本田技研工業(株)は、手軽に乗れる自転車の良さをそのままに、発進時や上り坂、荷物の積載時や向かい風の時などの、大きなペダル踏力が必要な時に電子制御機構が自動的に検知/演算処理を行って、その時々の条件に合った電動補助力を発生させ、時速15km/hまでは踏力を約半減させ、楽々走れる電動ペダル・アシストサイクル「ホンダ ラクーン」を、'95年2月2日より全国の「ラクーン取扱店」で発売する。販売網については、駆動補助機付自転車という新しい分野の製品であることから、新たに「ラクーン取扱店」を設けることとした。

　ホンダは、1947年に発売した「ホンダ A型」をはじめ、「カブ F型」(1952年)、「リトル ホンダ」(1966年)や「ノビオ」(1973年)などのほか、25ccのコンパクトなエンジンを搭載した「ピープル」(1984年)を上市するなど、創業当時より、その時代に求められる簡便な動力原を付けた自転車に近い手軽さを持つパーソナル・コミュータを目指して開発してきました。 そして、1971年には、これらの開発の中からペダル踏力の強弱によって原動機の出力を増減させ、人力と原動機の補助力を融合する「ペダルアクセル」という、これまでにない技術概念を確立しました。今回、この技術概念をベースとして、それを更に発展させ、電子制御機構を駆使して、“人”と“機械”の力をより自然に同調させることによって、人力を軽減してより軽快に走行できる電動ペダル・アシストサイクルを開発しました。

30,000台

136,000円

12,000円

「ラクーン」はペダルを踏む力に応じて、クランク軸と同軸上に配したトーションバーにねじり変位が発生し、その変位量をカムにより軸方向変位に変換、【踏力センサー】が力のかかる強さを検知するとともに、ペダルクランク回転数を【回転センサー】が検知して電気信号に置き換える。「踏力の強さ」と「回転数」の二つの電気信号は【コントローラ】に送られて演算処理され、踏力に応じた電力がモーターに供給され、補助力としてローラーワンウェイ機構を介してペダルクランク軸に伝えられる。具体的には、車速が0～15km/h(変速ギアが「速」の場合)までの範囲は、ペダル踏力の約半分の力を電動駆動力が補助し、車速が15～24km/hまでの範囲は車速の上昇とともに、補助力は漸減する。24km/h以上になると電動補助力はゼロとなり、ペダル踏力のみの走行となる。(メインスイッチを「切」にして、普通の自転車として使用することもできる。)

「ラクーン」に使用しているバッテリーは、外気温度による特性変化が少なく、常に大電流を取り出せ、しかも充放電の繰り返しの耐久性(サイクル寿命)にも優れ、その上、軽量でメンテナンスフリーのニカド電池を採用。充電時には、本体から容易にバッテリーケースが着脱でき、室内等で家庭用電源(AC 100V)から専用充電器を介して簡単に充電できる他、バッテリーケースを本体に搭載したままでも充電が可能となっている。さらに、専用充電器には過充電防止機能を付けるなど使い勝手の良い設計としている。