ニュースリリース

2011年05月23日ニュースリリース

超低燃費と世界最小サイズを実現した新型家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニットを各ガス事業者へ供給開始

 Hondaは、ガスエンジンで発電し、その際に生じるエンジンからの排熱を利用して給湯する高効率な家庭向け熱電併給システム「エコウィル(ECOWILL)」のコアユニットとして好評の家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニットを全面改良し、今月より各ガス事業者への販売を開始します。

家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット MCHP1.0K2

家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット MCHP1.0K2

 この新型ユニット「MCHP1.0K2」は、吸気行程と膨張行程のストローク長が異なる高膨張比化によって熱効率を高めることで燃費性能を飛躍的に向上した、複リンク式高膨張比エンジン「EXlink※1(エクスリンク)」を搭載。「EXlink」と独自の発電機技術により、発電効率を従来モデルの22.5%から26.3%にまで向上※2するとともに、燃焼時にエンジンから発生する熱を細部にわたって回収する高効率な熱交換システムにより、一次エネルギーの利用率を従来モデルの85.5%から92.0%※3へと飛躍的に向上しました。これにより、給湯暖房ユニットと組み合わせて利用する際の光熱費を年間で約50,000円節約※4できます。さらに、ガスエンジンコージェネレーションユニットとして世界最小※5サイズを実現することで、より多くの一般住宅への設置を可能としています。

複リンク式高膨張比エンジン「EXlink」 (カットモデルによる撮影)

複リンク式高膨張比エンジン「EXlink」 (カットモデルによる撮影)

 Hondaは、ガスエンジンと独創の発電技術「正弦波インバーター」を組み合わせた小型発電システムによる家庭用小型コージェネレーション(熱電併給)ユニットを2003年より販売開始。このユニットと排熱を利用する給湯暖房ユニットで構成されるシステムは、「エコウィル(ECOWILL)」のブランドで各ガス事業者から販売され、累計約10万8,000戸※6に設置されています。

 Hondaは、ガスエンジンコージェネレーションユニットや薄膜太陽電池パネルを採用したソーラーシステムといったホームパワージェネレーション事業を通して、エネルギーを家庭で創る「エコロジカルな家産・家消」による低炭素社会の実現に貢献していきます。

  • ※1 Extended Expansion Linkage Engineを意味する造語でHondaの商標
  • ※2 低位発熱量(LHV)基準
  • ※3 Hondaガスエンジンコージェネレーションユニット(MCHP1.0K2)からのLLC出湯温度75℃での値。低位発熱量(LHV)基準
  • ※4 ガス事業者提供データによる火力発電による電力と都市ガス(13A)による給湯暖房機を使用した場合との比較
  • ※5 既存のガスエンジン/燃料電池コージェネレーション(熱電併給)ユニット Honda調べ
  • ※6 2011年3月末現在 Honda調べ

MCHP1.0K2 内部構造イメージ

<MCHP1.0K2 内部構造イメージ>

主要諸元

使用燃料

天然ガス(都市ガス)、LPガス

エンジン形式

4ストローク水冷単気筒OHV

排気量

吸気行程容積:110cm3/排気行程容積:163cm3

発電機形式

多極式正弦波インバーター発電

発電出力

1.0kW(AC100/200V)

熱出力

2.5kW

質量(整備)

71kg

サイズ

全高750mm×全幅580mm×奥行298mm(突起部を除く)

システム概念図

<システム概念図>

「新型家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット」の主な特長

燃費性能を飛躍的に高めたコンパクトな高効率エンジン「EXlink」

  • 出力を発生させる膨張行程を長くするために、エンジンの基本構造に対し、新たにトリゴナルリンク、スイングロッド、エキセントリックシャフトの3つの部品を加えて、複リンク機構を構成。少ない燃料と空気を圧縮し、燃焼させたガスをより大きな体積に膨張させることで、圧縮比の1.4倍という高い膨張比を実現し、燃焼エネルギーを最大限に取り出すことを可能にしました。さらに吸気行程が短いことで、ポンピングロス(吸気抵抗)も低減。高膨張比にすることで、圧縮比と膨張比が同一である一般的なエンジンに対し熱効率を大幅に向上し、従来ユニット比約15%の低燃費化を実現しました。

