第13戦 ハンガリーGP レビュー  8月21日(火) レポート:柴田久仁夫





 とうとう今年の選手権が、両方とも決まってしまいました。フェラーリとミハエル・シューマッハが圧倒的な強さを発揮して、シーズン終了までまだ4戦を残しながら、早々と決着をつけました。
 今のフェラーリは、ほとんど死角のない状態と言っていいでしょう。ジャン・トッドの卓抜した統率力。最高の技術スタッフ。そしてもちろん、シューマッハという稀代のドライバー。彼らが一丸となって、勝利に邁進した。昨年すでにタイトルを独占したことによるモチベーションの低下など、まったく感じられませんでした。
 去年の後半からすでに、マクラーレンに対するフェラーリの優位は明らかだったのですが、今年はそれがいっそうはっきりした1年でした。F2001はデビューしていきなり速く、しかも信頼性のレベルも非常に高かった。ライバルと目されたミカ・ハッキネンが、次々とメカトラブルで自滅して行ったのと好対照でした。しかも本格復活してきたBMW・ウィリアムズが、結果的にマクラーレンのポイントを食う結果になり、タイトル確定を早めました。
 シューマッハはタイトルを決めるまでの13戦中、リタイヤはわずかに2回だけ。残りはすべて優勝か2位。まさにフェラーリとシューマッハのための、シーズンと言っていいでしょう。そして彼らの優位は、まだ当分続きそうです。

 その牙城を、われらがHondaが崩してほしい。しかしハンガリーGPの結果を見ると、残念ながら道はいまだ遠しという感じです。予選5番手と健闘したジョーダンのヤルノ・トゥルーリは、またいつものようにレースでは失速。結局油圧系のトラブルで、リタイヤを喫しました。タイヤのグリップが急激に落ちてしまうのですが、どうしていつもそうなってしまうのか。予選の成績だけ見れば、すでに表彰台に上がっていてもおかしくない速さがあるだけに、これはなんとも残念です。
 そしてBARのオリビエ・パニスも、セッティングが決まっていただけに、電気系トラブルによるリタイヤは、本人も相当ガックリ来ていました。今年のBARマシンも、低速で切り返しの多い今回のようなコースは、かなりキビシイ。それをパニスは、抜群のセットアップ能力で、かなり戦闘力の高いマシンに仕上げていた。彼のガックリぶりを見ると、相当手応えがあったようです。
 ジョーダン初レースとなったジャン・アレジ、そしてジャック・ビルヌーブは完走こそしましたが、トップから2周遅れの10位と9位。ポイント圏内に絡む可能性は、ありませんでした。ほぼぶっつけ本番のアレジは別にして、ビルヌーブの精彩のなさが少し気になります。パニスに比べるとセッティングが決まらず、マシンと格闘し続けた3日間でした。

 すでにタイトルは決まってしまいましたが、Honda勢は選手権で少しでも上の成績を残さなければならない。そろそろ来年のマシン、エンジンの開発が本格化して行きますが、まだ今シーズンは終わったわけではありません。残り4戦で納得の行く結果を出して、来年につなげてほしいところです。