ニュースリリース

1997年09月25日ニュースリリース

4ストロークエンジンで世界初の130馬力船外機を開発 1997年度IMTECマリーンショーにて発表

本田技研工業(株)は、4ストローク※1エンジン搭載の船外機としては世界初の130馬力船外機「BF130」を開発、同じエンジンファミリーである「BF115」と併せて、9月25日よりシカゴで開催されるIMTECマリーンショー※2において公開する。 

この「BF130」は、これまで最高出力90馬力だった4ストローク船外機の馬力上限を一気に130馬力まで引き上げるとともに、米国環境保護庁(EPA)定めたマリーンエンジンに対する排出ガス規制※3の最終規制年度(2006年)の値を大幅に下回るレベルを達成、ホンダが長年培った4ストロークエンジン技術の熟成により、高性能と環境対応を同時に両立させている。 
このEPA規制に対しては、既に「BF25/30」、「BF40/50」、「BF75/90」で1998年規制をクリアしており、今年中には既存の全ラインナップで認可取得を目指す。 
なお、今回新開発の「BF130/115」については、来春には認可を取得予定である。 

現在世界の船外機マーケットは2ストロークエンジンが大勢を占めているが、昨今の地球環境問題への関心の高まりもあり、4ストロークエンジンに対する需要は拡大傾向にある。ホンダは、1964年に最初の船外機を発売して以来、燃焼効率に優れた低燃費、低公害、ランニングコスト面で優れる4ストローク船外機のみを生産、今後も4ストロークエンジン技術をベースに、環境問題等社会ニーズに対応するとともに商品力の向上を通じて、新規需要開拓を行っていく。 

今回発表する「BF130/115」は、河川や湖沼での利用はもちろん、海上でのクルージングや、スポーツフィッシング等のより幅広い用途に対応できるものとなっている。また4ストロークエンジンの特性である低速トルクとクリーンな排気を生かし、海苔や魚貝類の養殖業者などの作業用としても最適なものとなっている。 
なおこの2モデルは1998年春より、世界一斉に発売の予定であり、これにより、ホンダの船外機シリーズは2馬力から130馬力までより幅広いニーズに応えられるものになる。

「BF130/115」の主な特徴

  • 四輪の新型アコードのエンジンと同一のボア×ストローク、排気量(2254cc)を持ち、コンロッド、クランクシャフト、バランスシャフト、動弁系部品等を流用し、信頼性、耐久性と同時にコスト面での優位性を実現。
  • 燃料供給装置には、始動性、ドライバビリティー、燃費向上に優れる電子燃料噴射方式(Programmed Fuel Injection)を採用(4ストローク船外機としては世界初)。
  • 駆動系ではカウンターローテーション(プロペラ逆回転)仕様を設定し、ユーザーの使い勝手向上を図っている。
  • ピストン往復運動による2次振動を抑えるため、シリンダーブロックに2軸2次バランサーを配置し、振動低減を達成。

BF130の主要諸元

エンジン形式 4ストローク OHC 4気筒縦形エンジン
排気量 2254cc
ボア×ストローク(mm) 86×97
推奨回転範囲(rpm) 5,000~6,000
最大出力(ps/rpm) 130/5,500
燃料噴射装置 電子燃料噴射方式 (Programmed Fuel Injection)
  • ※1ストローク
    自動車業界で使われるサイクルと同義語で、マリーン業界では慣例的にストロークを使用している。
  • ※2IMTECマリーンショー
    International Marine Trades Exhibit & Conventionの略で今年で39回目を迎え、NMMA(National Marine Manufacturers Association:アメリカマリーン工業会が主催する世界最大規模のマリーントレードショー。アメリカ国内はもとよりヨーロッパ、南米、オーストラリア、アジア、アフリカなど全世界からディーラーや関係者を集め開催される。会場はシカゴのマコーミックプレイスで、今年の会期は9月25~28日となっている。 
    毎回IMTEC Inovation Awardを選定し、ホンダは1990年に「BF45」で、1994年に「BF90」で受賞している。
  • ※3EPA排出ガス規制
    米国環境保護庁(EPA)が導入したマリーンエンジンの排出ガス規制。EPAが設定した基準値に対して1998年から最終年度である2006年まで、段階的に排出ガスを削減するプログラムで、米国で船外機等を販売するメーカーは、各モデルイヤー毎に定められた規制値をクリアし、認可を取得しなければならないというもの。