高い発電効率と熱回収率を実現

  • 一般家庭に適した1.0kWの発電出力と2.5kWの熱出力で92.0%という高い一次エネルギー利用率を達成。発電効率は従来モデルと比べ、22.5%から26.3%にまで向上しました。
  • オルタネーターは、ローターのマグネットとステーターのスロットそれぞれの数や配置の適正化などにより、エネルギーロスとなる渦電流を低減しました。
  • インバーターは、素子の集積化などによる回路のシンプル化により電気抵抗を低減しました。
  • コージェネレーションユニットの発電出力が家庭内の電力負荷を上回った場合、電力ヒーターを用いて余剰電力を熱エネルギーとして回収する負荷追従運転機構を採用しています。
  • 熱交換器と触媒を一体構造とした排気熱交換器の採用やユニット内部の冷却システムの改良などにより、熱回収率65.7%を達成。燃焼時のエンジン本体の発熱や排気熱を細部にわたって75℃の高温で回収することで、給湯や風呂の追い炊き、床暖房に有効利用できる効率よい温水づくりを可能としています。また、一次エネルギーのガスを、電気エネルギーと熱エネルギーとして92%の高効率で活用できる省エネで経済性に優れたユニットとしています。これらにより、火力発電による商用電力と都市ガスによる従来の給湯暖房システムを利用した場合と比較し、CO2排出量を約39%低減※7しています。
  • ※8CO2排出係数 電気0.69kg-CO2/kWh(中央環境審議会地球環境部会「目標達成シナリオ小委員会」中間とりまとめ 平成13年7月より)/13Aガス:2.29kg-CO2/m3(ガス事業者による試算)

高効率なパッケージング

  • エンジンの吸気量が少なくてすむため、吸気系部品を小さくできる高膨張比エンジンならではの軽量・コンパクト化を実現。また、クランクシャフトを垂直方向に、シリンダーを水平方向に配置したオイルタンク一体構造のコージェネレーションユニット専用バーチカルエンジンレイアウトを採用することで、さらなる軽量・コンパクト化の実現に寄与しています。
  • ユニット本体においても、部品の統合やレイアウトの工夫などにより、従来モデル比で容積33%減のコンパクト化と重量11kgの軽量化を達成しています。

低振動・低騒音

  • エンジン下部のマウント構造の見直しをはじめ、吸排気の脈動低減や吸排気流路の気流音を低減。防音材の最適配置などにより、家庭用エアコン室外機レベルの低振動・低騒音[43dB(A)]※8を実現しています。
  • ※8 騒音値は、GHPのJIS試験方法による無響室における測定値

優れた設置性、メンテナンス性

  • ユニットの奥行寸法を従来モデルより82mm薄い298mmに薄型化するとともに、側面から行えるようにしたメンテナンス作業のスペースを考慮し、設置幅を650mmまでに縮小。より多くの一般住宅への設置を可能としています。
  • ECUに操作パネルを装備し、系統連系協議時の各種整定値の設定がメンテナンスツールなしで行えるなど、設置の際の作業性を向上。メンテナンス経過時間やエラーコードの表示も可能としています。

高い信頼性

  • エンジンにロングライフスパークプラグや大容量オイルタンクを採用し、6,000時間または約3年のメンテナンスインターバルを達成しています。
  • 商用電力の電圧波形を常に監視。万一の停電を適切に判断し、安全に停止する系統監視システム「二重停電検知機能」を搭載しています。

お客様お問い合わせ先

本田技研工業株式会社 日本営業本部 汎用営業部コージェネレーションユニット販売グループ
〒351-0188 埼玉県和光市本町8-1
TEL 048-452-0312