HONDA The Power of Dreams
HONDA The Power of Dreams
第4戦 サンマリノGP レビュー
4月18日(水) レポート:柴田久仁夫
「とうとうウィリアムズが来た」
ウィリアムズが、97年秋のヨーロッパGP以来3年半ぶりに勝利を上げました。昨年BMWと組んで以来、コンスタントに入賞圏内に入り、さらに今年はいっそうの速さを発揮していましたから、いつかはこの日が来るだろうことは予想されていました。にしても、開幕後わずか4戦目での優勝。しかもスタート直後にトップを奪ってからゴールまで一度も2位以下に落ちないという、まさに完璧な勝利でした。
「今年もフェラーリとマクラーレンの一騎打ちになる」という予想(というかほとんど確信)を開幕前に私はしていました。BMWウィリアムズは昨年からどんどん良くなっていましたが、今年は復帰したばかりのミシュランが、ある程度足を引っ張るのではないかと思ったからです。だからこそ、Hondaがエンジンを供給しているBARとジョーダンに、せんさいいちぐうのちゃんすがあるとも思いました。
ところがそのミシュランが、ドライ路面では予想よりはるかにいい。そしてどうやらミシュランは、ウィリアムズ向けに集中してタイヤを開発して、それがいい方向に転がっている。BMWウィリアムズ、そしてミシュランの強さは、どうやら本物でしょう。ただしサーキットによっては、速さにバラツキが出るかもしれない。まだどこでも、まんべんなく速いというレベルには達していないのではないか。だから最終的にはフェラーリ、マクラーレンの勝負という見方は今も変わっていません。しかし「3強時代の幕開け・その序章」ぐらいの活躍はしそうです。
それと対照的に、シーズン前の期待が数字となって出ていないのが、BARとジョーダンです。確かにジョーダンは、開幕以来4戦連続入賞。表彰台まであとわずかというレースもあった。しかしトップとの差が歴然としてあり、それがなかなか詰められない。たとえば今回サンマリノGPでヤルノ・トゥルーリは3位を走っていましたが、上の二人とはコンスタントに1秒前後のタイム差があった。西澤一俊さんのひとりごとにもありましたが、予選では遜色なく速かったのが、今回はそれにも陰りが出始めている。
BARでは、オリビエ・パニスは健闘しています。自分の仕事をきっちり果たしているという感じでしょうか。しかし彼が入って、マシン開発に弾みがつくかと思われましたが、去年からの鈍重な感じが依然として抜けない。サンマリノではさまざまな空力パーツが付いていましたが、言い換えればああいったものを付けないと、ちゃんと走れないクルマなのではないか。
ジャック・ビルヌーブに、去年までのような切れの良さがないのも、大いに気になるところです。オリビエとセットアップの好みが違いすぎるというのは事実ですが、それだけではないでしょう。
Hondaにしても、ニューエンジンにトラブルが続発。サンマリノでも、ジャックのエンジンがゴールまで持ちませんでした。トラブルが続くと、当然開発にも支障をきたします。
まだ開幕して4戦しか終わっていないのですが、Honda陣営は正直言って若干閉塞状況に陥っているというところでしょうか。それを打破するための即効薬は、おそらくないでしょう。次回スペインから解禁されるTCS(トラクション・コントロールシステム)などのハイテクデバイスにしても、Honda陣営の開発は進んでいるという話ですが、絶対的に有利になる保障はない。月並みながら、信頼性と性能の両方を上げていく努力しかない。せめて今のうちに一度表彰台に上がれると、ずいぶん勢いが出て、流れが変わったりするんですけどね。