第3戦 ブラジルGP レビュー  4月3日(火) レポート:柴田久仁夫





 レース自体は、非常に見ごたえのあるものでした。非常に難しいコンディションの中、マクラーレンのデビッド・クルサードがミハエル・シューマッハを実力で制して、久しぶりの優勝を飾った。さらに残念ながらリタイヤしたものの、ルーキーのホアン・パブロ・モントーヤが素晴らしい速さを見せてくれた。
 モントーヤとシューマッハのバトル。そしてクルサードとシューマッハのバトル。ひとつのGPであれだけの名場面が立て続けに見られて、レースファンにとってはまさに至福の時と言ってよかったのではないでしょうか。私自身も、レース後の取材の後、2度3度とビデオを見返して飽きることがありませんでした。
 しかも世界チャンピオンのシューマッハが1レースで2度抜かれるというシーン自体、滅多に見られるものではありません。特にモントーヤの、インへの鋭い切り込みは凄かった。90年アメリカGPでのセナと新人アレジとの壮絶バトル、あるいはジャック・ビルヌーブの96年デビュー当時の鮮烈な走り。それらを思い出させる、切れ味鋭い走りでした。新しいスターが生まれつつあるのでしょう。

 そんな面白いレースだったのですが、少し残念なのは上位陣の戦いにホンダ勢が絡めなかったことです。しかも一時はハインツ・ハラルド・フレンツェンやオリビエ・パニスが3位を走るなど、復帰後初めての表彰台が目前まで迫っていた。結局はパニスとヤルノ・トゥルーリが入賞を果たしましたが、やはりすっきりしない部分が残ります。
 西澤一俊さんのひとりごとにもありますが、BAR側は完全にピット作戦の不手際。そしてジョーダンは、タイヤ選択のミスとエンジントラブル。Hondaとしてはもちろん、あってはならないトラブルだっただけに、しかも週末を通じて何度か起きたトラブルでもあり、かなり深刻に受け止めていました。

 シューマッハとフェラーリが決して無敵ではないことが、今回のレースでわかりました。しかし同時に、マクラーレンがいつまでも手をこまねいていないことも証明された。そしてBMWウィリアムズとミシュランのパッケージングが予想以上にいいことも。今年は新たな3強時代で、シーズンが進んでいくのでしょうか。
Honda勢は、確かに若干水を開けられている。しかしその差は、去年よりは確実に縮まっています。それだけに、今回のような形で表彰台を逃したことが悔やまれます。