HONDA The Power of Dreams
HONDA The Power of Dreams
第17戦/最終戦 日本GP
HRDテクニカル・ディレクター
西澤一俊のひとりごと
10月16日(月)
期待したようなグリッドが獲得できなかった時点で、きびしいレースになりそうだと覚悟していました。シーズンもこの時期になると、どのチームのマシンも信頼性が上がってきます。なかなか壊れないから、他力本願でのポジションアップは望めないとはわかっていました。
予選では、せめて1台はトップ6に入ってほしかったんですけどね(注:予選グリッドはトゥルーリの8位が最高で、あとはアレジ11位、ビルヌーブ14位、パニス17位)。今回投入した、いっそうパワーアップしたスズカスペシャルエンジンの効果は、出ているはずです。具体的にどれくらい、というのは言うのはむずかしいですが。
今回の予選で1分32秒台というとんでもないタイムが出たことが、いみじくも象徴しているんですが、F1での1年間での進歩というのは本当に速い。もちろんわれわれも、パートナーであるBARやジョーダンも進歩している。しかしその度合いが、残念ながら他チームの方が大きかったということですね。
後発チームほど、トップより速いペースで開発を進めないと、永遠に追い付けない。それが足りなかったと言われても、仕方ないでしょう。
今年は表彰台にこそ2度上がれましたが、全体の結果としてはあまりにも期待外れでした。エンジンを2チームに供給することで、いっそう豊富な開発データが取りこめる。そのメリットを最大限に活かして、技術力を高めていかなくては、と痛感しています。来年用のエンジンはすでに、夏ごろからベンチで順調に回っています。外から見ても違いがわかるほどの、まったくのニューエンジンですよ。今のレギュレーションではなかなか難しいことはわかっていますが、エンジン屋の心意気としては、エンジンで差を付けたい。そのためにはエンジンパワーしかない。そんな気持ちで、やっていくつもりです。