更新日:2025.12.05

地産地消キャンプ飯旅「信州編」
チーズ作り体験×フルーツたっぷりデザートGINO

みなさんはじめまして、北欧ソト料理家の寒川せつこです。

今回で4回目となる「地産地消キャンプ飯旅」は、長野県佐久市が舞台。軽井沢エリアでも酪農が盛んな佐久の牛乳をつかったチーズ作り体験に参加しつつ、モッツァレラチーズと地元食材を使った“地産地消キャンプ飯”を披露します。

「発酵食品のチーズを自作できてすぐに食べられるの?」と思うかもしれませんが、今回作るのは発酵時間が短く、熟成もさせないモッツァレラチーズです。他のチーズに比べてクセもないので、チーズが得意ではない人にもきっと楽しんでもらえるはず。メニューはモッツァレラチーズの食感の違いを際立たせたレシピにしています。

フレッシュなチーズは鮮度で風味も変わります。ぜひ、できたてのチーズを使ってレシピにチャレンジしてみてください!
寒川 せつこ

寒川 せつこ(さんがわ せつこ)北欧(スカンジナビア)のアウトドア文化を、料理を通じて発信。TV番組や書籍、WEBメディアなどにレシピを提供しています。

今回の旅マップ

今回の旅では、最初に「信州 チーズの樹」でチーズ作りを体験。他食材を買い求めてから「ウィスラースカイベース小諸」に行って、キャンプ飯を楽しみます。

佐久に到着。チーズ作り体験へ。

旅の目的地の長野県佐久市は、軽井沢のすぐ南西に位置します。浅間山、八ヶ岳、蓼科山、荒船山などの山々に囲まれた高原都市で、澄んだ空気はアウトドアにうってつけ。1年を通して晴れの日が多いことでも知られ、青空に映える浅間山はまさしく絶景です。
N-WGN Customを走らせて、チーズ作りを体験できる「信州 チーズの樹」に到着。パワフルなターボエンジンのおかげで山道の登坂も軽快そのもの。
「信州 チーズの樹」が工房を構えるのは御牧原台地の上。遠くに浅間山を望む絶好のロケーションです。
信州 チーズの樹「チーズ作り体験」
「信州 チーズの樹」ではチーズ作りと工房の見学が楽しめる「チーズ作り体験」を提供。プランによって異なるチーズが作れます。詳細は公式ホームページをご確認ください。
https://cheese-tree.com/
さっそく、チーズ作りを教えてくれる「信州 チーズの樹」の土屋宏樹さんに登場いただきましょう。
土屋さん、本日はよろしくお願いします。
ようこそ佐久へ! いきなりですが、寒川さんはチーズを作った経験はありますか?
いえ、買う専門で作ったことはありません。モッツァレラは特に好きなチーズなので自分の手で作るのを楽しみにしてきました!
それは嬉しいですね。チーズがどうやってできているのかを伝えるのはもちろん、「職人だけが知る“できたての感動”を届けたい」という思いでチーズ作り体験を提供しているので、ぜひ手作りでなければ味わえないチーズを堪能いただきたいと思います。
職人だけが知る味……それは楽しみです!
それでは最初に、モッツァレラチーズ作りの工程を説明しますね。
写真で解説! モッツァレラチーズができるまで
  1. 1. カード(チーズの素)を熱湯に浸す

