ニュースリリース

2007年07月24日ニュースリリース

新「鈴鹿サーキット交通教育センター」をオープン

 Hondaは、三重県の鈴鹿サーキット敷地内にある鈴鹿サーキット交通教育センター(STEC:Suzuka Circuit Traffic Education Center)の改修工事を進めてきたが、この程完成し、8月2日(木)にオープンすると発表した。STECは、近年交通環境が変化し、先進安全技術が進化する中で、受講者の多様なニーズに対応できる交通教育環境を整え、より安全で豊かなモビリティ社会の実現に向け取り組んでいく。

新STEC全景

新STEC全景

 今回STECは、先進技術を取り入れた4つの研修プログラムを新たに追加。これらのプログラムは、受講者の運転状況を詳細にデータ化することや、映像を記録するシステムの採用などにより、自らの運転を振り返り、受講者自身の「気づき」を促し、意識と行動の改善を図ることを目的としている。この新たなプログラムと従来からの多様なプログラムに対応するために、研修コース内を大幅に改修し、実走行に活用できる有効面積の拡大を図るとともに、充実した設備としている。また、交通教育センター本館を新たに建設し、使い勝手のよい快適な教育空間を実現している。

STECの新しいプログラム

運転習慣チェックプログラム(四輪車専用)

このプログラムは、走行前に受講者自身の運転操作を自己評価した上で、車載のドライビング・テクニック・メジャー※1を用い、実際の走行時における運転操作状況をデータとして集積。その詳細な測定データとインストラクターの客観的評価を基に、自己評価内容を比較する。これにより、受講者が運転・走行形態や癖などを把握し、自ら気づき、考えることで、運転の改善へと結びつけ、安全運転に対する意識を高めることができる。

ドライビング・テクニック・メジャー搭載車

ドライビング・テクニック・メジャー搭載車

ドライビング・テクニック・メジャー搭載車 車内

ドライビング・テクニック・メジャー搭載車 車内

多発事故対応プログラム(四輪車専用)

車載の小型カメラで撮影した、運転者自身の様子と走行中の車両前方の風景、また操作状況(アクセル、ブレーキ、車間距離など)を1つの画面に合成し映像で記録。受講者は、記録映像を基に自身の運転操作状況を振り返り、インストラクターとともに追突や出会い頭など多発事故に繋がる要因を考え、対処方法を導き出し、再度走行しながら確認することで、事故の抑止へと繋げる。

夜間事故対応プログラム

交通教育センター本館の室内に設置したハイビジョン対応の大型スクリーンを使用し、夜間の交通状況を実際に撮影した映像で体験。映像は、都市部や郊外における薄暮時や、深夜、早朝までのそれぞれの特徴を再現し、様々な条件下で事故が発生しうる要因や対処法を導き出す。また、屋外に新たに設置した降雨装置によって、視認性の悪い夜間の降雨時を体験できる。

大型スクリーンを利用した研修

大型スクリーンを利用した研修

安全デバイス体験プログラム(四輪車専用)

追突被害を軽減するブレーキシステム(CMBS:Collision Mitigation Brake System)や車両挙動安定化システム(VSA:Vehicle Stability Assist)といった先進安全技術の機構や効果を実際に操作し体験できる。

  • 1 ドライビング・テクニック・メジャーは、STECが新たに開発した教育支援システムであり、運転車両の操作情報や、GPSの測位による走行時の車両位置や対地速度を車載機器で測定し、データとして取り込むシステムである。データは、無線LANにより本館内のデータ処理端末へ送信される。受信データは、研修の評価として出力される。

 Hondaは、二輪車と四輪車の製品を提供しているメーカーの社会的責任として、二輪車および四輪車の取り扱い方法や正しい乗り方の教育を提供し、モビリティへの理解と安全運転の普及を図ることを目的に、1970年10月1日に安全運転普及本部が発足した。このように、専門組織を作り、企業活動の一つとして取り組みを始めたのは、民間企業としては初めての試みである。鈴鹿サーキット交通教育センターは、安全運転普及本部発足の6年前にあたる1964年に開設。実際に車両に乗車し、危険を安全に体験する参加体験型実践教育を基本に、運転技術を習得する交通安全教育機関として40年以上に渡り取り組んできた。STECは、一般ライダー・ドライバーをはじめ企業や官公庁の安全運転指導者に対し教育プログラムを展開し、これまで約97万2千名が受講している。

STECの概要

所在地

三重県鈴鹿市稲生町7992

敷地総面積

53,500m2

インストラクター数

20名

車両

二輪車292台
四輪車132台(CMBS、VSA搭載車45台)

 

主な研修コース

  • 周回路:770mの外周路と480mの内周路で構成し、一般公道を想定したコースとしている。内周路には、直線と様々な半径のカーブを設置しており、カーブの安全な走行を学ぶことができる。
  • スキッドコース:1,957m2のエリア内に凍結路、圧雪路、アイスバーンなどを想定した摩擦系数の異なる5種類の滑り易い路面と傾斜地を併せ持ち、スリップ時の車の挙動やタイヤと路面の接地感覚を学ぶことができる。
  • ブレーキングコース:全長270mの高・低μ路において、制動開始地点の速度を自動測定しながら、制動のトレーニングができる。
  • バリアブルコース:雨天時を再現できる降雨装置や縦列駐車、車庫入れ、周回路との合流ポイントを併せ持った多目的コースで、一般道で必要とされる運転技術を習得できる。
  • スラロームコース:多種多様なスラロームで、二輪車および四輪車における進路転換、バランス、速度調整を学ぶことができる。

交通教育センター本館

新設した本館は、ハイビジョン対応の大型スクリーンを導入した教室をはじめとした8つの教室や、開放感のあるロビーやラウンジ、応接室、更衣室、乾燥室などを配置。また、この2階建ての館内には、段差のないフロアや、スロープ、エレベーターを設置している。さらに、研修コースを見渡すことのできる見学スペースを確保し、子供から年配の方々まで幅広い世代に使い勝手の良い施設としている。

STECは、(株)モビリティランド※2が運営する。

  • 2 (株)モビリティランドは、Hondaの連結子会社で、安全運転普及活動や、モータースポーツ競技振興、遊園地の運営管理を行う。