹脂や金属のプレートを組み合わせて使うものの2タイプが主流です。

ワイヤー状

隙間が多いワイヤー状のドリッパーは、ガスを逃がして雑味のないスッキリとした味わいになります。半面、湯が落ちるスピードが速く、湯を注ぐ量・スピードのコントロールが難しい構造です。

組み立て式

3枚以上のプレートを組み合わせてドリッパーを作ります。ぺたんこ収納ができ、また、チタンなど軽量なものもあり、「なるべく軽く。でもおいしいコーヒーは譲れない」と考えるハイカーに需要が高いようです。

ワイヤー式よりも面が多く、湯が落ちるスピードをコントロールしやすいものが多いのも特徴。プレートなので掃除も簡単です。組み立ての手間はかかりますが、ネジを使うわけでもなく、さして不満はないでしょう。

ハンドドリップは、豆のふくらみを見ながらていねいに淹れるというエンタメ性も楽しいポイントですが、逆にそれが面倒だという人も。かといって、一気に豆に湯を注いでしまっては、味と香りを抽出しきれません。
そんな人にうれしいのが、シャワー構造のドリッパーです。

シャワー構造

中挽きの豆をセットし、少量の湯で蒸らした後、底に小さな穴があいたカップを重ねます。穴があいたカップに湯を注ぐと湯がシャワーのように少しずつ豆の上に降り注ぐので、湯を継ぎ足すタイミングをはかる必要がありません。無造作に湯を注いでもいいので、せっかちな人向きと言えます。

手軽でテクニック不要ですが、デメリットはコンパクトに収納ができずかさばること。クッカーと組み合わせて持ち運ぶなど工夫が必要です。

なお、アウトドア用のものと比べると携帯性や素材によっては耐久性に心配はありますが、普段ご家庭で使っているドリッパーがあるなら、もちろんそれをそのままキャンプに持って行ってもなんら問題はありません。

手軽だけれど奥が深い
ペーパードリップ

ドリッパーにはさまざまな形状がありますが、アウトドア用のものは、形が円錐(または角錐)で底があいたものが主流です。注いだ湯が底に溜まることなくスムーズに流れ落ちるため、注ぐ量・スピードを調節することで抽出時間をコントロールしやすく、味わいに変化を付けやすいのが特徴です(ただし、コントロールするためには練習が必要)。今回はワイヤー状のドリッパーを使い、ペーパードリップのポイントを見ていきましょう。

中挽きのコーヒー豆を用意します。自宅で挽いてきた豆でもいいですが、やはり挽き立ては香りがいいので、収納に余裕があればミルを用意します。豆の分量は好みによってわかれますが、約150ml(1杯分)を淹れる場合、15g(計量スプーンで大さじ約3杯)が目安。ワイヤー状のドリッパーは湯が落ちるスピードが速くて味が薄くなりがちのため、豆を少し多めに入れるのがポイントです。

円錐型のペーパーフィルターをセットし、豆を入れます。フィルターはつなぎ目をきちんと折り、なるべくドリッパーにくっつくようにしておきます。豆もなるべく平らにならします。

沸騰した湯は豆の苦みを出してしまうので、90℃くらいに落としたものがベスト。適温になった湯を少量(下に数滴落ちる程度)注いで蒸らします。豆からガスが放出されて丸く膨らみ、全体に湯が行き渡れば蒸らしは成功。なるべく豆の中央を狙って、やさしく注ぎます。蒸らし時間は30秒〜1分が目安です。濃いめのコーヒーが好きなら、蒸らし時間を長めにとります。

蒸らしが終わったら、真ん中で円を描くように少しずつ湯を注ぎます。十分に豆が膨らんだら湯を注ぐのをやめ、豆が平らになる直前でまた湯を継ぎ足します。これを数度繰り返し、適切な量に調整しましょう。
なお、「もったいない」と思ってペーパーについた豆に湯を注ぎがちですが、ペーパーに直接湯を注ぐと、湯がそのままペーパーを伝って落ちるのでうまくコーヒーの成分を抽出できません。湯がペーパーに触れないよう、中央付近で“の”の字を描くようにします。

今回は注ぎ口が太くて短いキャンプ用ケトルを使っていますが、注ぎ口は、細くて長いほうが湯量・スピードをコントロールしやすいです。コーヒーケトルや急須、湯冷ましのようなものがあれば用意してもいいですね。なければ、手持ちのケトルで少し練習してからドリップに挑戦してみてください。

ミルで豆を挽くのに1〜2分、蒸らしから抽出まで全工程で5分ほどかかります。自宅のコーヒーメーカーとは違い、時間も手間もかかりますし、湯の注ぎ方によって味わいが左右されます。ペーパードリップでおいしいコーヒーを淹れるには練習が必要ですが「今日はうまく淹れられた」「注ぎ方が悪かったかも」など、試行錯誤するのもハンドドリップの醍醐味。
手軽だけれど奥が深いハンドドリップ、一度試してください。

※このコンテンツは、2018年9月の情報をもとに作成しております。