HONDA The Power of Dreams
HONDA The Power of Dreams
第12戦 ドイツGP レビュー
7月30日(月) レポート:柴田久仁夫
波乱のレースを走り抜いて、ジャック・ビルヌーブが今シーズン2度目の表彰台を獲得しました。レース後パルクフェルメに到着したジャックは、集まったBAR Hondaのスタッフたちと抱き合って喜んでいました。BAR初めての表彰台だったスペインGPでは、見られなかった光景です。「クルマが素晴らしい仕上がりだった」と語っていたジャック。劣悪なハンドリングと格闘しながら走った前回と違って、確かな手応えを感じたのではないでしょうか。
ただしジャックの3位表彰台を、手放しで喜んでばかりはいられません。BARは相変わらず、予選でのパフォーマンスに問題がある。もしもう少し上のグリッドからスタートしていたら、オリビエ・パニスの入賞も十分可能だったでしょう。
それ以上に、ジョーダンの状況は深刻です。レースになるととたんにペースが落ちるという現象が、いっこうに改善されない。ヤルノ・トゥルーリは初日からレース用のセッティングに専念したにもかかわらず、やはりダメでした。BARの2台を通せんぼするような形で走った後、パニスと接触してスピン。そして最後は、油圧系トラブルでリタイヤです。ジョーダンはGP直前に、ハインツ・ハラルド・フレンツェンとの契約終了を発表。リカルド・ゾンタが代走しましたが、やはりフレンツェンの代わりは荷が重過ぎました
トップチームに目を転じると、前週のテストの結果通り、BMWウィリアムズが圧倒的な強さを発揮した。フロントローを独占したウィリアムズの2台が、3位のミハエル・シューマッハ以下をどんどん引き離す。そしてラルフ・シューマッハが、堂々の今季3勝目。初ポールのモントーヤは結局リタイヤしてしまったものの、もしトラブルが出ていなければ、BMWウィリアムズの1−2ウィンの確率は高かった。
それは同時に、ミシュランの初1−2ウィンでもあります。ここやモンツァがBMWウィリアムズ+ミシュランの得意コースだとはいえ、ブリヂストンにとっては手痛い敗戦でした。ミハエル・シューマッハやマクラーレンの2台が姿を消してしまったという要因もありますが、しかし相手の速さは、群を抜いていました。
ミハエル・シューマッハは今回も勝てず、51勝目の記録達成はなりませんでした。しかしライバルのデビッド・クルサードもリタイヤしたことで、ついにマジックが点灯しました。次のハンガリーGPで勝てば、クルサードが2位に入ってもチャンピオン確定です。ちなみに1992年のナイジェル・マンセルも、同じGPでタイトルを決めています。そして自己最多勝のレコード。さらにアイルトン・セナの持つ最多ポールポジションの記録も、そろそろ視野に入ってきました。さらに来年以降もう一度チャンピオンになれば、フアン・マヌエル・ファンジオの持つタイトル5回にも並びます。まさに94年以降の10年は、シューマッハ時代といえるでしょう。