ホンダのレートセンサー(ジャイロ)の開発は現在のカーナビゲーションの先駆となったホンダエレクトロジャイロケータ(1981年8月発売)にガス式レートセンサーを用いたのが最初であり、その精度の高さにより、GPSが未だ一般的でなかった当時に完全自立方式の慣性航法によるナビゲーションシステムを実現した。
本センサーは当時のガス式レートセンサーの技術的流れを汲むもので、高精度を特徴とするガス式のレートセンサーを半導体マイクロマシン技術を駆使し、精度を犠牲にすることなく、超小型・低コスト化したもので、シリコンマイクロマシンを用いたガス式レートセンサーである。
ガス式レートセンサーは従来航空機などに用いられているもので、高精度だが、高価であったため民生用にはほとんど用いられていない。現在、民生用に一般的に用いられているレートセンサー(ジャイロ)は振動式ジャイロと呼ばれるもので、音叉型の振動子を振動させ用いている。
振動ジャイロは性能が大きさに依存するため小型化と高性能化の両立が難しく、また機械的振動特性の温度依存性が大きいためにゼロ点オフセットの温度依存性を小さくすることが困難であった。
ガス式レートセンサーは角速度によりガス流の方向の偏りを熱線流速計により検知する方式で、機械的可動部を持たないので、特性の温度依存性を小さく抑えることが可能であり、小型でも高性能な特性が得られる。
車両安定性制御システム
車間距離制御オートクルーズ
レーンキープシステム
ガスレートセンサーを小型低コスト化することで優れたコストパフォーマンスを実現
流量が正確に制御されたガスがパッケージ内で循環する。
センサーチップは半導体マイクロマシンを用いた独自の中空薄膜形成技術により、ヒートワイヤ(抵抗体)を中空にブリッジ状に形成、さらにガスの噴射ノズルをヒートワイヤに対し、ミクロンオーダーの方位精度で形成することで、高精度のガス式レートセンシングを半導体チップ並のコストで製造することを可能とした。