  2. 2. ふやけたカードを練って伸ばす

  3. 3. 練ったカードをたたむ ※2と3を繰り返す

  4. 4. カードを丸めて成形する

  5. 5. 根元からちぎり取る

  6. 6. 冷水に浸けて冷やして完成

チーズに塩味がつくように、カードを浸す熱湯には2%の塩を溶かしています。

モッツァレラチーズ作り体験スタート

はじめてのチーズ作りがスタート! 佐久で採れた牛乳のおいしさを活かせるようにがんばります!
発酵食品であるチーズの工房内に余計な菌は厳禁。用意いただいた作業着と帽子、マスク、手袋を身につけ、しっかりと手洗いをしてからチーズ作り体験に臨みました。
こちらがモッツァレラチーズの素となるカード。ここにお湯を加えて練るだけで完成品になる、チーズの一歩手前の状態です。
カードは牛乳のタンパク質である「カゼイン」が固まったもので、乳酸菌を加えて少し発酵させた牛乳に「レンネット」という酵素を入れて作ります。
この時点でほのかに酸っぱい香りがしますね。
乳酸菌が牛乳に含まれる「乳糖」を食べて酸を生み出すことで、酸っぱくなっているんですね。カードの状態でも食べられるので、ぜひ1粒召し上がってみてください。
お言葉に甘えて……モグモグ……おいしい! 爽やかな酸味があって、噛むほどにミルクの甘さが広がりますね。この段階ですでにモッツァレラチーズの味がします。
このカードをどのように練り上げるかでも出来上がりの味も変わってきます。それでは、寒川さんだけのモッツァレラチーズを作っていきましょう!
カードが入ったボウルの鍋肌から滑らすように約90°Cのお湯を注いでいきます。カードが軟らかくなって伸びていくのがわかって、この時点ですでにおいしそう。
2本の木べらで“の”の字を書くようにカードを伸ばしてはまとめていくのですが……これがけっこう難しい! 意外とカードがしっかりしていて、思うように伸びてくれません。
グミみたいな固さになってきました。どのくらいこねたらいいのでしょう?
表面がつるんとしてきたらできあがりの合図です。たくさんこねるほど弾力が出ますが、こねすぎてもミルク感が失われていくのでバランスが重要です。少し難しいかもしれませんが、挑戦してみてください!
表面がなめらかになったら成形にチャレンジ。土屋さんがつきっきりで指導してくれます。
右手の人差し指と親指でつくった輪っかにカードをくぐらせて、下から押し込むようにしてまん丸の球状に。ほどよい大きさになったら指の輪っかを閉じて、そのまま勢いよく“モッツァーレ!”(イタリア語で“引きちぎる”の意味)
輪っかを閉じてチーズのお尻をすぼめるのが案外難しい!
引きちぎったらダレない(締まりがなくならない)ように5°Cの冷水に入れて冷やします。左が土屋さん右が私のチーズですが、やっぱり土屋さんのチーズはカタチがきれい!
やっぱり私のチーズはちぎった部分のすぼみ方が甘いですね。キャンプ場での料理で使うように、小さいものも作ってみましたが、小さいとなおさら難しいです。
いやいや、初めてにしては上出来です!
ありがとうございます。なんとか形になってホッとしました。
では、せっかくだから私が作ったチーズを食べ比べてみましょうか!
最初に仰っていた、職人だけが知る"できたての感動"ですね。
はい! 最もフレッシュな成形したばかりのチーズを召し上がってください。
では、土屋さんが作ったできたてほやほや熱々のモッツァレラチーズをいただきます。
「……ジューシーでおいし〜〜〜い!!!!!」
「……よかった(笑)」
熱々で柔らかな食感と豊かなミルク感! 噛めば噛むほど風味が口のなかに広がって、こんなモッツァレラチーズは今まで食べたことがないかも……。作りたてじゃないと味わえないという意味がわかりました。
私は「ジューシー爆弾」って言っています(笑)。続いて、ご自身で作ったチーズも食べてみてください。
……モグモグ……私のチーズもおいしい! でもやっぱり土屋さんのチーズの方が弾力もあるし、よりミルキーですね。
弾力の正体はチーズの繊維で、カードを伸ばして畳んだ分だけ繊維が重なって弾力が生まれるんですね。あとはちぎった部分がしっかり閉じているぶん、私の方がミルクの風味が溶け出さずに濃い味になっているんです。
なるほど、同じカードを使っても、こね方やちぎり方でも味に差が出るんですね。食べ比べたことでプロのすごさがよくわかりました。さすがです!
ありがとうございます。職人冥利に尽きます(笑)。
チーズ作りを終えた後は工房の見学タイム。製造室や熟成庫を案内いただきながら、チーズができる仕組みなどを伺いました。
早速ですが、チーズ作りは牛乳が鍵なんです!佐久中から新鮮な牛乳がこの工房に運びこまれてきます。
なぜ佐久では酪農が盛んなのでしょう?
ポイントが3つあって、
1. 浅間山と蓼科山のあいだに開けた広い土地
2. 標高500〜1500mの夏でも冷涼な気候
3. 雨の日が少ない晴天率の高さといった環境
そのため、乳牛のストレスが少ないんです。やっぱり健康な牛の方が良質な牛乳を出してくれますから。
たしかに。狭くて暑くてジメジメした環境は人間だって嫌ですものね。
環境だけでなく、食べるものによっても牛乳の質が変わります。牛乳の質が変われば、同じ時間と同じ温度で発酵させても同じチーズにはなりません。そのため、毎回牛乳と対話しながら「乳酸菌の働きを手伝う」という感覚で作りあげています。
すごい!その熱量と佐久の新鮮な牛乳の組み合わせで美味しいチーズができているんですね。
そうなんです!
実際、各地で酪農が盛んな長野県は、チーズ工房がたくさんあって、その数は北海道に次いで全国2位なんですよ。
それはすごい!チーズのような加工食品にも“その土地らしさ”があるんですね。大変勉強になりました。ありがとうございました!
土屋さんにたくさんお話を伺って「チーズ作り体験」は終了! 調理用に追加でモッツァレラチーズを購入して、キャンプ場へ向かいます。
今回使用したクルマ: N-WGN Custom

  • ※走行中は安全のため、シートベルトをお締めください。
  • ※安全のため、走行の際は後方視界をしっかり確保してください。
  • ※このコンテンツは、2025年11月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。