Hondaは、アジアで培ってきた二輪ビジネスでの蓄積を活かし、エンジン部品やトランスミッションなど四輪車のパワートレイン系(駆動系)部品の生産能力を拡大、アジア域内での部品現地調達率を高めるとともに、これら部品を欧州など域外の生産拠点へも供給して行く。
具体的には、インドネシアに新たに部品生産子会社「P.T.ホンダ・プレシジョン・パーツ・マニュファクチュアリング」を設立し、2003年秋の操業を目指して、オートマチック・トランスミッション(AT)、CVT(自動無段変速機)およびエンジンバルブなどを生産する新工場を建設する。この新工場に関わる投資額は約80億円、新規雇用は約900人を見込んでいる。初年度はアコード、CR-Vなどに搭載される2リッタークラス4気筒エンジン用のATから生産を開始し、小型車向けCVTが追加される2004年度には、AT、CVT合わせて25万台分/年の生産能力を整える。これらのトランスミッションは、ASEAN諸国のHonda四輪生産拠点の他、欧州をはじめとする域外の四輪生産工場へも供給される。また、エンジンバルブについても、2004年度には生産能力を55万台分とし、ASEAN諸国の他、域外生産拠点へと輸出される。
また、フィリピンでは、部品生産子会社「ホンダ・パーツ・マニュファクチュアリング・コーポレーション」の既存工場に約20億円を投じて拡張工事を行ない、2002年7月よりマニュアル・トランスミッション(MT)の生産を開始、2003年秋には年間14万台分の生産能力を整える。初年度はASEAN域内向けに約1万台分を生産、2003年秋からは欧州を中心に域外の四輪生産拠点へ向けた供給を開始する。なお、この生産拡大に関わる追加雇用は約200人を予定している。
さらに中国では、部品生産合弁会社「東風本田汽車零部件有限公司」で生産するクランクシャフトおよびコネクティングロッドなどのエンジン部品の一部を、イギリスの四輪生産拠点で生産される「CR-V」向けに、2002年秋より供給を開始する。
Hondaは、Made by Global Hondaのコンセプトのもと、世界に広がる生産拠点の競争力を最大限に活かした、高効率かつフレキシブルな調達・生産体制の構築を進めている。今回のアジアにおけるパワートレイン系部品の生産拡大は、そうした戦略の一環であり、Hondaはこれによって、低コストと高品質を両立できるHondaのアジア生産拠点の高い競争力を世界規模で活用し、拡大する四輪車生産に対応するとともに、一層の商品競争力向上を図って行く。
P.T. Honda Precision Parts Manufacturing
2002年8月
ジャカルタ郊外ブギット・インダー(Bukit Indah)工業団地(ジャカルタ中心部より南東約70Km)
楠 文雄
約900名(2004年)
約80億円(予定)
本田技研工業 95%、Honda Prospect Motor 5%
2003年秋
AT、CVT、エンジンバルブ(塑型、機械加工、組立)
ATおよびCVT 25万台分/年(2004年)
エンジンバルブ 55万台分/年(2004年)
Honda Parts Manufacturing Corp.
1992年12月
マニラ近郊サンタ・ロサ(Santa Rosa)工業団地
居波 治行
約300名(2004年)
約20億円(予定)
本田技研工業 100%
2002年7月(MT)
MT(塑型、機械加工、組立)
四輪車補修用部品(主にバルクヘッドなどプレス部品)
MT14万台分/年(2003年秋)
東風本田汽車零部件有限公司(Dongfeng Honda Auto Parts Co.,Ltd)
1994年12月
広東省 恵州市
秋元 隆男
約500名
約30億円
本田技研工業 56%、東風汽車 35%、他地元政府系企業 9%
1995年4月
エンジン部品(コネクティングロッド、クランクシャフト、カムシャフト、スリーブなど)
足回り部品(ブレーキディスク、ナックルなど)
コネクティングロッド、クランクシャフト 24万台分/年(2003年)