HONDA The Power of Dreams
HONDA The Power of Dreams
第16戦 アメリカGP レビュー
10月2日(火) レポート:柴田久仁夫
一時は開催が危ぶまれたアメリカGPでしたが、さしたる問題もなく無事終了しました。観客も心配されたほど減っておらず、関係者はホッとすると同時に、力づけられる思いだったことでしょう。そしてレースも、非常に見ごたえのあるものでした。
その主役は、もちろんミカ・ハッキネンです。決勝当日のウォームアップで赤信号無視をしたとして、2番手のタイムを取り消されるというハプニング。このペナルティは、予想をはるかに越える厳しいものでした。休養宣言をしてモチベーションの低下しているハッキネンは、これで相当ガックリ来たのではないか。上位入賞はとても望めそうもないと、僕には思えました。
ところが4番手スタートから、ピットインをできるだけ送らせる作戦も奏効して、着実に順位を上げて行きました。ハッキネン自身の走りも、実に安定していました。シューマッハが先にピットインしてトップに立った後、周回遅れの処理にもそれほどタイムロスせずに、きっちりリードを広げ、トップを守りました。
皮肉なことに、「来年から1年間休養する」と宣言した前戦イタリアGPから、ハッキネンには生気が戻って来ている。モンツァでは結果は出ませんでしたが、今回はまさに全盛期の走りで、堂々の優勝。こういうレースを見ると、やはりシューマッハのライバルはハッキネンしかいない、と思ってしまいます。「このまま引退してしまうのではないか」という見方も多いのですが、そして僕も2週間前まではそう思っていたのですが、これならまだ十二分にやれるでしょう。ニキ・ラウダやアラン・プロストがそうだったように、復帰してきてぜひ3度目のタイトルを取ってほしいものです。
一方Honda勢では、ジョーダンのヤルノ・トゥルーリが久々に4位でチェッカー。ところがレース後、車両検査に引っかかって失格となってしまいました。マシン下部のスキッドブロックが、規定以上削れているからということです。しかしこれはレース中に外れかけて削れたためで、故意ではない。そしてトゥルーリ自身が言う、「外れかけたスキッドブロックでは、空力上のアドバンテージはまったくなかった。それでも4位に入ったという結果を考慮してほしい」という主張は、正しいと思います。チームが抗議したことで、裁定は数日後に下されることになりますが、ヤルノの努力が認められるような結果になることを望みたいところです。