本田財団(理事長・川島廣守)では、2000年度の本田賞をカリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授(46)に贈ることを決定した。中村教授は、本田賞 第21回目の授賞で日本人として三人目の受賞者となる。
中村教授は、日本における研究開発において、窒化ガリウム(GaN)系の半導体材料を用いて、実用レベルの青色および緑色を発する発光ダイオード(LED)とレーザーダイオード(LD)の開発に成功を収めた。
赤色以外の光の三原色である青色と緑色を発する半導体レーザーの開発は、世界中の半導体光物性研究者にとって長年にわたる夢であったが、短波長半導体レーザーを構成する物質系の不安定さと加工技術の困難さが障害となっていた。
中村教授は、特に難しいとされていた窒化ガリウムを素材とした結晶の作成に取り組み、それによる発光ダイオードとレーザーダイオードの開発に成功、製品化され、市販されるレベルまでに到達させた。
これによる波及効果は大きく、光ディスクの高密度光記録用光源として、また、既にある赤色LEDに加えて青色LEDと緑色LEDを組み合わせることにより、白色光源、フルカラーディスプレイなどの多用な用途が可能となる。これによる発光体は電力の消費量が極めて少なく、環境にやさしく、エネルギー節約型の最も重要なデバイスのひとつとなる。
中村教授のこれら一連の活動は、本田財団の提唱する「人間活動を取り巻く環境全体との調和を図った真の技術=エコ・テクノロジー」の観点と合致するものである。
教授は、本田賞の21人目の受賞者となり、副賞として一千万円が授与される。
尚、授与式は故本田宗一郎の誕生日である11月17日(金)に東京のホテル・オークラで行われる。
エコロジー(ecology:生態学)とテクノロジー(technology:科学技術)とを組み合わせた造語。「従来の効率と利益のみを追求する技術でなく、人間活動を取り巻く環境全体との調和をはかった真の技術」としての今後の社会に求めるべき技術概念。
愛媛県西宇和郡瀬戸町大久で生まれる
徳島大学工学部電子工学専攻
徳島大学工学部大学院修士課程専攻
日亜化学工業(株)、赤外LEDとLED用結晶材料の研究、開発
フロリダ大学で客員研究員、Si上のGaAs結晶成長の研究
青、緑色LEDと紫色半導体レーザーの研究、開発
徳島大学より博士課程取得
カリフォルニア大学サンタバーバラ校材料物性学部教授
仁科記念賞
大河内記念賞、MRS Medal Award
IEEE Jack A.Morton Award、British Rank Prize
Julius-Springer Prize for Applied Physics
Carl Zeis Research Award
日本応用物理学会
レーザー学会
「The Blue Laser Diode」他150件以上