雨中のサバイバルレース
入賞目前ながら、2台ともにリタイヤ

今回もロケットスタートを決めたビルヌーブ
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昨年の9月下旬開催から一転。今年は5月に開かれたヨーロッパGP。しかし天候不順は相変わらずで、初日のフリー走行、二日目の予選と、めまぐるしく天気が変化した。
前週のヘレステストで、BARホンダチームは順調に1000km以上の走り込みを行なってきた。懸案のギアボックストラブルへも対策を施し、ニュルブルクリンクに舞台を移しても、ほとんどトラブルは発生しない。フリー走行では、かなりいい感触を得ていたジャック・ビルヌーブとリカルド・ゾンタ。予選では、ビルヌーブは9番手となんとかトップ10内のグリッドを確保。しかし中盤に降り始めた雨にたたられたせいもあって、ゾンタは18番手に沈んでしまった。
レースでは、ビルヌーブがまたも鮮やかなロケットスタートを決めて、5番手に。序盤に雨が降りだし、レインタイヤに履き替えるタイミングを若干遅らせたために、一時は13位まで順位を落とす。しかしその後は素晴らしいペースで、ポジションを回復。雨を得意とするジャン・アレジなどに引けを取らないタイムを連発する。ところが46周目、7位走行中に緊急ピットイン。結局そのままリタイヤしてしまう。
ゾンタは、中盤にスピンを喫したりしながらも、後半49周目の2度目のピットインの際には、10位まで順位を上げる。しかしそれから3周後、再度のスピンでマシンがグラベルにはまってしまい、レースを終えた。
ジョーダン・無限ホンダにとっても、厳しいレースとなった。6番グリッドのヤルノ・トゥルーリは、スタート直後に他のマシンと絡んでリタイヤ。ハインツ・ハラルド・フレンツェンも、3周目にエンジントラブルで戦列から去った。
優勝は、やはり雨に強いミハエル・シューマッハ。今季4勝目を上げて、ミカ・ハッキネンとのポイント差を18点に広げた。
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ピットから出るビルヌーブ
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水しぶきをあげながら走るゾンタ
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J.ビルヌーブ(リタイヤ)
前のクルマの水しぶきで、視界はほとんどゼロ。本当に厳しいレースだった。2度目にピットに戻ってくる際には、何が起きたのか全然わからなかった。今回も、ポイントがすぐ目の前にぶらさがってただけに、リタイヤは残念と言うしかないね。
R.ゾンタ(リタイヤ)
1回目のピットの後は、クルマのバランスもすごくよくなって、雨中のレースを楽しむことができた。ところが2度目のピットから出てくると、シフトダウンがうまく行かなくなった。ブレーキングの際、後輪がブロックして、スピン。グラベルにつかまってしまった。
保坂武文 本田技術研究所 マネージング・ディレクター
ジャックのトラブルは、バルブ系でした。ゴールまで走らせることが不可能とわかったので、悲痛の思いでピットに戻ってくるよう指示しました。いいレースを展開していたジャックには、本当に申し訳ないことをしました。ファクトリーに戻って、原因を徹底究明します。
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