HONDA The Power of Dreams
HONDA The Power of Dreams
第7戦 モナコGP
HRDテクニカル・ディレクター
西澤一俊のひとりごと
5月28日(月)
4台のマシンのうち、3台がリタイヤしてしまいましたからね。その意味では満足度は、4分の1です。でもジャックが4位に入賞してくれたことは、本当に良かったと思っています。実にアグレッシブかつ、安定したレースをしてくれました。
しかし予選がすべてでしたね。もう少し前のグリッドだったら、間違いなく表彰台に上がれていたでしょう。今回は、ラップタイムは上位陣とまったく遜色なく、チェッカーもミハエル・シューマッハの30秒後に受けられた。その意味では、モナコでの決勝レースでのペースは満足すべきものがあった。今後の課題としては、いかに予選での速さを確立するかですね。
去年のモナコとは、比べ物にならないくらい良くなっている。その一番の理由は、サスペンションです。メカニカルグリップが、格段に良くなってますから。足回りはずいぶん柔らかくなりましたよね。マシン全体を見ても、セットアップをいじった際の変化が予測できる範囲内だから、大きく方向性を誤ることもない。去年のように、GP本番になってとっちらかってしまうということは、なくなりました。それは大きな進歩です。でも今回の結果が、われわれの目指すところではないのは、もちろんです。どんな性格のサーキットでも、トップに伍した速さを見せていかないと。
実は前週のバレンシアテストで、ジャックは自分なりのセッティングに戻す方向で作業し、その成果を上げたようなんです。シーズン当初は、オリビエのように柔らかい足回りでメカニカルグリップを稼ぐやり方に倣っていた。その辺で若干迷いもあったようなんですが、それがこのところなくなってきた。
今回もジャックは、木曜日から担当エンジニアと激論を交しながらクルマを仕上げていた。そしてかなり彼の好みに近いセッティングを見つけられたようです。その手応えがあったからこそ、予選9番手という必ずしも本意ではないグリッドでも、ポジティブな気持ちでレースに臨めたんでしょう。
次のカナダGPに備え、来週のマニクールテストで、両チームはエンジン、車体ともにいろいろ新しい試みを試します。外から見てわかるほど、大きな変化ではありませんけどね。次のGPはBMWウィリアムズとミシュランのパッケージが速そうですが、たとえば予選で彼らの前に出られたら、我々はかなり本格的に進歩しているといえるでしょう。