HONDA The Power of Dreams
HONDA The Power of Dreams
第10戦 フランスGP
HRDテクニカル・ディレクター
西澤一俊のひとりごと
7月2日(月)
前回3台がリタイヤしてしまったことを思えば、今回3台完走したことは、確かに悪くはない。うち1台は5位に入賞しましたしね。しかしこれが満足すべき結果だったかといえば、そうでないのは当然です。思ったような走りが、全然できませんでしたから。
ジャックのリタイヤは、どうやらバッテリー周りのトラブルだったようです。突然電圧が落ちて、コンピューターがダウン。エンジンが止まってしまいました。オリビエはオーバーステアがひどくて、とても運転できるような状態ではなかったと言っていました。そしてハインツは、オーバーとアンダーが交互に来るような状態だったと。
5位入賞のヤルノにしても、ペースが伸びなかったですね。特に1セット目。トップから1秒落ちで、みるみる離されてしまった。そういう、予選ではそこそこ速いのに、レースになるとペースがガクンと落ちるという症状が開幕当初からずっと続いてるわけですが、なぜこうなるのか依然として原因が突き止められない。たとえば日曜朝のウォームアップでは、まったくそんな問題は出ない。それがレースになると、突然遅くなってしまう。ひとことで言うと、タイヤをちゃんと使いこなせるようなセットアップができないということなんですが、それがなぜできないかというのが、謎なんですね。
今回はぜひ、ヤルノにいい成績を上げさせたかったんですけどね。彼は素晴らしいドライバーです。予選での走りは、満点でした。マシンとエンジンの性能を、あますところなく使ってくれた。それだけに、レースの結果は残念というしかない。
今週はモンツァとムジェロとで、ダウンフォースを減らしたセッティングや、新しい足回りのテストを行ないます。シルバーストンはかつてのような高速エンジンサーキットから、ほとんど中速コースになってしまって、やはりトラクションのちゃんとかかるクルマが速いですからね。とはいえエンジン面では、よりパワフルなエンジンも投入されます。
来年用のエンジンも、ずいぶん前から開発は進んでますよ。すでに両チームにコンセプトを提示して、それを元にしたシャシー開発もスタートしています。秋には、ベンチテストが行なわれます。もちろんだからと言って、今年のエンジン開発が止まってしまうなんてことは全然ありません。来年用のエンジンに使う予定のパーツで、今年中に投入できるものがあれば、どしどし使っていくつもりです。