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今季から導入されたST600クラスで戦う初めての4耐に大きな注目が集まっている。ST600はストリートモデルをベースとしたプロダクションレースでイコールコンデョンを追求しており、そのためベースマシンのパフォーマンスが大きく影響すると言われている。Hondaが投入したCBR600F4iはデイトナで1-2を決めるなど好調なスタートを切り、全日本でも2戦連続で勝利。4耐でも優勝が期待されるモデルとして注目を集めている。

そこで、CBR600F4iの性能を引き出し4耐の戦いを実り多いものにしてもらうためにマシンセッティングのアドバイスを4耐のノウハウを持つショップオーナーたちに聞いた。

■ エンジン ■

セットアップマニュアルに記されているメンテナンスをこなし、部品交換インターバルをしっかり守ることでエンジン性能、耐久性が維持できる。これは、ハニービー、チーム高武、ハルクプロ、チームヨシハル、チームライフらも口を揃えて、「改造することが出来ないので基本に忠実にメンテナンスすることで性能を引き出し持続させることが重要。パーツ管理を含め、細かなメンテナンスは徹底して守っていること」と言う。

慣らし走行
慣らし走行は確実に。

エンジンオイル
慣らし終了時に必ず交換する。

タペット調整
慣らし走行後に再確認することで確実性が増す。この確認作業時に標準に対してタペットクリアランスを3/100から5/100くらいプラスにする。これは、広めに取った方が性能安定に繋がるからである。

プラグ
エンジン性能に大きく影響するため必ずHRC指定のイリジュウムプラグを使用する。エンジンの回転が重いと感じた場合はプラグが原因の可能性があるためプラグの確認を。

マフラー
マフラーは市販されているものがいろいろあるので好みで選ぶ。特性やインジェクションのセッティングがちがうので、信頼出来るショップに相談すると良いでしょう。

インジェクション
インジェクションのセッティングには、ノートパソコンが必要。選ぶマフラーによって出力特性が微妙に変わるためショップに相談することでベストセッティングを見つけよう。但し、一回ベストセッティングが見つかると気温や気圧を自動的に補正してくれるのが、インジェクションの強み。後は走り込みに専念しよう。

■ 足回り ■

基本設定。
鈴鹿のファイナルは15T―46T。
COMPセッティングアジャスター位置はMAX−3/4位。
TENアジャスター位置はMAX−3/4位。
プリロードアジャスターは3段が基準。プリロードを硬めにするなら、車高調整は低め。柔らかくするなら、車高調整は高め。ライダーの体重や好みでキットの14.2や15.2を試すのも良いかも。
奥で使いたい人は、柔らかいスプリングでプリロードを上げる(硬くする)方向で、口元を使いたければ硬いスプリングで、プリロードは下げる(柔らかい)方向でセッティングすると良いかも。

フロント
フロントのクッションオイルは慣らし終了後に1回交換することで性能が安定する。 フロントの油面は120oを基準とする。
HRCキットのバネレート0.9のスプリングをベースに、プリロードアジャスター位置を量産の+2〜+3mmから始める。
COMPアジャスター位置はMAX−1。
TEMアジャスター位置はMAX−3/4.
突き出し量は量産+3〜4oがベース。

タイヤ
空気圧は路面状態で変わるのでタイヤメーカーに相談。

リヤの車高調整
リヤクッションブラケットとフレームの間に自作のシムを作り、8±2mmを基準に挿入する。シムは1mm・2mm・5mmの厚さ違いを各2枚ずつ用意しておくと便利でしょう。

■ ポジション ■

それぞれの体格、ライディングによって変わるため、ライダーに合わせベストポジションを見つける努力を。但し、シート高さは量産が基準になるので、量産車のシート高さを測定しておくと便利。(この場合同じ車体姿勢で測定の事)

ハンドル
セパレートハンドルであれば何でもOKというレギュレーションのため自分のポジションに合ったものを幅広く選択可能。取り付け位置もトップブリッジの上下等ライダーの好みに合わせる。
量産品を流用してハンドル位置を下げたい場合はCBR1100XXのハンドルをTOPブリッジ下に装着するとよいでしょう。耐久では、振動もライダーの疲労度に影響します。お勧めは量産品の流用。

ステップ
複数市販されており、自分のポジションに合うものを購入可能。

■ 耐久仕様 ■

何よりもまず、熱対策がポイントとなる。

ラジエーターの冷却
ノーマル仕様だと水温が100℃くらいまで上昇してしまい、パワーダウンに繋がる為、それを80℃くらいに維持する努力を。HRCのキットに大容量のラジエーターがあるのでそれに換えるのがお勧め。
また、ラジエーターに走行風が集まるように、アンダーカウルとラジエーターの隙間(下、横)にプラスチックの板を貼るなどして隙間を塞ぎ、ラジエーターとカウルの間に風が逃げない工夫をする。
夏はガソリンタンク下の断熱も考慮しよう。特に、ピットストップがある耐久は要注 意。
タンク下にアルミの接着テープを張るだけで、5℃以上ガソリンが冷える。


■ その他 実例 ■

チームライフでは、タイムに直接は関係しない部分だが、お手製のクイックリリースで整備性の向上を図るなど、創意工夫が見られた。

ハルクプロは足回りを「RSなどのレース専用設計のモデルでは柔らかめに(車体を動かす方向で)仕上げるが、CBR600F4iは素性が公道用市販車のため、基本的に固め方向のセッティングで運動性能を上げる」と言う。



★セットアップで困った時には、ST600クラスに参戦中の各販売店に相談してみよう★
販売店名 チーム名 住所/TEL
(株)クルーズ クルーズレーシングチーム 宮城県 角田市 角田字町152番地
0224−62−0671
(有)i−FACTORY TEAM i−FACTORY 栃木県 小山市 千駄塚 290−6
0285−45−3373
(有)エンデュランス エンデュランスレーシング 埼玉県 川越市 山田 1726
0492−22−7770
(有)ハルク・プロ TEAM HARC‐PRO 東京都 武蔵村山市 中央 1−36−1
042−566−3851
オートショップスガハラ(有) レーシングチームハニービー 東京都 北区 王子 3−20−2
03−3914−7500
(株)桜井ホンダ チーム桜井ホンダ 東京都 杉並区 下高井戸 2−6−3
03−3325−0088
(株)城北ホンダオート Jhaレーシング 東京都 新宿区 西落合 3−26−6
03−3952−4004
ホンダスポーツモトバム モトバムレーシング 東京都 台東区 台東 4−13−23
03−3831−4265
モトショップ ヨシハル チームヨシハル 三重県 四日市市 寺方町 2342−2
0593−26−7770
TSR テクニカル・スポーツ・レーシング 三重県 鈴鹿市 住吉町 6786
0593−78−1455
(株)モトウイン MOTO WIN RACING 大阪府 吹田市 新芦屋下 6−5
06−6878−3263
ホンダショップライフ チームライフ 福岡県 北九州市 小倉南区 守恒本町 3−1−11
093−963−0800
(株)アール・エス・シー チーム高武RSC 熊本県 菊池郡 大津町 平川 1784−1
096−293−3505