ニュースリリース

1994年10月06日ニュースリリース

4サイクルエンジンでは世界初の90馬力船外機を開発 1994年度IMTECマリーン・ショーにて発表

 本田技研工業(株)は、4サイクルエンジン搭載の船外機としては世界初の90馬力船外機「BF90」と75馬力船外機「BF75」を開発、10月6日よりシカゴで開催されるIMTECマリーンショー※1において公開する。

BF90

BF90

 この「BF90/75」は、これまで最高出力50馬力程度だった4ストローク※2船外機の馬力上限を一気に90馬力まで引き上げるもので、河川や湖沼における利用は無論のこと、海上でのクルージングや、スポーツフィッシング等のより幅広い用途に対応できるものとなっている。また、4サイクルエンジンの特性でもある低速トルクとクリーンな排気を生かし、海苔や魚介類の養殖業者などの作業用としても最適なものとなっている。

その主な特長は、

  • 1.同クラスの2ストローク船外機に比べ、フィッシングなど用途によっては50%アップの航続距離を実現。
  • 2.大容量吸気サイレンサー、プロペラボス排気などにより低騒音を図っている。
  • 3.フライホイールを通常のサイレンサー、プロペラボス上部ではなくエンジン底部に配置することにより低重心化を図り、高い安定性と優れたハンドリングを両立。
  • 4.エレクトリック・スターターとCDI点火装置を標準装備し、寒冷地でも確実なエンジン始動を可能にしている。

 この「BF90/75」は、信頼性の高いホンダ4サイクル・ガソリンエンジン技術が、船外機においても充分に生かされている結果であり、またこれらのボア×ストロークはシビックのエンジンと共通であり、一部部品の共用化も実施されている。

 「BF90/75」は、1995年秋全世界一斉に発売の予定であり、これにより、ホンダ船外機シリーズは2馬力から90馬力クラスまでより幅広いニーズに応えられるものとなる。

ホンダは、1964年に最初の船外機を発売して以来、一貫して4ストローク船外機のみ生産している。これは4サイクルが下記の特長を持っているからである。

  • 1.燃焼効率が高く低燃費で、2ストロークのようにガソリン混合用オイルも必要としないため、白煙やオイル臭がなくランニングコストも低減できる。
  • 2.中低速のトルク特性が優れているため、素早いレスポンスと、高出力を実現。
  • 3.低騒音かつ排気もクリーンで、ヨーロッパにおけるボーデン湖規制※3への対応も図り易い。

BF90主要諸元

エンジン形式 4サイクルOHC Inline4
排気量(cm3) 1,590
ボア×ストローク(mm) 75×90
推奨回転範囲(rpm) 5,000~6,000
最大出力(PS/rpm) 90/5,500
  • ※1IMTECマリーンショー
    International Marine Trades Exhibit & Conventionの略で今年で36回目を迎え、NMMA(National Marine Manufacturers Association:アメリカマリーン工業会)が 主催する世界一の規模を持つマリーントレードショー。
    アメリカ国内はもとよりヨーロッパ、南米、オーストラリア、アジア、アフリカなど全世界からディーラーや関係者を集め開催される。会場はシカゴのマコーミックプレイスで、今年の会期は10月6~9日となっている。
    毎回IMTEC Innovation Awardを選定し、前回までアメリカ製品1点と海外製品1点に贈られ、ホンダは1990年にBF45で海外製品部門賞を受賞した。
  • ※2ストローク
    自動車業界で使われるサイクルと同意語で、マリーン業界では慣例的にストロークを使用している。4ストローク=4サイクル、2ストローク=2サイクル
  • ※3ボーデン湖規制
    ドイツ、スイス、オーストリアに隣接し周辺住民の水がめとなっている湖において、’93年1月より実施された、船外機に対する排気ガス規制。2サイクルエンジンでは技術的にクリアできず、販売ができなくなっている。現状では湖沼における唯一の排気ガス規制であるが、最近では国際海事機関(IMO)等によりヨーロッパ全土及びアメリカでも排気ガス規制の検討をはじめている。
    ホンダ船外機シリーズは、4サイクルエンジンのクリーンな排気を生かし世界に先駆けてクリアした。